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クロスアンジュ 天使と竜の輪舞 第17話「黒の破壊天使」

  • 2015/02/01(日) 21:18:26

【感想概略】
今回は、アンジュとサラの友情、ヴィヴィアンという人間を理解して送り出すラミアの姿、ドラゴンの大軍勢とラグナメイル5機との迫力ある集団戦闘、サリア、エルシャ、クリスとの思わぬ再会、ヴィルキスと3機のラグナメイルとの戦い、アンジュたちとモモカ、ヒルダ、ロザリーとの再会が描かれ、アンジュとタスクはお化けが苦手という意外な弱点が明かされ、おもしろかった。
タイトルの「黒の破壊天使」とは、ラグナメイルのことであり、サリアたちのことなのだろうか。

サリアは、以前はすっかり自信喪失していたのが、ラグナメイル「クレオパトラ」を駆ってアンジュの駆るヴィルキスと互角に戦えることに喜び、「わたしは変わったの!」と言い、すっかりエンブリヲに心酔しているが、エンブリヲに何を吹きこまれたのだろうかと思う。
エンブリヲに自尊心をくすぐられ、強くなればジル司令もサリアを認めるようになるなどと言われたのだろうか。

エルシャとクリスは成り行き上、エンブリヲの部下になったのだと思う。
特にエルシャは、アルゼナルの子供たちの保護が条件であれば、エンブリヲに従うほかないように思える。
この元パラメイル第一中隊の三人は、アルゼナル勢力と再会したらどうなるのだろうか。

またアルゼナル側であるが、並のパラメイルが束になっても、ラグナメイルには対抗出来るとは思えない。ヴィルキスもラグナメイルではあるが、ラグナメイル5機を倒すことは困難に思える。
ジル司令は、どのような作戦でエンブリヲを倒すつもりなのであろうか。
今後明かされるのが楽しみである。

【サラ、アウラ奪還作戦をアンジュに伝える】
アンジュたちはドラゴン族の世界、平行宇宙に存在するもう一つの地球のドラゴン族の都にいる。
そして今回、物語は露天風呂から始まる。

晴天のもと、アンジュとサラは露天風呂で湯船に浸かっていた。
その近くには、サラの側近、ナーガとカナメが正座で控えている。

お湯の中でサラはアンジュに、アウラ奪還のためミスルギ皇国に攻め込むことを明かす。ミスルギの地下、最深度機密区画でアウラを発見したとのリザーディアの報告を受け、作戦決定したのだと。

これにアンジュは驚き、自分にも作戦に参加しろというのかと聞くが、サラは「まさか。あなたは自由ですよ、アンジュ」と笑い、ともに戦ってくれるならこれほど心強いことはないのだがという。サラとしては、出来ればアンジュには自分たちと一緒に戦う道を選んでほしいと思っているようである。

そしてアンジュには民を救ってもらった恩義があり、アンジュの望みには出来る限り力になると申し出た。
サラの言葉に、アンジュはすぐには答えられない。

【アンジュ、苦悩する】
機体を整備するタスクの近くで、アンジュは思い悩んでいた。
タスクは、ドラゴンたちとミスルギ皇国に攻めこむことも悪くはないと思う、エンブリヲに大打撃を与えることが出来ると言う。

だがアンジュには分からなくなっていた。
ドラゴンが世界を侵略する敵というのもウソ、アルゼナルの戦いが世界を守るためという話もウソ、何もかもが嘘だったという事実を突き付けられ、何もかもが信じられない。
ドラゴンとともに戦ったとしても、それが間違いだったとしたら…。
一体、何が正しいのかと。

するとタスクは言う。
何が正しいかは誰にも分からない。
何が正しいかではなく、大切なのはアンジュがどうしたいかであり、アンジュは自分を信じて全力で進めばよく、全力でアンジュを支えると笑う。

タスクの言葉にアンジュは照れながら、そんな自分勝手が許されるわけがない、だがその脳天気なところの救われると言って笑う。

タスクはおどけて、「お褒めに預かり光栄です」とうやうやしく一礼するのだが、工具を踏んづけて転倒、アンジュの股ぐらに顔を埋めた。
不可抗力なのだが、このセクハラにアンジュは激怒。
「この永久発情期が!」と叫び、タスクを川に放り投げるのだった。

【ドラゴン族の宴】
ラミアは、助けてもらった礼にアンジュを宴に招待した。
都の人々を助けてくれた礼を言うラミアに、自分はサラを少し手伝っただけとアンジュは謙遜する。ラミアに対しては、礼儀正しく振る舞うアンジュである。
そしてアンジュは、竜巻で廃墟と化した街に目を向け、助けられなかった人も大勢いますといい、顔を曇らせた。

一方、両腕はギブスで固定されたタスクは、ドラゴンの少女たちから焼いた肉を食べせてもらっていた。
タスクの両腕は、アンジュに川に放り込まれた時に負傷したようである。

ドラゴン少女たちは「食べてくれた♪」「男の人ってカワイー」と、人型の成人男性に興味津々。
タスクもまんざらではなさそうなのだが、そこに不機嫌そうなアンジュが現れ、肉と野菜を突き刺した金串の先端に突き刺した松茸を喰いちぎった。
アンジュの怒気にタスクは震え上がり、ドラゴン少女たちはアンジュを恐れて逃げ去った。

怯えるタスクの隣にアンジュは腰を下ろすと、バーベキューの肉を差し出し、怪我をさせたことはやりるすぎたと謝り、食べさせてあげるという。
タスクは笑顔で謝罪を受け入れ、アンジュに食べさせてもらえる味は格別と笑う。

アンジュは、宴を楽しむドラゴン族の人々を、都の人々を眺め、穏やかな笑みを浮かべて言う。
この地の人々はマナが無くても、辛いことがあっても、力一杯生きていると。

そして「アルゼナルみたいなんだ…」とつぶやくと立ち上がり、「モモカが待っているもの」と言い、自分たちの世界に帰ることを決意するのである。
アンジュとしては、どうすべきかはまだ見出だせないが、まずはモモカたちと合流して無事を確認し、それから先のことはそれから考えようというところだろうか。

そこにサラが、ナーガとカナメを従えて姿を見せた。
サラはアンジュの言葉に、またアンジュと戦うことになるのかもしれないと思い、表情を曇らせる。

一方ナーガは、アンジュは危険であり、今すぐ拘束すべきだと主張。
カナメは、アンジュは都の人々を救ってくれたと言い、アンジュは信頼できると説く。
だがナーガは、つい最近まで殺しあっていた相手なのだと言い、なかなかアンジュを信じられない。

するとアンジュは、もうあなた達とは戦わないと言う。
ナーガは呆気にとられてしまうが、サラは笑顔でアンジュの言葉を受けとめた。
なおも納得できないナーガに、サラは友を信じるのに不思議はないと言い、アンジュに手を伸ばす。
アンジュはサラの手を握って握手を交わし、戦いが終わったら今度こそ決着をつけようと言うサラに「次はカラオケ対決でね」と笑い、再戦を誓い合うのであった。

【ラミア、ヴィヴィアンを送り出す】
ラミアの家で、アンジュはヴィヴィアンとラミアに、元の世界に帰る決意を伝えた。
するとヴィヴィアンは、みんながどうなったか気になると言い、当然のように自分も帰るつもりになるが、アンジュはラミアの方を向くと顔を曇らせた。
ヴィヴィアンは、元の世界に帰るということは、負傷した母ラミアと別れることに思い至り、複雑な表情でうつむいた。

一方、ラミアは無言で立ち上がり、松葉杖をついて部屋の奥に行き、戻ってくると「ここでクイズです。これは何でしょう?」と言いながらヴィヴィアンに小さな上着を見せた。
そして「これはあなたが小さかった頃の服でした♪」と笑う。

今はこの服が着れなくなるほど大きなったのは、その分多くの人達に出会い、多くの思い出も出来たのだろうと言い、ヴィヴィアンが頷くと、ラミアは笑顔で言う。
「じゃ、帰らなくちゃ、皆の所へ」

ラミアはヴィヴィアンを抱きしめ、互いに抱擁を交わした。
そしてヴィヴィアンはラミアの元にまた帰ってくることを笑顔で誓った。

【ドラゴン軍団、集結】
翌日。神殿の前には、ドラゴン族の戦士たちが続々と集結、多数の大型ドラゴンを中心とする大軍勢が居並んでいた。
これこそアウラ奪還のために結成された軍団であり、これまでアルゼナルが戦ってきたドラゴンの軍勢とは、桁違いの規模である。

そして戦士たちの前に、大巫女が姿を見せ、作戦の大義を説き、戦士たちを鼓舞する。
すると大巫女の言葉に、戦士たちの士気はこれまでになく高まるのである。

【ドラゴン軍団、出陣】
ドラゴン軍団は総司令サラの号令で飛翔、出陣する。
アンジュの駆るヴィルキスと、タスクとヴィヴィアンの搭乗する小型機も飛翔、軍団の最後尾を飛行する。

タスク機のヴィヴィアンは、笑顔でアンジュとタスクに、ドラゴンたちが勝ったら戦いは終わってヒマになる、そうしたらどうするかと言い、「サリア達みんなをご招待するんだ、アタシんちに!!」と言って屈託のない笑みを浮かべる。そしてタスクはどうするのか尋ねた。

タスクは少し考えると、海辺の街で「天使の喫茶店アンジュ」という小さな喫茶店をアンジュと開き、子供は四人などと言い出した。

これにアンジュはジト目でヴィヴィアンに、タスクを突き落として良いと言う。
タスクは慌ててそういうのではなく、戦いが終わったら穏やかな日々が来ればいいと思っているだけと言って笑う。

ヴィヴィアンは、アンジュにも戦いが終わったらどうしたいか聞くのだが、アンジュは答えられない。

【伏兵、ドラゴン軍団を奇襲】
その時、空に円形の特異点が開いた。
会話はここまでとなり、サラは自ら先陣を切ってドラゴン軍団を率い、特異点をくぐり抜けていく。

だが、眼前には大海原が広がっており、ヴィヴィアンはここは自分たちの海だと気付く。
特異点はミスルギ皇国上空に開くはずなのにどういうことなのか、サラたちは周囲を警戒する。

その時、多数のミサイルが飛来。
ドラゴンたちは回避行動を取り、大型ドラゴンは障壁を展開。
だが少なくないドラゴンがミサイルの直撃を受けて死傷、海へ落下していく。

爆炎が晴れると、サラたちは5機の黒い機体が編隊を組んで接近してくることに気付いた。
黒い機体たちは、銃を構えると中距離砲撃戦を開始。

大型ドラゴンは障壁を展開するが、黒い機体の砲撃は障壁を貫いてドラゴンの頭部を直撃、破壊。大型ドラゴンたちは次々と討たれ、海上に落下していく。

サラは全軍に敵の殲滅を命じ、自ら剣を振るって黒い機体に突撃。
全軍は必死で反撃を試みるが、黒い機体の攻撃力、機動性、防御力は圧倒的であり、ドラゴンは次々と撃墜されていく。
カナメの率いる右翼の損失は3割を突破。
ナーガの率いる左翼は、敵のあまりの猛攻に戦線を維持できない。

ドラゴン軍の危機に、アンジュはヴィルキスのアクセルを踏み込んで急加速し、サラの助太刀に向かう。

黒い機体の一機が抜刀、サラの機体に襲いかかるが、アンジュはヴィルキスで割って入り、敵機の攻撃を剣で受けとめた。

【アンジュ、サラに撤退を説く】
ドラゴン軍の劣勢は明らかであり、このままでは全滅は時間の問題である。
アンジュは、自分が敵軍を食い止めている間に撤退するようサラに説く。
だがサラはアウラ奪還をあきらめきれず、撤退を受け入れらない。

するとアンジュはサラを一喝して叫ぶ。
ドラゴン軍の損害は甚大、この状態ではアウラ奪還など不可能、ここは兵を退き、軍をまとめ直して再起をはかることを説く。

サラはアンジュの言葉に、指揮官の本分を取り戻す。
全軍に作戦中止と特異点への撤退を命じ、自らはナーガ、カナメと共に敵部隊の前に立ち塞がり、後退するドラゴン軍を援護する。

そしてアンジュはヴィルキスを駆り、黒い機体とドッグファイトを繰り広げるが、ついに弾切れとなり、予備弾倉の弾も撃ち尽くしてしまう。
舌打ちするアンジュに、サラは自機の銃を投げ、アンジュはこれを掴むと再び銃撃を再開、ドラゴン軍の撤退を援護する。

一方、黒い部隊の隊長は、部隊を二手に分ける。
まず二機のライダー、ターニャとイルマに撤退するドラゴンの追撃を命じた。
そして自機を含む三機はヴィルキスに向かう。

【サリアたちとの再会】
黒い部隊の隊長機はヴィルキスと並んで飛行。
そして駆逐形態から飛行形態に変形、そのライダーが顔を見せた。

何とジュリオ軍との戦闘中、アンジュを捕らえようとして返り討ちにあって海に落ちたサリアである。

さらに二機の黒い機体が飛来。
ヴィルキスと並んで飛行しながら飛行形態に変形、ライダーが顔を見せるが、何とエルシャとクリスである。
この二人はジュリオ軍の猛攻の中、エンブリヲに保護され、成り行き上エンブリヲの部下になったようである。

なお公式HPによると、サリアたちの駆る機体は絶対兵器ラグナメイルであり、サリアの乗機はクレオパトラ、エルシャの乗機はレイジア、クリスの乗機はテオドーラという。どうりで圧倒的な強さのはずである。

【エンブリヲ、虐殺を見物】
この戦闘を、暗い部屋の画面で眺めている人物がいた。
マナ諸国の黒幕、エンブリヲである。

その近くには、両手を縛られたリザーディアが、全裸で吊るされている。
どうやらエンブリヲは、リザーディアがスパイと知りながら泳がせておき、土壇場でリザーディアを拘束、特異点をミスルギ皇国の遥か遠くに開き、ラグナメイルで待ち伏せしてドラゴン軍団に大打撃を与えた、ということのようである。

さらにエンブリヲは、ドラゴン軍団が一方的に殺される姿をリザーディアに見せるという握手身振りである。

そしてエンブリヲはアンジュの駆るヴィルキスを見ながら、古めかしい電話機の受話器を取り、いずこかへ電話をはじめた。

【ドラゴン軍、撤退完了】
サリアはアンジュに、なぜドラゴンと一緒に戦っているのか問う。
その時、何者かからサリアに通信が入った。エンブリヲである。

通信が終わるとサリアはアンジュを拘束すると言い渡し、駆逐形態に変形。
エルシャとクリスも、サリアの命令に従い、アンジュ拘束に動き出す。

一方、ドラゴン軍の残存部隊は全て特異点内に後退。
だがアンジュは依然としてラグナメイルの編隊と交戦中である。
サラはアンジュの安否に気が気でないが、総大将の責務を放り出してアンジュの元へ駆けつけるわけにもいかない。

ついに特異点は閉じ、ドラゴン軍は撤退に成功した。
だがアンジュとタスク、ヴィヴィアンは敵前に取り残された。

【戦技!シャイニング・ローズ・トライアングル】
サリア機は抜刀して斬撃。
ヴィルキスも抜刀、サリア機の斬撃を受けとめる。
刃で押し合うサリア機とヴィルキスだが、サリアはアンジュと互角に戦えることを喜んで叫ぶ。
「あなた、こんなに弱かったんだ…。
ううん、強くなったのは私。エンブリオ様のおかげで、わたしは変わったの!」

サリア機はヴィルキスに蹴りを入れて距離を取り、エルシャとクリスに陣形『シャイニング・ローズ・トライアングル』を命じる。

これにクリスは「ダサっ」とつぶやき、エルシャは技の名前に苦笑、サリアのセンスに呆れながらも「了解よ」と応え、戦技を繰り出す。

まずはエルシャ機とクリス機が、それぞれヴィルキスの左右の腕にワイヤーを射出。
ワイヤー先端のブレードはヴィルキスの腕部装甲に突き刺さり、両腕の自由を奪う。

そしてサリア機がワイヤーを射出。
ワイヤーはヴィルキスの首に巻き付く。
さすがのヴィルキスも両腕と首の自由を奪われ、身動きがとれない。

【ヴィヴィアン、ワイヤーを爆破】
その時、ヴィヴィアンが爆弾を手に空中から落下。
ヴィルキスを拘束するクリス機のワイヤーを掴み、爆弾を取り付けて再び宙に踊る。

直後、爆弾は爆発。
ワイヤーは千切れ、ヴィルキスは片腕の自由を取り戻す。

そして落下するヴィヴィアンを、タスクが小型飛行機で受け止めて飛翔。
ヴィヴィアンの出現にエルシャは驚き、クリスはヴィヴィアンの人間離れした体術に驚愕する。

続いてタスク機はエルシャ機を銃撃。
エルシャ機は銃撃をかわすが、ヴィルキスを拘束するワイヤーは外れてしまう。

アンジュはヴィルキスのアクセルを踏み込んで加速、サリア機を引きずって飛行する。
ヴィヴィアンは更に、ヴィルキスの首を拘束するワイヤーを銃で狙う。
だがサリアはヴィヴィアンの銃を撃って弾き飛ばし、「邪魔しないで!」と叫ぶ。

「アンタをエンブリオ様の所へ連れていく」というサリアに、「何がエンブリヲ様よ!あなた、あの気持ち悪いな髪形のナルシストの愛人にでもなったんじゃないでしょうね!」とアンジュは怒鳴る。

するとサリアはエンブリヲを侮辱されたことに激怒。
サリア機のパワーを上げ、ヴィルキスの首に巻きつけたワイヤーを怪力で引っ張り、動きを止める。そしてエルシャとクリスに、もう一度シャイニング・ローズ・トライアングルを放つことを命じた。

【ヴィルキス、瞬間移動】
このままでは、ラグナメイル3機を敵に回したヴィルキスが圧倒的に不利である。

するとアンジュはヴィルキスに向かって「跳びなさい!」と怒鳴りだした。
一方、サリアたちはアンジュの行動に困惑、アンジュの様子を伺う。

アンジュはタスクがエンブリヲからラグナメイルで砲撃された時、ヴィルキスがタスク達もろとももう一つの地球に瞬間移動した。あの時のように、この場からどこか別の場所に瞬間移動せよとヴィルキスに求めているである。
だがヴィルキスは何の反応もしない。

アンジュは「跳ばないと、ぶっ飛ばすわよ!」とヴィルキスを脅迫。
するとアンジュの指輪が光り、ヴィルキスの目が赤く光り、機体が青く輝くと、タスク機もろとも消えてしまった。
これにはサリアも、エルシャとクリスも驚いて言葉も出ない。

一方ヴィルキスとタスク機は、陸地近くの空間に出現、そのまま不時着した。
何と、アルゼナル基地の島である。

【アンジュ、モモカたちと再会】
その夜、アンジュたちは焚き火を囲み、火で炙った魚を食べながら、モモカたちの安否を心配していた。基地内には誰も見当たらなかったのだが、タスクはジル司令ならば皆を率いて安全なところに避難しているだろうといい、アンジュを慰める。

その時、海中から三体の黒い影が現れた。
黒い影には目鼻が見えず、アンジュとタスクは「お化け?!幽霊?!海坊主?!」と叫んで激しく動揺する。
アンジュには怖いものなどないのかと思っていたが、お化けは苦手なようである。

やがて、くぐもった声が聞こえてくるのだが、何とアンジュの名を呼んでいる。
アンジュはますます怯えてタスクの頭に抱きつき、ちがう!と叫ぶが、黒い影のうちの一体は頭に手をかけると頭巾を取り外し、素顔を見せた。
何とモモカであり、モモカはアンジュの名を呼びながら駆け寄り、アンジュを抱きしめた。

残る二体の黒い影も頭巾を取り外すが、その正体はヒルダとロザリーである。

ヒルダも笑顔でアンジュに駆け寄って無事を喜ぶ。
だがタスクを見ると途端に険しい表情になり、タスクの股間を乱暴に握ると「やっぱり男…」と言い、非友好的な目でタスクを睨むのであった。

【予告】
第18話「決別の海」

次回は、アンジュが何かと決別するのか。
ジル司令率いるアルゼナル勢力とであろうか。
気になるところであり、次回も注目したい。

クロスアンジュ 天使と竜の輪舞 第16話「共鳴戦線」

  • 2015/01/25(日) 23:59:42

【感想概略】
今回は、アンジュとサラがスポーツ対決と、未知の危機にともに挑む中で互いを認め合い、サラがアンジュの人間性に惚れ込む姿が描かれ、ヴィヴィアンとラミアが母娘の絆を深める姿が描かれ、ナーガがサラのことでは暴走する姿が描かれ、おもしろかった。

サラは古代の文献から、古代の競技を蘇らせたとのことだが、その文献には「エースをねらえ」「巨人の星」「プロゴルファー猿」などのスポーツ根性もの漫画も含まれているような気がする。

またサラは、五角以上の強さの者と競い合うのが楽しいとのことだが、それならばヒルダやジル司令と勝負することもお勧めしたい。
ヒルダは、素手の強さならアンジュと互角だろう。さらにジル司令は、素手のケンカの強さではアンジュを圧倒している。
ドラゴン族がアルゼナル勢力と同盟を結んだ暁には、親善試合を行えば名勝負が見られるかもしれない。

【リィザ、大巫女に拝謁】
アンジュたちはいまだ、ドラゴン族の世界、すなわち平行宇宙に存在するもう一つの地球にいる。
そして今回の物語は、ドラゴン族の都、大神殿の大広間からはじまる。

大広間の最奥には大巫女が鎮座。
その左右にはそれぞれ四人ずつ、計八人の大臣将軍が控える。その中には、サラこと右近衛中将サラマンディーネも控えている。
これが、ドラゴン族の民政軍政を司る首脳陣のようである。

そしてドラゴン首脳陣に一人の女性が拝謁していた。
彼女こそ、ミスルギ皇国近衛長官リィザ・ランドック、その正体はドラゴン側のスパイ・リザーディアである。
よく見るとリザーディアの姿は立体映像であり、アンジュたちの世界から通信で報告しているようだ。ドラゴン側の科学技術もかなりのものであることがうかがえる。

リザーディアは、首脳陣に報告する。
かつてエンブリヲによって連れ去られた神祖アウラは、ミスルギ皇国の地下に閉じ込められていると。

大巫女たちは、ようやくアウラの正確な位置が判明したことを喜び、リザーディアの功をねぎらう。
そして大巫女は「これよりエンブリオの手から、全能の母アウラを奪還する」と宣言。
アウラ奪還の作戦発動を決定するのである。

ドラゴン族にとって、偉大なる始祖アウラを奪還し、再び共に歩むことは長年の悲願であり、この夢を現実のものと出来る目処がついたのであり、首脳陣の感動も並々ならぬようである。
だがサラは複雑な表情をしており、その心中にあるのは喜びばかりではなさそうである。

【アンジュ、タスクを簀巻きにする】
朝、アンジュはサラにあてがわれた宿舎の寝室で目をさました。
サラはアンジュをあくまで客人としてもてなしているのであるが、アンジュの内心は複雑な様子である。

物思いにふけるアンジュはソファに腰をおろすが、それはソファではなく、布団に簀巻きにされたタスクであった。
この扱いに抗議するタスクに、アンジュは平然と「欲求不満のケダモノと一緒に寝るのは危険でしょ?」と言う。
前日タスクが全裸で拘束され、ドラゴン少女たちの性教育に協力していたことに怒ってのことのようである。
だが、両手両足の自由を奪ったまま長時間放置するのはさすがにやり過ぎであり、もう許してやろうと思ったのか、タスクを縛る紐を解いていくのだが、タスクはバランスを崩し、アンジュに覆いかぶさってしまう。

そこにサラが、ナーガとカナメを従え、アンジュたちを起こしに姿を見せた。
アンジュたちの姿を見てサラは少し驚くが、笑顔で「朝の交尾中でしたか。どうぞお続けになって」と言い、理解を示す。
だがアンジュは羞恥に顔を真赤にし、いつまでも覆いかぶさっているタスクを殴り倒すのであった。

【アンジュたち、豪華な朝食をとる】
アンジュたちはサラに連れられて広間に行くと朝食が用意されているのだが、かなり豪勢な和食である。

そこではヴィヴィアンが、母ラミアと既に食事をとっており、ヴィヴィアンはアンジュに笑顔で手をふる。ヴィヴィアンとラミアは、母娘とはいえよほど意気投合したようで、夜通し話し続け、結局徹夜したそうなのだが、二人とも全く疲れた様子が無い。
ヴィヴィアンは握り箸でラミアと談笑しながら、もりもり食べているのだが、アンジュはサラたちをそう簡単には信用できず、毒でも入っていたらどうするのか、情報入手のため懐柔するなど常套手段とヴィヴィアンを心配する。

だがサラに笑顔で「冷めないうちに召し上がれ」と促されると、おそるおそる口をつけ、複雑な表情を浮かべながら満腹になるまで食べるのだった。
マズイと言わなかったところを見ると、味はアンジュの口にあったようである。

【古代の競技場】
朝食後、ヴィヴィアンはラミアに連れられ、生家に向かった。
アンジュはヴィヴィアンを見送るとサラに問う。
「茶番はもう十分よ。あなたの目的は何?私達をどうするつもり?」
アンジュとしては、サラは何か企んでいるのであり、回りくどいことをせずに要求を言えというところだろうか。

するとサラはアンジュとタスクをとある場所へ連れて行った。
そこはどう見ても、現代のボウリング場、テニスコート、ドーム球場であり、完全に手入れされており、小奇麗な屋内には煌々と明かりが灯っている。
アンジュは、初めてみる用途不明の施設に驚くのだが、サラはここを古代の競技場であり、多くのもののふ達が強さを競い合った場所だと紹介、これにタスクは完璧な保存状態だと感動の様子である。

するとナーガが、ここぞとばかりに熱弁をふるいだした。
これはサラが古代の文献を研究して復元したのだと。
さらに龍神機もサラが復元したのだと興奮気味に言うのだが、カナメから脇腹をつつかれ、それは機密事項と注意され、途端にしゅんとした顔になり、ごめんなさいと謝罪するのである。
ナーガがサラを深く敬愛しており、サラのことを誰かに自慢したくて仕方がないことがうかがえる。

【サラ、アンジュに勝負を挑む】
アンジュはサラに、ここで何をするのか問う。
だがサラは答えず、アンジュに共闘を提案した。
「全ての元凶はエンブリオです。
私達はアウラを、あなた達は自由を…。
目的は違えど、倒すべき相手が同じなら協力できる」

だがアンジュは笑うと「結局あなたも私を利用したいだけなんだ。戦力として」と言い、サラの提案を拒絶した。
するとサラは悪びれずに「その通りです」と答え、「もう誰かに利用されるのはうんざり…ですか?」と挑発するようにいうのだが、これはアンジュの図星を突いたようである。

厳しい表情で無言のアンジュに、サラは提案する。
「勝負しましょう?アンジュ。
私が勝った暁には、あなたには私の所有物となって頂きます。
その代わり、あなたが勝てば、お二人は開放しましょう」

思わぬ提案にアンジュは驚く。
だが、戦って運命を切り開くのがアンジュの信条である。
「奴隷か自由か…自分の手で掴み取れってことね。やってやろうじゃないの」と言い、サラの挑戦を受けるのである。

【アンジュVSサラのスポーツ対決】
こうしてアンジュとサラの「古代の競技」による戦いが始まった。

最初の勝負はテニス、先攻はサラである。
サラはいきなり鋭いサーブを撃ち込み、先制。アンジュを圧倒する。
だがアンジュはすぐにサラの攻撃に追いつくようになり、互角の勝負を展開。
その様はまさに「エースをねらえ」の世界である。

続いての勝負は野球。
投手はアンジュ、打者はサラである。
マウンドのアンジュは足を高々と上げ、その足を踏み下ろしながら豪速球を投げる。
バッターボックスのサラは、アンジュの豪球をバットに捕らえ、渾身の力で打ち返す。
その姿はまさに「巨人の星」である。

続いての勝負はF1レース。
レース場でアンジュとサラはF1カーを駆り、猛スピードで激しく競り合う。
その姿はまさに「サイバーフォーミュラー」である。
また、アンジュのヘルメットに「Ange」、サラのヘルメットに「Salamandinay」とプリントしてあるところに、サラのこだわりが感じられる。

続いての勝負はゴルフ。
真剣な表情でアンジュはボールを見定め、ボールを打つ。
するとボールは、風になびくピンフラッグに命中、そのまま落下、見事カップインした。
これこそ「プロゴルファー猿」に登場する技「旗包み」である。
これにアンジュは満面の笑みで飛び上がって大喜び、見事なプレイにサラは舌を巻く。

続いての勝負は卓球。
そして続く勝負はUFOキャッチャーなのだが、サラの認識ではこれも競技なのだろう。
闘志あふれるアンジュがアームで掴むのは、「超力ロボ・ガラット」の主人公機・ジャンブーであり、同作品の登場メカ・カミーグ、「太陽の牙ダグラム」のクラブガンナー、「ガンダムSEED」のアスラン、ラクス、キラの人形も見える。

【アンジュvsサラのツイスターゲーム】
続いての勝負はツイスターゲームである。
アンジュもサラも次々と出される指示に従い、円に手を乗せ足を乗せているのだが、無理な体勢に二人とも汗だくである。

一歩も退かないアンジュとサラだが、サラはアンジュの目を見ると戦意あふれる笑みを浮かべて言う。
「今まで私と互角に戦えるものなど、いませんでしたから…ですから、すごく楽しいのです」

サラが指示に従って足を円に置くと、お尻がアンジュを押す形になった。
押されたアンジュが押し返すと、サラは手足だけで身体を支えきれず、思わず尻尾を円に乗せてバランスをとってしまう。
これにアンジュは納得できず、尻尾は反則だというとサラの尻尾に歯を立てて噛み付くと、サラは耐え切れず、アンジュを巻き込んで倒れてしまう。

サラは「尻尾を噛むのは反則です!」と叫んで抗議するのだが、目尻には涙が浮かんでおり、尻尾を噛まれることはサラにはかなり効くようである。

常に余裕な表情のサラの思わぬ反応にアンジュは「泣くことないでしょ」と言って笑うと、サラもつられて笑ってしまう。
二人とも、思い切りぶつかり合い、競い合うことにすっかり熱中してしまい、互いのガッツに敬意を抱き、もはや賭けなどどうでもよくなってしまっているようである。

【アンジュとサラ、一時休憩】
アンジュとサラは、シャワー室で一緒にシャワーを浴びながら、互いの健闘をたたえ合う。

エアリアでもここまで追い詰められたことは無いと言うアンジュにサラは、では今度はエアリアで勝負しましょうと言う。
だがアンジュは、「無理よ…ノーマには出来ないから…」と言い、顔を曇らせる。

するとサラはアンジュに問う。
マナが使えない人間を差別することを、何とも思わないのか。
アンジュがかつて皇女として、人々を導く立場にいたことは知っている。
世界の歪みを正すのも、指導者の使命ではないのかと。

これにアンジュは反論する。
「私はもう皇女じゃない。
歪んだ世界でも満足してる人間がいるんだからいいんじゃない。
結局、世界を変えたいのはあなた達。
エンブリヲもアウラも、私には関係ないわ。」

しかしサラは、そう簡単に引き下がらず、アンジュに問う。
「では、これからどうするのですか?
真実を知りながら、どこへも行けず、何もしないつもりですか?」

アンジュは無言でサラを睨むが、サラの言葉を心から否定しきれず、しかしどう行動したものか見出だせないというところだろうか。

【謎の竜巻が発生】
その時、地響が大地を揺らした。
アンジュとサラはすぐに着替えて屋外に出ると、空は黒雲に覆われ、アウラの塔を中心に巨大な竜巻が吹き荒れている。

サラが呼ぶと、焔龍號が飛翔形態で飛来。
焔龍號にサラは飛び乗り、アンジュに「勝負の続きはいずれ」と言い残すと竜巻に向かって飛び立った。

アンジュとタスクは大型ドラゴンに乗って神殿に戻るとそれぞれ自分の機体に搭乗、街へ向かって飛び立った。ヴィヴィアンを助けるためである。
ヴィルキスはいまだ修理が完了しておらず、どんなトラブルが発生するか分からない。
だがヴィヴィアンのためならば、アンジュはそんなことは気にしない。
実は熱血で友情に篤いアンジュである。

【エンブリヲの竜巻】
ヴィヴィアンとラミアは必死で竜巻から逃げていたが、エアバイクのような機械がヴィヴィアンに向かって飛んできた。ラミアはヴィヴィアンを突き飛ばして庇うが、自分が機械の下敷きになってしまう。
ラミアはヴィヴィアンが無事であったことを喜び、すぐに逃げるようにいうが、ヴィヴィアンは決して逃げようとせず、何とか機械をどかそうとする。

一方、サラは焔龍號で竜巻に接近、避難誘導を行うが、根本的解決にはどうすればよいのか見当すらつかない。
さらに大巫女はサラに撤退を命令する。
サラは民を救いたい気持ちと命令の板挟みになってしまう。

そこにアンジュがヴィルキスで飛来、焔龍號に向かって飛んできたエアバイクを剣で両断する。
そしてアンジュは、眼下に広がる光景が通常の自然災害とは異なることに気付いた。
竜巻の暴風圏にはミスルギ皇国の街並みが姿を見せ、これがドラゴンの街並みと融合して倒壊、そして人間が壁に飲まれてしまっている。

タスクは、この竜巻は、時間と空間を自由に操ることが出来るエンブリヲの仕業と言い、かつてタスクの父も仲間も石に飲まれて死んだのだと明かした。

【アンジュ、収斂時空砲の二段戦法を提案】
サラはエンブリヲの竜巻にどう対処すればいいのか思いつかない。
するとアンジュは、アルゼナルを半壊させた兵器で竜巻を撃って消滅させることを提案する。
だがサラは却下する。
収斂時空砲は威力が強すぎて、都はおろか神殿ごと消滅してしまうと。

アンジュは「3割引で撃てばいいじゃない!!」と言うと、サラは「そんな都合よく調節できません!」と叫ぶ。

もはや万策尽きたと思える状況だが、決して諦めず、戦い続けるのがアンジュである。
アンジュは、アルゼナル上空でサラの駆る焔龍號と戦った時、互いに肩から発射する光線をぶつけ合って打ち消したことを思い出して提案する。
「あなたが撃った奴を、私が撃ち消せばいいのよ!!あの時みたいに」

だがアンジュの思いついた方法が上手くいくかは全く分からず、躊躇するサラにアンジュが叫ぶ。
「あなたお姫様でしょ、サラマンマン!!
危機を止めて、民を救う。
それが、人の上に立つ者の使命よ」

【アンジュとサラ、竜巻を砲撃】
民を救うため、やれることを全力でやれというアンジュの気迫に、サラもついに覚悟を決めた。
サラは焔龍號を駆逐形態に変形、「永遠がたり」を歌い始めた。
すると肩のパーツが開いて収斂時空砲がせり出し、エネルギーのチャージが開始される。

一方、アンジュもヴィルキスを駆逐形態に変形、「永遠がたり」を歌い始めると収斂時空砲を展開、エネルギーのチャージを開始する。

そして焔龍號が収斂時空砲を発射。竜巻に命中した。
続いてアンジュはヴィルキスで収斂時空砲を撃とうとする
だが修理完了していない機体が負荷に耐え切れなかったのか、ヴィルキスの機体各所が爆発。
機体は制御を失い、落下していく。

もはや絶対絶命なのだが、アンジュは「あなた、世界を滅ぼした兵器なんでしょ!気合いれなさい!」とヴィルキスを叱咤。

するとヴィルキスは失った右腕を再生。
機体の動力も息を吹き返し、再び上昇すると収斂時空砲を発射、直撃。
焔龍號とヴィルキスそれぞれの収斂時空砲と竜巻は、打ち消し合い、竜巻は消滅した。

【あなたの友達になりたい】
街の被害は大きいが、アンジュとサラの活躍により、これ以上の被害の拡大は食い止められた。
ラミアとヴィヴィアンも助かっており、抱き合って互いの無事を喜ぶ。

サラはアンジュに笑顔で礼を言う。
アンジュは「友達を救けただけよ…」と言ってそっぽを向くが、サラを見て照れ笑いする。

サラは「まさかあの歌に助けられるとは…あなたが歌ったのは、かつてエンブリオがこの星を滅ぼした歌…」といい、アンジュに歌をどこで覚えたのか問う。
アンジュは「お母様が教えてくれたの…どんな時でも進むべき道を照らすようにって」と答えて笑う。
するとサラは、自分たちも同じ、自分たちの歌もアウラから教わったものといい笑う。

そしてサラはアンジュに言う。
「教えられました。おのれの未熟さを。
みんなを守って危機も止める。指導者とはそうあらねばならないのだと。
私も、あなたの友達になりたい。
共に学び、共に歩く友人に」

サラとしては、あくまで破壊のための力と思っていたものが人助けにも利用できたこと、そして破壊兵器であっても用途にこだわらずに利用してしまうアンジュの柔軟さ、危機における胆の太さ、友人のためなら自分の危険を顧みない情の篤さ、民のために全力を尽くし、決して諦めず戦い続けるその漢気に惚れ込んだ、というところだろうか。

するとアンジュはサラに言う。
「長いのよね。サラマンデンデンって。
サラ子って呼んでいいなら」

さすがにこの提案にサラは引きつり、「では私も、あなたのことはアン子と…」と言う。
だが「それはダメ」と即座に却下するアンジュであった。

【予告】
次回「黒の破壊天使」

クロスアンジュ 天使と竜の輪舞 第15話「もう一つの地球」

  • 2015/01/18(日) 20:50:07

【感想概略】
今回は、ドラゴン側の世界の正体、そしてアンジュたちの世界の正体が明かされ、サラの正体とその人間性の一端が描かれ、ヴィヴィアンの出自と母との再会が描かれ、その中であくまで自分の人生と戦うアンジュの姿が描かれ、おもしろかった。

だがさすがのアンジュも、これからどう行動するかすぐには見出だせないようである。
そして、アンジュを客としてもてなし、世界の真実を丁寧に説明するサラの真意は、まだ明らかではない。サラの望みは、エンブリヲを倒し、アウラを取り戻し、マナの力を失ったアンジュたちの世界と和解し、共存していくことなのだろうか。

また、アンジュ側の世界の、ジル司令たちの動向、そしてサリア、エルシャ、クリスとジュリオ軍に捕らえられたターニャたちの現状、エンブリヲとマナ諸国の動向も気になるところである。
引き続き次回にも注目したい。

【アンジュたち、ドラゴンに連行される】
前回、都市の廃墟で夜を明かすアンジュたちの前に、大型ドラゴンに乗った二人の少女が出現した。この少女たち、背中にはドラゴンの翼、お尻には尻尾が生えている。
公式HPによると、長身で切れ長の目の女性はナーガ、中背に大きな目の女性はカナメという名である。

そして今回。ナーガとカナメは、複数の大型ドラゴンと、多数の小型ドラゴンからなる編隊を率いて飛行していた。

一匹の大型ドラゴンにワイヤーで吊り下げられた古びたコンテナには、アンジュとタスクとヴィヴィアンが乗せられている。
そして別の大型ドラゴンは、ヴィルキスを足でつかんで運んでいる。

暗いコンテナの中で、タスクはアンジュの両肩を掴み、ここがどんな世界でも君を守る、と格好良いことを言う。

普通なら、こういうことを言われた女性は、うっとりとしてヒロイン気分に浸りそうなものである。
だがアンジュは、タスクの言葉にも特に感銘を受けた様子はない。

アンジュはタスクの腕を手で払い、確かにタスクの言うとおり、ここがどんな世界かまだ分からないが、ドラゴン少女たちとは言葉が通じる以上、この世界のことも分かるかもしれないと冷静に頭を巡らすのである。

このアンジュの反応に、タスクはいつものアンジュだと思いながらも、少し前までの情熱的な振る舞いは何だったのだろうかと困惑している。

するとアンジュは意地悪な笑みを浮かべ、エッチしそこなったから欲求不満なのか、本当に男というのは仕様もないと単刀直入に言うのであった。

この指摘をタスクは慌てて否定するが、タスクとしてはアンジュへの恋愛感情は本物であり、だからこそより親密になりたいと思ったのであり、まるで身体だけが目的のようなもの言いは心外、というところであろうか。

【ヴィヴィアン、連れ去られる】
やがてドラゴンの編隊は着地、アンジュたちがコンテナから出ると、ヴィヴィアンは麻酔銃で撃たれ、倒れてしまう。
これにアンジュは何をするのかと抗議して身構えるが、ドラゴン少女たちはアンジュの言葉には答えず、大巫女さまの元へ案内すると言う。アンジュはドラゴン少女たちを睨むが、この場は大人しく従った。

アンジュとしては、大型ドラゴンを含めたこの場の全員からヴィヴィアンを奪って逃走することは困難であり、ひとまず機会を伺うというところだろうか。

【アンジュたち、大巫女たちに尋問される】
アンジュとタスクは、ナーガとカナメに連れられ、大きな建物の広間に連行された。

広間の奥は五段の壇になっており、一段目から四段目までは左右に一人ずつ女性が座り、最奥の五段目には一人が鎮座している。
座っている人々の前には御簾が降ろされており、その姿は分からないのだが、五段目の壇の御簾が最も立派であり、地位の高さを伺わせる。

ナーガとカナメは、壇の奥の人物を大巫女さまと呼んで敬意を払い、アンジュたちを連れてきたことを報告する。
どうやらこの広間にいるのが、この地の首脳たちのようである。

壇上の貴人たちは、早速アンジュに質問する。
「名はなんと申す。」
「特異点は開いておらぬはず。どうやってここに来た」

するとアンジュは、人に名前を聞く時はまず自分が名乗りなさいといい、矢継ぎ早な質問を「うるさい!」と一喝し、質問は1つずつにしてくれと要求。
さらに、ここはどこで、いつで、あなたたちは何者なのかと、逆に質問するのである。

この不遜な態度にナーガとカナメは怒りの色を見せる。
ここは言わば敵地であり、相手を刺激しない方が良さそうなものだが、アンジュはそんな配慮は全くしない。

【アンジュ、サラと再会】
険悪な雰囲気の中、御簾の陰で一人の女性が「威勢のいいことで」と言うと立ち上がり、アンジュたちの前に姿を見せた。
何と、先日ドラゴンの大群を率いてアルゼナルを襲撃した黒髪の少女サラである。
サラは自らを、「真祖アウラの末裔にして、フレイヤの一族が姫。近衛中将サラマンディーネ」と名乗り、「ようこそ、誠なる地球へ。偽りの星の者達よ」と不敵な笑みを浮かべて言う。

サラは、大巫女にアンジュのことを知っているのかと聞かれると、アンジュがヴィルキスの乗り手であり、焔龍號と互角に戦った者だと明かす。

すると壇上から、アンジュを危険視して処刑することを求める声があがりはじめた。
だがアンジュは、死刑なら慣れている、但し、ただで済むとは思わないことだと言うとニヤリと笑い、尋問者たちを脅す。

壇上の貴人たちが動揺する中、サラは貴人たちに説く。
アンジュはヴィルキスを動かせる特別な存在であり、ヴィルキスの秘密を聞き出すまでアンジュを生かしておいたほうが得策と。
そしてアンジュたちの命を自分に預けてほしい言い、この場を収めるのである。

【サラ、アンジュたちをもてなす】
サラは、アンジュとタスクを板敷の和室に案内した。
室内の一角には畳が敷いてあり、サラはそこで抹茶を立て、アンジュとタスクに振るまい、アンジュたちを捕虜ではなく客人として扱うという。

だがアンジュはサラへの警戒を全く解かず、不信の目を向ける。
一方タスクは、控えめな口調でサラに、ここは地球なのか、あなた達は何者なのかと尋ねた。

するとサラは答える。
自分たちは人間である。
ここは地球である。
そしてアンジュたちの世界は、並行宇宙に存在するもう一つの地球であり、一部の人間がこの地球を捨てて移り住んだところなのだと。

この話を聞いたアンジュは理解した。
この地球からアンジュたちの地球に移り住んだということは、アンジュたちの世界に帰る方法があるのだと。

【アンジュ、サラを人質にする】
アンジュは茶碗を壁に投げ付けて割り、大きめな破片を掴むとサラの首筋に突きつけた。
物音を聞きつけてサラの側近、ナーガとカナメが駆けつけた。

カナメは瞬時にタスクの首に薙刀を突きつけ、サラの解放を要求した。

だがアンジュは全く動ぜず、タスクは自分を守るためなら命も惜しくはないと言ってくれた、自分のためなら喜んで死ぬと断言、カナメの要求を一蹴する。
確かにタスクはアンジュを守るとは言ったが、タスクの命を全くかえりみないアンジュの躊躇の無さに顔がひきつっている。

サラは鋭利な破片を突き付けられても全く動ぜず、凛々しい笑顔でアンジュに言う。
「帰ってどうするのですか?
我が同胞を殺す日々がそんなに恋しいのですか?
偽りの地球、偽りの人間、そして偽りの戦い。
あなたは何も知らなさすぎる」

アンジュはサラの言葉に反論できず、言葉出ない。
するとサラは刀を手に立ち上がり、「真実を見せて差し上げます」と言い、ナーガとカナメにタスクを託すと、すたすたと歩き出した。

【サラ、アンジュに世界の真実を明かす】
サラはアンジュと大型ドラゴンの背にまたがり、大きな塔の廃墟に降り立った。
それはミスルギ皇国の暁の御柱そのものであり、アンジュは驚愕する。サラたちは、これを「アウラの塔」と呼んでいるのだという。

サラは、この塔はかつてのドラグニウムの制御施設だと言い、アンジュを連れてエレベーターに乗り、降下を開始。そして世界の成り立ちを語り始めた。

ドラグニウムは22世紀末に発見された、強大なエネルギーを持つ超対称性粒子の一種である。
だが実用化されると、すぐに戦争に利用された。
そして、環境汚染も貧困も格差も差別も民族対立も紛争も、何一つ解決できぬまま、人類社会の滅亡と環境の汚染のみがもたらされた。
生き残った人間の一部は、平行宇宙のもうひとつの地球に逃れ、そこに自分たちの世界を築いた。

一方、残された人間は汚染された地球で生きていくため、環境に合わせて遺伝子操作で身体を作り替えた。

エレベーターはようやく目的地に辿り着いた。
そこは地下の巨大な空間である。

サラは、ここにはかつてアウラがいたのだと言う

アウラとは何か、問うアンジュにサラは言う。
「汚染された世界に適応するため、自らの肉体を改造した、偉大なる始祖」

そしてサラは言うのである。
「私達は罪深き人類の歴史を受け入れ、贖罪と浄化のため、生きることを決めたのです。
アウラとともに。」

男性は大型ドラゴンとなって地表に散らばるドラグニウムを摂取、体内で安定化した結晶とし、世界の浄化のために生きる。
女性はドラゴンと人間、両方の姿になり、社会生活を営み、子を産み育てる。

だがアウラはもういない。
ドラグニウムを発見し、ラグナメイルを生み出し、全てを破壊した元凶、エンブリヲによってもう一つの地球に連れ去られてしまった。

そして、アンジュたちの世界を動かすマナの光りの源こそ、暁の御柱の地下に閉じ込められたアウラの放つドラグニウムのエネルギーなのである。
これは、マナのエネルギーは無限に生み出されると教わってきたアンジュにとっては衝撃だったようである。

だがエネルギーはいつか尽きるものであり、補給が必要である。
そこでドラゴンを殺し、中のドラグニウムをアウラに与える必要があった。

サラはアンジュに告げ、アンジュに問う。
「それがあなた達の戦いの真実。
私達の仲間は殺され、心臓をえぐられ、ドラグニウムを取り出された。
それでも、偽りの世界に帰りますか?」

するとアンジュは即答する。
「当然でしょ?あなたの話が全部本当だったとしても、私の世界はあっちよ」

アンジュとしては、アウラを利用し、ドラゴンを殺してマナの光を維持し、ノーマを差別して虐待する世界のあり方は肯定できないが、だからといってモモカたちを放っておく訳にはいかないというところだろうか。

【アンジュVSサラ】
アンジュの返答に、サラは言う。
「では、あなたを拘束します。これ以上、私達の仲間を殺させるわけにはまいりませんから」

アンジュは、「やれるものならやってみなさい!」と言い、ずっと握りしめていた茶碗の破片を構える。
が、サラは尻尾でアンジュの手を打ち、破片を弾き飛ばす。

アンジュは両腕を構えてファイティングポーズをとり、サラに殴りかかる。
だがサラは、背中の翼を広げて宙に飛び上がってアンジュの攻撃をかわし、背後にまわってアンジュの腕を掴んで押さえつけて言う。
自分たちは残虐で暴力的なアンジュたちとは違うので、アンジュを殺しはしないと。

アンジュはサラの手を振り払い、反論する。
アルゼナルを破壊し、何人死んだか分からないのに、何を言うかと。

するとサラは言い返す。
あれは龍神機の起動実験であり、アウラ奪還にアルゼナルは障害となる危険性があった。
全ては、わたし達の世界を守るためには仕方のないことであり、アンジュもサラと同じ立場なら同じことをしたはずだと。
そしてアンジュがミスルギ皇国の元皇女と知っていること、リィザ・ランドックがサラたちのスパイであることを明かし、不敵に笑うのである。

これにアンジュは激怒。
サラに回し蹴りを放ち、一瞬サラを怯ませた。

だがサラは、アンジュの蹴りを受け止めると足をとってアンジュを投げる。
そして倒れたアンジュの首に自分のすねを押し付け、「あなたは何も知らなかっただけ」と言いながらアンジュの血管を圧迫し、アンジュを気絶させた。

【ヴィヴィアン、人間に戻る】
アンジュは、医務室のベッドで飛び起きた。
そこには人間姿のヴィヴィアンがおり、アンジュはヴィヴィアンがどうやって人間に戻ったのか驚く。

ヴィヴィアンは笑顔で「クイズです!アタシはどうやって人間に戻ったでしょうか?」というのだが、自分でも上手く説明できない。

すると金髪の女性が現れ、ヴィヴィアンに代わって説明した。
「D型遺伝子の制御因子を調整しました。これで外部からの投薬なしで、人間の状態を維持できるはずです」

この女性、公式HPによるとその名をドクター・ゲッコーといい、竜の神殿の天才御殿医にして、遺伝子工学の権威なのだという。

その時隣室から、助けを求めるタスクの悲鳴が聞こえてきた。
アンジュとヴィヴィアンが隣室に駆け込むと、タスクがベッドに拘束され、そこに大勢の少女たちが群がり、興味津々という表情でタスクをつつき、観察している。

アンジュは少女たちをかき分けてタスクに駆け寄るが、瓶を踏んで転倒。
タスクの身体に顔面から倒れこんだ。この時、口にタスクの分身があたったようである。

するとドクター・ゲッコーが現れ、タスクに協力への礼を言った。
人型の成人男性は大変珍しいので、とても性教育の勉強になったと。

アンジュは、自分がサラに叩きのめされている間、タスクは全裸で性教育に協力していたのだと聞き、激怒。ゴミを見る目でタスクを一瞥すると羽ぼうきとピンセットを手に取り、「ケダモノ!」と罵りながらタスクに仕置きするのであった。

【ヴィヴィアン、母ラミアと再会】
屋外の手水場で口をすすぐアンジュ、そのそばに立つヴィヴィアンの元に、サラが一人の女性を連れて現れた。
この女性、名前をラミアという。

サラはヴィヴィアンを見ると、ラミアに告げた。
「彼女です。遺伝子情報で確認しました。あなたの娘に間違いありません」

ラミアはヴィヴィアンに駆け寄ると抱きしめ、涙を流す。
ヴィヴィアンは困惑するが、ラミアに抱きしめられてつぶやく。
「この匂い知ってる…エルシャの匂いみたい…」

サラは、ヴィヴィアンは母を追ってあちらの地球に迷い込んでしまったのだろうと推測する。
そしてナーガとカナメに祭りの準備をするよう指示し、笑顔で言った。
「祝いましょう。仲間が10年ぶりに、帰ってきたのですから」

【ヴィヴィアン帰還を祝う祭り】
その夜。
アウラの塔の広場には多くの祭提灯が灯り、篝火が焚かれ、大勢の人々があつまっていた。
人々はサラの姿を見るとその名を呼ぶのだが、サラは民衆から支持されているようである。
サラをはじめとする全員は、手に手に灯籠を1つずつもっている。

そしてサラがヴィヴィアン帰還をアウラに感謝して祝うと、全員が灯籠から手を離す。
すると無数の灯籠が宙に浮き、そのままゆっくりと夜空に上昇していくのである。

ヴィヴィアンは、ラミアと一緒に祭りに参加しているが、ラミアとは随分打ち解けた様子である。
アンジュはヴィヴィアンを見て、ヴィヴィアンが人間であったことを喜ぶ。

とはいうものの、アンジュはサラの真意を測りかねているようである。
こちらの世界に来てからのこと、サラの明かした世界の真実。
それが夢か現実か、まだ受け止めきれない。
アンジュは思わずつぶやく。
「これからどうなるの…私達。こんなもの見せて、どうするつもり…?」

するとカナメがアンジュに語りかけた。
サラはアンジュにわたし達のことを知って欲しかった、そしてあなた達のことを知りたいのだと。

だがアンジュは言う。
「知ってどうするの?
私達はあなた達の仲間を殺した。
あなた達も私達の仲間を殺した。
それが全てでしょう?」

するとカナメは言うのである。
「怒り、悲しみ、報復。その先にあるのは滅びだけです。
でも人間は受け入れ、許すことが出来るのです。その先に進むことも。
すべて姫さまの受け売りですが…。
どうかごゆるりとご滞在下さい、と姫様よりの伝言です」

アンジュは、カナメの言うサラの考えに、考えこむ様子である。
そしてタスクは、もう戦わなくてもよいのなら、それでもアルゼナルに帰るべきなのだろうかとつぶやく。

さすがのアンジュも、これからどう行動するか、すぐには見出だせないようである

【予告】
次回「共鳴戦線」

クロスアンジュ 天使と竜の輪舞 第14話「アンジュとタスク」

  • 2015/01/11(日) 17:25:17

【感想概略】
今回は、世界の謎の一旦が明かされ、アンジュとタスクが相思相愛であることが確定したお話であり、おもしろかった。
もっともオープニングを見ると、アンジュはサラとヒルダとモモカを恋人とするハーレムの主になるようにも見え、人間関係はまだまだ流動的なのかもしれない。
また、ヴィヴィアンが健在であり、元気で出番が多いところは気に入った。
そしてラストで、アンジュたちの前にドラゴンに乗った女性が出現、さらに世界の真実が明らかになるようである。シェルターのコンピュータは、ヴィヴィアンをはじめとするドラゴンを人間にカウントしないようだが、ドラゴンとは一体何者なのか、本当の地球とはなにか。次回に注目したい。

【前回のあらすじ】
前回、アンジュの兄ジュリオが大艦隊を率いてアルゼナルを襲撃。
歩兵部隊を送り込んでアルゼナル隊員たちの虐殺を開始する。

この非道にアンジュは激怒、ヴィルキスで反撃。
ついにジュリオを追い詰め、ヴィルキスで剣を振り下ろす。

だがマナ諸国の黒幕・エンブリヲが黒いヴィルキスでアンジュを止め、大破壊兵器でジュリオを旗艦もろとも消滅させた。

続いてエンブリヲは、タスクにも大破壊兵器を発砲する。
アンジュはヴィルキスでタスクとヴィヴィアンを庇うが、大破壊兵器の着弾寸前、ヴィルキスはタスクの乗る小型航空機もろとも、瞬間移動したかのように姿を消した。

【アンジュたち、都市の廃墟で目覚める】
アンジュは何者かにつつかれて目をさました。
つついたのは、ドラゴン姿のヴィヴィアンの舌である。
そしてアンジュは、海上にいたはずの自分が、ヴィルキスに乗ったまま、都市の廃墟にいることに気付いた。

混乱するアンジュに、タスクが無事かと声をかけた。
タスクは自動小銃を手に周囲を警戒している。

アンジュはヴィルキスの通信機でアルゼナルに呼びかけるが全く反応が無い。
ここは一体どこなのか、世界の裏事情に通じているタスクにすら分からない。
またヴィルキスは故障してしまい、動けない。

とにかく情報が不足しており、敵が近くにいるかもしれず、まずは周囲の状況を知る必要がある。
アンジュは偵察の出かけようとすると、ヴィヴィアンは自分の背に乗るように促す。
そしてアンジュはヴィヴィアンの背に乗り、空から偵察を開始した。
そこにはなんと富士山が見えるのだが、アンジュは別のことに驚愕する。

アンジュは地上に戻り、タスクに断言する。
廃墟と化しているが暁の御柱があること、そして周囲の景観から、この地はミスルギ皇国であると。
だが御柱も街も、かなり以前に壊れたように見えるところが、アンジュの腑に落ちない。

一方タスクは、あまりに突拍子もない話に、にわかには信じがたいようである。

【アンジュとタスク、シェルターに行く】
その時、物音が聞こえ、アンジュとタスクは身を隠し、周囲の様子を伺う。
すると、廃墟の中に赤いロボットが現れ、シェルターに避難するよう呼びかけながら走り去った。
アンジュとタスクは、ロボットの後を追い、ドーム型球場のような巨大な建物にたどり着いた。

建物の前に立つと、機械がアンジュとタスクのスキャニングを開始、スキャニング完了すると入り口が開き、若い女性の声が館内に進むよう促した。

アンジュとタスクがそこで見たのは、多くの民間人のミイラ化した遺体である。
モニターには若い女性が映り、アンジュとタスクにアナウンスしている。

アンジュはモニターからアナウンスする女性に、出てきて何が起きたのか説明することを求めた。
すると女性は笑顔で、自らを管理コンピュータ「ヒマワリ」と名乗り、説明を開始した。

ヒマワリは、記録映像を写し、アンジュとタスクに説明する。
そこには、戦車部隊、戦闘機部隊が交戦する姿が写っている。

「統合経済連合と汎大陸同盟機構による大規模国家間戦争、第7次大戦ラグナレクD5により、地球の人口は11%にまで減少。
膠着状態を打破すべく、連合側は絶体兵器ラグナメイルを投入。」

映像には、黒いヴィルキスが7機、編隊を組んで飛行している姿が映る。
そして黒いヴィルキスは、暁の御柱を、艦隊を、都市を次々と大破壊兵器で攻撃、消滅させる。

「こうして、戦闘は終結。
しかし、ラグナメイルの次元共鳴兵器により、地球上の全ドラグニウム反応炉が共鳴爆発。
地球は全域にわたり、生存困難な汚染環境となり、全ての文明は崩壊しました。
以上です」

映像には、世界各地で核爆発のような大規模爆発が次々と発生する様子が映る。

アンジュは思わず「ばっかみたい!いつの話よ!」と叫ぶ。

するとヒマワリは笑顔で答えた。
「538年193日前です。
現在地球上に生存する人間はあなた方2人だけです」

このヒマワリ、ヴィヴィアンのことは人間としてカウントしていないようである。

【アンジュ、ヴィヴィアンに八つ当たり】
だがアンジュは、他人の言葉を鵜呑みにはしない。
ここが500年後の世界などと簡単には受け入れられない。

既に日は暮れ、夜になっている。
だがアンジュは、どうにかしてモモカたちと、アルゼナルの仲間たちと合流しようと、引き続きヴィヴィアンの背に乗って偵察を続けた。
しかし、全く手がかりが見つからない。

アンジュもヴィヴィアンも、心身ともに疲弊。
ヴィヴィアンは長時間の飛行に疲れ果て、着地するとぐったりと横になってしまう。

状況を打開する術を全く見いだせず、アンジュは心労と肉体的疲労ですっかり心の余裕を無くし、苛立ち、攻撃的になってしまう。
そしてアンジュは、疲労困憊して動けないヴィヴィアンに頑張ってと叫び、反応が無いとヴィヴィアンを蹴りつけ、役立たずと罵るのである。

機嫌が悪いと、他者への思いやりを忘れがちになる、一生懸命頑張って疲れ果てた仲間を罵る、暴力を振うというのは、アンジュが今後克服すべき問題点だろう。

一方ヴィヴィアンは、蹴られた痛みに悲鳴を上げると走って逃げ出すが、アンジュの八つ当たりを黙って受け入れている。
ヴィヴィアンだって心身ともに疲れ果てているのに、それでもアンジュを気遣うのである。何て優しい、いい子なのだろうと思う。

【タスク、アンジュに怒る】
タスクは、ヴィヴィアンもずっと飛んでいて疲れているのだからと取りなそうとする。
だが苛立って攻撃的になっているアンジュは、今度はタスクに攻撃の矛先を向けた。

アンジュは言う。
タスクがアンジュを助けるのは、アンジュがヴィルキスのライダーだからだ、タスクもサリアと同じように、アンジュを利用する対象としか思っていない、サリアと同様にジル司令の犬なのだと。
そしてリベルタスを最低最悪なゴミ作戦と決め付け、世界を壊してノーマを解放する、そのためなら何人犠牲を出しても構わない、それで何が解放できるのかと嘲笑する。
だが、この言葉がタスクを怒らせた。

タスクは、自分の父と母がリベルタスに生涯をかけ、命を落としたことも、死んでいった仲間の思いもゴミというのかと言い、アンジュに背を向けた。

これまでタスクは、アンジュに殴られても、蹴られても、罵られても、決して怒ることはなかった。
だが父と母が、仲間たちが、マナを持たない人間も安心して暮らせる世界を作ろうとしたこと、そのために命をかけたことを否定されることには、我慢できないようである。

【アンジュ、タスクと仲直りする】
はじめてタスクを怒らせてしまい、傷付けてしまったことを、アンジュは後悔した。
だが、どうすれば仲直り出来るのか分からない。

思い悩むアンジュは、廃墟の売店で可愛らしいアクセサリーを目にした。
そして思い出した。
以前、まだアンジュが他者を拒んでいた頃、ヴィヴィアンはアンジュに手を差し伸べ、ペロリーナのアクセサリーをプレゼントしてくれたことを。

アンジュはヴィルキスを修理するタスクの近くにペンダントを置き、忍び足で立ち去ろうとするがタスクに気付かれた。
アンジュは気まずそうに「似合うかなと思って…それだけ…」というのだが、タスクは笑ってペンダントを首にかけ、礼を言った。
するとアンジュは、非常に言いづらそうに謝罪した。
タスクは、アンジュが謝ることができたことに驚愕するが、自分も言い過ぎたと言い、笑顔で謝罪を受け入れた。
そしてアンジュはヴィヴィアンの首を抱きしめ、昨夜のことを謝罪するのだった。

【アンジュたち、使用可能な建物に移動】
都市の廃墟に雪が降り始めた。
アンジュの吐く息は白く、かなり寒そうである。

アンジュとヴィヴィアンは偵察飛行中、まだ設備が稼働可能な建造物を見つけた。
それはラブホテルの遺跡なのだが、アンジュたちにそこまでは分からない。

さっそく、この建物に発動機を接続してエネルギーを供給する。
すると明かりが灯り、暖房が入り、蛇口をひねるとお湯まで出てくるのである。
多分、自動修復機能によって建物と屋内施設が維持され、水は地下水を利用している、というところであろうか。

そして三人は久々に入浴し、温かい屋内で落ち着くことができた。
ヴィヴィアンは疲れたのか、一室でさっさと寝てしまった。
その隣室では、アンジュとタスクが暖をとっている。

【アンジュ、タスクを誘う】
ここでアンジュは大胆な行動に出た。
廊下で寝るというタスクに、アンジュは同じ部屋で寝ればいいと熱心に勧めるのである。
タスクは断りきれず、それではとソファで寝ようとするが、ソファが経年劣化のためか壊れてしまう。
これにアンジュは大笑い、タスクは苦笑いしながら(やっぱり廊下で寝るか…)という、少し安心したような表情を見せる。

だがアンジュは、同じベッドで寝ればいいと言い、タスクはかなり遠慮しながらも同じベッドに入った。
アンジュは、ヴィルキスが戦いのない世界に連れてきてくれたのかもしれないというと、静かになった。
タスクはアンジュの様子を伺い、そっとベッドを抜け出そうとする。
するとアンジュは「しないの?わたしのこと、嫌いなの?」と言うのである。

これではっきりした。
アンジュはタスクを誘っている。
恋愛感情を抱くとアクセルを踏み込み、一線を超えることに躊躇しない。お姫様育ちとは思えない積極性である。こういうのを肉食系と言うのだろうか。

だがタスクは恐れ多いといい、アンジュに手を出そうとしない。
この様子だと、以前南海の孤島でアンジュと二人きりになった時、タスクは「あんなことをしてしまった」と言っていたが、一線は越えていなかったようである。

一方、ヴィヴィアンは、隣室でソファの壊れた音に飛び起きていた。
そして何事かとアンジュとタスクを部屋を覗きこんだところ、二人が同じベッドで横になっていることに驚愕、引き続き観察を続けた。

【タスク、アンジュの思いを受け入れる】
タスクはここで初めて明かした。
両親の死後、タスクはヴィルキスの騎士の使命を背負うこと、見たことのもない誰かのために戦い、死ぬという生き方を受け入れられず、逃げ出し、戦う理由も生きる理由も見当たらず、ずっと一人で生きてきた。
そんな時にアンジュと出会い、自分の人生と真正面から戦い、抗うアンジュの生き様に心を動かされ、押し付けられた使命ではなく、ヴィルキスの騎士である意味を見つけた、だからアンジュを守れればそれでいいのだと。
タスクにとってアンジュは、逃げるばかりだった人生を変えてくれた、戦う女神に等しい存在ということであろうか。

するとアンジュは、タスクの純粋さに惹かれていることを告白し、目を閉じて唇を求めた。
タスクはアンジュを一人の人間として受け入れ、唇を重ねる。

一方、窓の外から二人を観察していたヴィヴィアンは驚愕、目が離せない。
このまま邪魔が入らなければ、もっとすごいものが見れそうである。

【ドラゴン出現】
その時、轟音が轟き、建物が激しく揺れた。
窓の外を見ると、巨大なドラゴンが建物の近くに着地しており、その上には二人の若い女性が立っている。
一人は長身で、切れ長の瞳の大人びた女性。
もう一人は中背でぱっちりとした瞳の少女。
この二人、オープニングでサラの左右にいる女性のようである。

そして背の高い方の女性は、アンジュたちに呼びかけた。
「救難信号を出していたのはお前たちか?
ようこそ、偽りの民よ。
我らの世界、本当の地球に。」

【予告】
次回「もう一つの地球」

クロスアンジュ 天使と竜の輪舞 第13話「武器工廠、炎上」

  • 2015/01/04(日) 21:44:36

【感想概略】
今回は、アルゼナル軍事基地編のラストと言えるお話である。
これまでのお話が一段落し、新たな展開の始まりのお話であり、見応えがあった。

アンジュは、以前はノーマを撲滅するといい、自分がノーマであることを受け入れてもノーマたちを虫呼ばわりしていたが、今ではアルゼナルが好きだった、ここでの暮らしが好きだったとまで言うようになり、アルゼナルでの暮らしを破壊したジュリオに戦いを挑む姿が描かれ、アンジュに好感が持てた。

ヒルダは、以前はアンジュを殺そうとし、何か企んでいる様子でもっぱら凄みを感じていたのだが、アンジュとは悪友になり、互いの腕と気の強さを信頼しあう悪友ぶりが好きである。

クリスは、みんなここで死ぬんだと投げやりになっていたが、ヒルダが身体を張ってクリスをかばうと心を動かされ、前向きになっていたのも良かったと思う。

サリアは、ジル司令の役に立ちたい、認められたいという一心でこれまで努力に努力を重ね、ヴィルキスのライダーも努力で勤めようとしたが果たせず、せめてアンジュをジル司令の元へ送り届けることでジル司令の役に立とうとする姿が痛々しかった。

そして、ヴィヴィアンが生き残り、第一中隊が全員生き残ったようでほっとした。

だが海上に落ちたサリアはどうなるのか。
クリスはエンブリヲによって蘇生したが、ジル司令の艦船に収容されたのか。
ジュリオ軍に捕獲されたターニャ隊はどうなるのか、気になるところである。

今回の作画については、BDなどでは修正されることを期待したい。

【ジュリオ艦隊、アルゼナルへ攻撃開始】
前回、ジュリオ率いる大艦隊がアルゼナルに接近。
ノーマの救助を開始するとのアナウンスを行なった。

だがジル司令は、ジュリオ側の甘言に惑わされない。
ジル司令は対空防御を発令、基地のあちこちから対空砲がせり出す。

これを見たジュリオは、救助の申し出を拒む意思表示であり、全人類への反逆だと言い、配下の部隊にアルゼナルへの攻撃を命じた。

ジュリオ艦隊の艦船は次々とミサイルを発射する。
アルゼナル側は対空射撃を開始、ミサイルを次々と撃墜するが、撃ち漏らしたミサイルが到達、一部の対空砲を砲手ごと吹き飛ばす。
ジュリオ艦隊のこの乱暴なやり方に、アルゼナルの少女たちは、人間たちは自分たちを救助するつもりなどないことを思い知らされた。

【ジル司令、リベルタスへの参加を募る】
ジル司令は基地内にスピーカーで隊員たちに告げた。

これが人間だ。
奴らにノーマを救けるつもりなどない。
モノのように我々を回収し、他の場所で、他の戦いに従事させるつもりなのだ。
それを望む者は、投降しろ。
だが、抵抗するものは共に来い。
これよりアルゼナル司令部は人間の管理下を離脱、反攻作戦を開始する。
作戦名はリベルタス。
志を同じくする者は、武器を持ち、アルゼナル最下層に集結せよ。

ジル司令はパメラたちの意志を問う。
するとパメラ、ヒカル、オリビエは躊躇なくジル司令の事業への参加を承諾した。

そしてジル司令はパメラ、ヒカル、オリビエを率いて地下の最下層に降りた。
そこは艦船アウローラの艦橋であり、この艦船こそがアルゼナルの切り札のようである。

【ヒルダとエルシャ、リベルタスに参戦】
ジル司令の言葉に、ロザリー、クリスをはじめとするノーマの少女たちは動揺する。
人間に歯向かって生きていけるはずがないと。

これまでノーマたちは、自分たちは人間より劣る存在であり、人間の作ったルールに従ってドラゴンと戦って死ぬしか無いと思ってきた。
それが急に、これまで通り人間に従うか、ノーマが独自に行動するか、この場での決断を迫られたのであり、即断できないも無理は無い気がする。

するとヒルダは真っ先にジル司令についていく意志を伝えた。
これにジル司令は、パラメイルでの迎撃を命じた。

続いてエルシャも、幼年部の子どもたちを守るため、人間と戦う意志を示す。
人間に立ち向かうことを躊躇うクリス、ロザリーに、ヒルダは「やってみないと分からないさ」と不敵に笑い、アンジュに同意を求めるが、先ほどまでいたはずのアンジュが見当たらない。

【ターニャ隊、出撃】
パラメイル発着場には、ヒルダを初めとするパラメイルライダーの生き残りが集結した。
まずはターニャたち5名はヒルダに敬礼し、パラメイルで次々と出撃する。
実は結構人望の厚いヒルダである。

だがその時、上空に数十の黒い円盤が出現した。
大きさは直径2メートルほど、厚さ数十センチほどである。
そして円盤は淵からトゲトゲを生やし猛スピードで回転しながらパラメイル発着場に突撃、猛爆発を起こす。

爆炎が晴れると、パラメイル発着場は瓦礫に埋まっており、このままではパラメイルで出撃できない。
思わず舌打ちするヒルダである。

【ターニャ隊、苦戦】
上空では、ターニャを中心とするパラメイル部隊が苦戦していた。

パラメイル発着場を襲った黒い円盤は攻撃するだけでなく、ちょこまかと動いてパラメイルに接近。
ワイヤーを射出してパラメイルの機体表面に次々と張り付き、パラメイルの自由を奪うと、どこかへ連れ去るのである。

どうやら敵の目的は、パラメイルの撃墜ではなく、パラメイルライダーの捕獲のようである。
マナ諸国は、パラメイルライダーを集めて、何をさせるつもりだろうか。

【ジュリオ軍、アルゼナルに突入】
ジュリオ軍の部隊はアルゼナルに突入し、発電施設を破壊し、基地内の電源を落とした。
そして、投降した丸腰のノーマの少女たちに銃を向けていた。

ジュリオは部隊に、確保を命じた者以外は全て処分することを命じていた。
確保の対象は、第一目標がアンジュ。第二目標がヴィルキス。
第三目標がメイルライダーズ(サリア、ヒルダ、ヴィヴィアン、エルシャ、ロザリー、クリス)

ジュリオ軍の部隊は、投降者に確保の該当者がいないことを確認すると発砲。
投降したノーマたちを虐殺していく。

一方、アルゼナル側は敵の侵入、及び目的が人員の抹殺であることを確認。
基地内に放送で退避を呼びかけた。
この放送を聞いたエルシャは、自動小銃を手に走りだした。

【ジュリオ軍、パラメイル発着場に突入】
パラメイル発着場にジュリオ軍の部隊が突入してきた。
ヒルダたちは整備兵たちとともに、敵兵と銃撃戦を繰り広げる。

だがクリスは、「ここで死ぬんだ」とすっかり諦めてしまい、「こんなところでくたばってたまるかってんだ」というヒルダに「いまさら隊長ヅラしないで!」と八つ当たりである。

その時、敵兵の一部がヒルダたちの反対側に回りこみ、クリスに狙いを定めた。
ヒルダはこれに気付き、瞬時にクリスを庇い、被弾しながらも自動小銃で反撃、敵兵を倒す。
クリスは、何故自分を助けてくれたのかと言葉が続かないが、ヒルダは「誰も死なないし、死なせない。それがあたしら第一中隊でしょ?」と傷の痛みに引きつりながら笑う。

仲間を大事に思う心を、言葉ではなく、行動で示すヒルダである。
これにクリスとロザリーは、ヒルダ脱走以来のわだかまりが溶け、心から笑い合えるようになったようである。

【サリア、アンジュを連行】
サリアは自動小銃をアンジュに突きつけて、アンジュを連行する。
モモカは気を失い、ジャスミンの肩に担がれている。

アンジュは、自分を敵軍との戦いに参加させないこと、仲間を見殺しにしてアンジュとヴィルキスを脱出させようとすることに不満である。
アンジュはジル司令のやり方を批判し、サリアはジル司令そっくりだと指摘し、ジル司令の事業に付き合わされる者はたまったものではないと批判した。

するとサリアはアンジュをひっぱたいて叫ぶ。
「あんた何も分かってないのね!自分がどれほど重要で、恵まれていて、特別な存在なのか!」
だがアンジュは頬を腫れ上がらせても怯まず、サリアを睨むとそっぽを向き、「分かりたくもないわ」と言う。

その時、気を失っていたはずのモモカが胡椒の詰まった缶を二つ、それぞれサリアとジャスミンの足元に投げ付けた。
胡椒は瞬時に煙幕のように広がり、サリアとジャスミンがくしゃみを連発する隙に、アンジュとモモカはその場を逃げ出した。
モモカがすっかりたくましくなったことを笑うアンジュと、アンジュの影響だと笑うモモカである。

【アンジュ、エンブリヲと出会う】
アンジュとモモカは、食堂に辿り着いたが、そこには多くの少女たちの遺体が転がっていた。
ジュリオ軍の虐殺の犠牲者たちである。

この光景に、アンジュはドラゴンの正体が人間であったこと、実は自分は多くの人間を殺してきたいことを思い出し、嘔吐してしまう。
モモカはアンジュの背中をさすり、厨房に水を汲みに行った。

少し落ち着き、周囲を見回すアンジュの背後から、謎の男が声をかけた。
マナ諸国の黒幕、エンブリヲである。
エンブリヲは、この虐殺を命じたのはアンジュの兄、ジュリオだと告げ、ジュリオの位置を教えた。

その時、厨房で銃声。
アンジュが駆けつけると、モモカが血を流して倒れており、マナの障壁を展開して銃弾を防いでいる。
そして武装した兵士たちが二名、モモカに自動小銃を向けていた。

アンジュは瞬時に拳銃を発砲、一人の側頭部を撃ち抜いて射殺。
続いてもう一人の兵士を両腕を撃ち抜いた。
この兵士、なおも銃で反撃を試みるが手の甲を撃ち抜かれ、自分はジュリオと隊長の命令に従っただけと主張。

アルゼナル隊員たちの虐殺に、そしてモモカを傷付けられたことに、怒り心頭に達しているアンジュは、さらに激怒。
兵士の眉間に発砲して即死させるが、アンジュの怒りはおさまらず、なおも引き金を引き続け、モモカに抱きしめられてようやく落ち着きを取り戻した。

怒りに燃えるアンジュは、モモカとパラメイルの発着場に走った。

【アンジュVSサリア】
アンジュとモモカは、銃撃戦の繰り広げられる発着場に辿り着き、アンジュはヴィルキスに飛び乗る。
滑走路が瓦礫で塞がれているのだが、アンジュはヴィルキスのグレネードランチャーで瓦礫を砲撃。
敵部隊もろとも瓦礫を吹き飛ばし、発進した。

アンジュはヴィルキスを駆り、ジュリオ目指して飛翔する。
だがそこに、サリアの駆るパラメイルがアンジュを追ってきた。
ジル司令の元へアンジュを連れて行くためである。

サリアはアンジュに言う。
戻って使命を果たして、あなたはアレクトラに選ばれたのに何が不満なのか、私の役目も居場所も奪ったのだから、そのくらい受け入れれば良いではないかと。

するとアンジュは言うのである。
ここが好きだった、最低で最悪で劣悪で、食事はまずかったが、ここでの暮らしが好きだった。それをあいつに壊されたのだと。

アンジュは駆逐形態のヴィルキスで抜刀。
サリア機の銃を持つ右腕を斬り飛ばし、続いて左腕を斬り飛ばす。
サリア機はバランスを崩し、海上に落ちた。

ヴィルキスの目が発光、すると機体が赤くなり、再びジュリオ艦隊への突撃を再開した。

【クリス被弾】
ヒルダたちもまた、パラメイルに飛び乗り、滑走を開始、敵の迎撃に向かう。
その時、敵兵の生き残りがクリスに発砲。
クリスは頭に銃弾を受け、クリス機はバランスを失い、滑走路の柱に激突、停止した。

ロザリーはクリスに今すぐ助けに行くと叫び、クリスは弱々しく答える。
その時、クリス機が爆発、機体は滑走路から落下した。

ロザリーは激怒。
パラメイルを駆り、敵機を次々と撃墜していく。

【エンブリヲ、クリスたちを蘇生】
一方、エンブリヲは瀕死のクリスの元に現れ、クリスを蘇生させた。
そして、瀕死の女の子を抱きしめるエルシャの元に現れ、女の子を蘇生させるのである。

エンブリヲはなぜこのようなことをしたのか。
彼の行動原理はいまだ不明だが、彼なりの美学に基いて行動しているように見える。

死の恐怖を乗り越えて困難に立ち向かうクリスの強さ。
幼年部の子どもたちのために命を張り、人の痛みを自分の痛みとするエルシャの優しさ。
良くも悪くも裏表が無く、真っ直ぐな気性のアンジュ。

一方、マナの人々は、自分の身を危険にさらして争うことは好まないが、他人を戦わせることは気にしない。
アンジュを処刑しようとしたミスルギ皇国国民のように、自分が傷つかなければ、人が残酷な目にあうのを見たがる。
前回のマナ諸国首脳会議のように、問題が発生しても責任を取ろうとせず、他人に責任を押し付け、言い争うばかりで物事を決められない。
マナの人々には、このような傾向があるのかもしれない。

エンブリヲとしては、クリスやエルシャ、そしてアンジュの生き様の美しさに期待し、エンブリヲの美学に則って「世界を壊し、作りなおす」つもりなのかもしれない。


【アンジュ、敵艦隊を撃滅】
アンジュは、ヴィルキスの周囲に光の障壁が展開されていることに気付くと、即座にこの機能をより有効に利用する方法を思いついた。

アンジュはヴィルキスで敵艦船に体当たり、船体を真一文字に突き抜け、敵艦は爆発四散した。
引き続きヴィルキスは次々と敵艦を体当たりで撃沈。
さらに剣を抜き、敵艦の艦橋を垂直に両断して撃沈。
敵艦の船体を水平に薙ぎ払って撃沈する。

ついにアンジュの駆るヴィルキスは、ジュリオの座乗する旗艦にたどり着くと、艦橋の前部を剣で斬り落とし、ジュリオと対面した。
アンジュはコックピットハッチを開けると発砲、ジュリオのすねを撃ち抜き、命じた。
「今すぐ虐殺を辞めさせなさい」

痛みにのたうち回るジュリオは、即座に全軍へ戦闘停止と撤収を命じた。
だが怒りに燃えるアンジュは、アルゼナル虐殺の主犯であるジュリオを生かしておく気はない。

これまでのことを棚に上げて命乞いをするジュリオに、アンジュはヴィルキスで剣を振り下ろす。
その時、謎のパラメイルが光の盾で、ヴィルキスの剣を受けとめた。
謎のパラメイルを操っているのは、エンブリヲである。

攻撃を阻まれ、警戒するアンジュに、エンブリヲは言う。
「アンジュ、君の怒りは純粋で、白く、何よりも熱い」

そして「私がやろう。君の罪は、私が背負おう」と言うと、ミスルギ皇家に伝わる歌「永遠がたり」を歌い始めた。
するとエンブリヲ機の肩のパーツ、羽のパーツが開き、光線砲の砲口らしきものが複数現れ、エネルギーをチャージ。
そして光線を発砲。
ジュリオは旗艦もろとも消滅し、海が数キロにわたって深く落ち窪んでいた。

【ヴィルキスとタスク機、消える】
アンジュは驚き、エンブリヲに「なんなの?あなた一体何者?」と問う。
そこに、ヴィヴィアンを救出したタスクが小型航空機で出現し、エンブリヲに牽制射撃。
アンジュにエンブリヲから離れるように叫ぶ。

「無粋な」とエンブリヲはつぶやくとまた歌い始め、エンブリヲ機は光線兵器を展開。
タスクに狙いを定め、エネルギーを充填していく。

アンジュはタスクとヴィヴィアンを助けるためヴィルキスで飛翔。
するとアンジュの指輪が光り、ヴィルキスの機体色が青色に変わっていく。

そしてエンブリヲ機の光線兵器の着弾直前。
ヴィルキスはタスクとヴィヴィアンの乗った小型航空機と共に、瞬間移動したかのように姿を消してしまう。

これを見たエンブリヲは、冷笑を浮かべてつぶいやいた。
「つまらん筋書きだが、悪くない。」

【予告】
次回「アンジュとタスク」

予告映像では、アンジュとタスク、そしてドラゴン姿のヴィヴィアンは、廃墟と化した都市に飛ばされたようである。
アンジュは、世界の謎にまた一歩近づくのだろうか。
そして、ジル司令の座乗する艦船は、海に落ちたサリアは、捕らえられたターニャ隊はどうなったのだろうか。
エンブリヲに救けられたクリスはどうなるのか。
次回に注目したい。

クロスアンジュ公式HPのTOPページのイラストが変わっていた

  • 2015/01/01(木) 23:40:57

クロスアンジュの公式HPのTOPページのイラストが新しいものになっていたのだが、大変気になる内容である。

まず背景は、金色の黄昏の空。
その上空にはパラメイル又はラグナメイルらしき機体が見える。
地平には、塔のような建築物が見える。

画面中央には、アンジュがアルゼナルの制服姿で正面を見据えている。
その右隣にはサリアが黒っぽい服装で憂いを帯びた表情で立っている。
サリアの衣服はアルゼナルの制服とは違うようなのだが?

アンジュの左隣にはサラが、微笑んで正面又はアンジュに視線を送っている。
なおサラの背中には、ドラゴンの羽根が生えているようである。

そして一番後ろには、ヒルダがアルゼナルの制服姿で右上を見つめている。

この4人が、今後の展開に大きく関係するということだろうか。
そして、この場に描かれていないヴィヴィアン、エルシャ、ロザリー、クリスはどうなるのか。

次回からの展開に注目したい。

クロスアンジュ 天使と竜の輪舞 第12話「右腕の過去」感想・レビュー

  • 2014/12/22(月) 00:59:31

【感想概略】
今回は、物語の様々な謎の一端が明らかになったお話である。
まずジル司令の口からアンジュに、マナの人々がノーマを差別するこの世界が成り立った経緯、タスクの一族の正体、ヴィルキスが特殊な機体であることとアルゼナルにもたらされた経緯、そしてリベルタス計画の概要、初めて確認された王族出身のノーマ・アレクトラと彼女がヴィルキスをある程度まで使いこなしたが何かが足りずその本来の力を引き出すには至らなかったこと、アンジュがヴィルキスを使いこなす候補者として最初から注意を払われていたことが明かされた。
だがアンジュは自分の道は自分で決めると言い、どんなに崇高な目的のためでも人に生き方を決められるのは嫌なのだと、リベルタスへの参加を断るのだが、ジル司令は余裕の様子である。アンジュとジル司令の動向に今後も注目したい。

一方、マナ諸国の黒幕エンブリヲが登場。
マナ諸国の首脳会議で「世界を壊し、作り直す」ことを選択肢として提示、マナ諸国を過激な方向に誘導していたが、エンブリヲの真意と正体もまた気になるところである。

さらに、ヴィヴィアンの正体がドラゴンであることが明かされた。
ドラゴンと化したヴィヴィアンを見て、アンジュがその正体に気付き、笑顔でヴィヴィアンを受け入れたのはいいお話だったとおもう。

そしてドラゴンの正体が人間であることがアンジュとモモカ、第一中隊のメンバーたちに明かされ、アンジュたちは自分たちが人間を殺していたことにショックを受けた。
一方ジル司令は、これはまだまだ真実の序章に過ぎないとばかり、アンジュの怒りと憎悪にも全く動じることがなかった。ジル司令とアルゼナルの首脳陣は、まだまだ秘密を知っていそうである。
また、タスクは南海の孤島でアンジュが倒したドラゴンに同情的だったところを見ると、彼もまたドラゴンの正体を知っているようである。

このドラゴンであるが、ドラゴン側勢力とは一体何者で、何が目的でワープゲートからドラゴンを攻め込ませているのかは、いまだ不明である。

まずは、次回をヴィヴィアンが無事に生き延びてほしいと思う。

【マナ諸国首脳会談】
前回、謎のパラメイル・焔龍號を駆る少女サラがドラゴンの大群を率いてアルゼナルを襲撃。アルゼナルはジル司令率いる兵員及びヴィルキスの奮闘によりドラゴン大群を退けたが、人員と施設に大きな損害を受けた。

そして今回、ミスルギ皇国のジュリオをはじめとするマナ諸国の首脳たちは、美しい湖のほとりでテーブルを囲み、ドラゴン大群によるアルゼナル襲撃と今後の対応について会議を開いていた。だが有効な対応がなかなか見出せず、苦慮しているようである。

首脳の一人は、大損害を受けたアルゼナルの施設を再建、さらに増強することを主張する。ノーマたちにドラゴンを迎撃させるこれまでの方法をさらに強化すべしという提案である。

だが今回の戦いで、かつて反乱により破壊されたはずのヴィルキスをアルゼナルが依然として保有していることが発覚。このことから首脳たちはアルゼナル指導層に強い疑念を抱き、アルゼナル再建に躊躇していた。
それでは、ドラゴン迎撃にノーマを利用せず、マナの人々自身が戦うのかといえば、それもまた首脳たちにはそう簡単には選択できることではない。

【マナ諸国の黒幕・エンブリヲ】
この会議の席の傍らで、大木の木陰に腰掛け、読書している長身の男性がいた。
見た目は30代前半くらい、髪はブラウンで長髪。
色白の知的な美形だが、人を見下すような冷たさを感じさせる。
会議中に読書とは無礼な態度に思えるが、首脳たちは誰一人としてこの男性をとがめない。この男性、その名をエンブリヲという。

エンブリヲは本を閉じると会議の参加者たちに語りかけた。すると列国の首脳たちはエンブリヲに畏怖し、その言葉を待つ。

エンブリヲはいう。
今回の件で、選択肢は二つ。
一つはドラゴンに降伏すること、もう一つはドラゴン全滅させることだと。
だが首脳たちにしてみれば、降伏などあり得ないが、ドラゴン殲滅も困難であり、考え込んでしまう

するとエンブリヲは三つ目の選択肢として、世界を壊して作り直すことを提言した。全てのラグナメイルとメイルライダーが揃えば、可能なのだと。

ところで、ドラゴンに降伏するには外交交渉が必要であるが、マナ諸国はドラゴン側との外交窓口があるということだろうか?また外交交渉が可能ならば、和平という選択肢がないのは何故なのか。
エンブリヲとドラゴン側勢力の因縁が関係ありそうである。

【世界を壊し、作り直す】
エンブリヲの提示した第三の選択肢に大喜びするのがジュリオである。
ノーマが存在し、ノーマを利用する今のやり方が間違っているのだと言い、エンブリヲの提言を全面的に支持した。

首脳の一人は、ここまで発展した社会を捨てろと言うのかと難色を示す。
だが会議の大勢はエンブリヲの助言を支持、これが会議の結論となった。
エンブリヲはジュリオに鍵のようなものを渡し、「庭の道具を使うといい」といって微笑む。
これにジュリオは「お任せ下さい!エンブリヲさま!」と力強く宣言するのであるが、エンブリヲを心から敬愛していることが伺える。

そして会議が終了すると、参加者たちの姿は細かなドットに分解して次々と消え去り、周囲の風景までが消え去ると、ジュリオの執務室が現れた。会議の参加者たちは全て遠隔地におり、仮想空間で対面していたということのようである。
ジュリオは近衛長官リィザに命じ、会議の決定を実行するため、早速行動を開始した。

この会話を「ヴィルキスの騎士」タスクが盗聴していた。
タスクは、マナ諸国の首脳たちが、世界を壊して作り直すという乱暴な方針を決定したことに表情を曇らせると航空機械に飛び乗って飛翔、いずこかへ急ぐのである。

【アルゼナルの応急対応】
アルゼナルはドラゴン大群を撃退したが被害甚大であり、負傷者の治療、設備の復旧、ドラゴンの死骸の処理、そしてパラメイル残存部隊の再編成に追われていた。

ジル司令は、パラメイルライダーの生き残り全員を集めてミーティングを開き、パラメイル残存部隊の隊長に、唯一指揮経験のあるヒルダを任命した。

これにロザリーは「コイツ脱走犯ですよ!?」と言い、クリスは隊長はサリアで良いではないかと反対するが、ジル司令はサリアは命令違反の罪で反省房入りになっていると言う。
なおも納得しないロザリーだが、文句あるならアンタやれば?とヒルダに言われると、司令の命令だし認めてやるよと誤魔化すように笑い、なっクリス?とクリスの意志も確認するのであった。ロザリーとしては、クリスを気遣ってヒルダの暫定隊長就任に反対したところもあると思う。

ミーティングの終了後、アンジュはジル司令に、全てを教えてくれる約束であり、教えてほしいと訴えた。するとジル司令は、不敵に笑うとあっさりと了承、ただしモモカが席を外すことが条件である。

【ジル司令、世界の成り立ちを語る】
浴場でアンジュはジル司令と湯船に浸かっていた。
なぜお風呂で?と訝るアンジュだが、多分浴場には盗聴対策が施してあるのだろう。

そしてジル司令は、全部教えて欲しいというアンジュに、子供に語り聞かせる昔話のように、この世界の成り立ちを語り始めた。それはアンジュには、荒唐無稽すぎて、すんなりとは信じられない話だった。

ジル司令は語る。

昔々、神様がいた。
神様は、繰り返される戦争とボロボロになった地球にうんざりしていた。このままでは人類が滅んでしまう。

この神であるが、その姿は、白衣で研究に勤しむ若い頃のエンブリヲである。
だがその表情は人の不幸を心の底から悲しみ、どうにかして世の中を良くしたいと思うものであり、人間全てを見下す傲岸さは見られない。

【ジル司令、古の民とラグナメイルについて語る】
そこで神様は、新しく作ることにした。争いを好まない穏やかな人類を。
そして、触れずに物を動かせるマナという力を使うことすら出来る新人類により、あらゆる争いが消え、あらゆる望みが叶い、あらゆる物が手に入る理想郷が完成した。
あとは新人類の発展を見守るだけのはずだった。

ところが、マナを使えない、旧人類の遺伝子を持つ女の赤ん坊が、突然変異がどうしても生まれてきてしまう。
そこで神様は、この突然変異「ノーマ」を利用することにした。
国民に「ノーマは悪」という情報を植え付け、世界を安定させるため、「生け贄、犠牲、必要悪」として、差別させるだけの存在とした。
こうしてマナの世界は安定し、世界は繁栄に向かうはずだった。

しかし、それを許さない者たちがいた。
「古の民」、マナを使えない旧人類の末裔である。
彼らは何度も神に戦いを挑み、ついに手に入れた。
破壊と創造を司る神の兵器、ラグナメイルを。ラグナメイルはパラメイルの原型であり、ヴィルキスこそオリジナルのラグナメイルなのである。

だが、旧人類にはラグナメイルを使いこなせなかった。「虫ケラごとき」が使えないよう、鍵がかかっていたのである。
切り札を持ちながらも現状を打破する一手を打てず、旧人類が滅びかけていた時、彼らは知った。ノーマたちが世界の果てに送られてパラメイルに乗り、ドラゴンと戦わされていると。

【ジル司令、リベルタスについて語る】
そして古の民とノーマ、二つの捨てられた人類が出会った。
やがて、ヴィルキスを扱えるノーマがついに現れた。
ガリア帝国の第一皇女、アレクトラ・マリア・フォン・レーベンヘルツ。
初の王族出身のノーマである。

アレクトラはヴィルキスの鍵を開くことに成功した。
彼女の元に多くの仲間が集まった。
捨てられた者たちの逆襲、リベルタスが始まった。

だがアレクトラには何かが足りなかった。
右腕も、仲間も、何もかも吹き飛んでしまった。それでも復讐を終わらせる訳にはいかない。死んでいった仲間たちのためにも。
そして、アンジュが現れた。

ジル司令はアンジュに言う。
「お前が世界を壊すんだ。あの歌で・・・」

【アンジュ、リベルタス参加を断る】
だがアンジュは、リベルタスへの協力を断った。
たとえどんなに崇高な使命であっても、自分で考え、自分で選んだことでなければ受け入れることはできない、人にやらされるのは嫌なのだという。それに、ドラゴンを倒してお金を稼ぎ、好きなものを買う今の生活が好きなのだと。

一方、ジル司令はアンジュの主張に耳を傾け、興味深そうな笑みを浮かべ、リベルタス参加を断られても余裕の表情なのだが、その真意はうかがえない。

実はジル司令、アンジュに語っていないことがまだまだあるようである。
アンジュが、この話にドラゴンが登場していないことを指摘すると、ジル司令は不敵な笑みを浮かべるが、答えてはくれない。これは、アンジュ自ら知りたいという意志を持った時に、最も効果的なタイミングで真実を伝えていきたいということかもしれない。

そしてジル司令としては、アンジュならば、今後さまざまな真実を知っていけば、いずれは自らの意志でリベルタスに参加することを確信しているというところだろうか。

【ヴィヴィアン、ドラゴンになる】
ヴィヴィアンはサリアとの相部屋で目を覚まし、ハンモックが落ちていることに気付いた。なぜ落ちたのか少し不思議に思ったがあまり気にせず、空腹だったので食堂に向かった。

廊下を歩いていると、いつもより視線が高い気がするが、成長期で背が伸びたのだろうかと思い、あまり深く考えなかった。

するとエマ監察官が歩いてくるので、エマ監察官だ!といったところ、エマ監察官はこちらを見ると心底驚いた表情で「エマ監察官だ!」と叫ぶと気を失ってしまった。驚いて近づき、エマ監察官の肩に手を伸ばしたところ、自分の手がドラゴンの翼になっていることに気付いた。廊下の鏡をみると、自分の姿がドラゴンになっている。

困惑するヴィヴィアンを、向こうから歩いてきたパメラ、ヒカル、オリビエのオペレーター三人娘が発見。三人娘は一瞬恐怖するが、すぐにドラゴン発見を通報した。基地内はたちまち臨戦態勢に移行、非常時のためサリアの謹慎も解除され、第一中隊は自動小銃を取り、ドラゴン迎撃に向かった。

【ヴィヴィアン、外へ逃げる】
ヴィヴィアンはドラゴンの姿で、何故こんなことになったのか混乱しながら食堂に現れた。空腹なので何か食べるものがないか厨房を覗くと、鍋一杯のカレーがあった。ヴィヴィアンは大好物だとよろこび、鍋を掴むが、少し力を入れただけで、鍋の縁は紙のように歪んでしまう。そこでヴィヴィアンは、スプーンでカレーを食べようとするのだが、ドラゴンの爪ではスプーンがなかなか掴めない。
そこに銃を持つサリアとエルシャが現れ、ドラゴンの姿のヴィヴィアンに発砲。ヴィヴィアンは二人の名を呼ぶが、喉からは獣の咆哮しか出ない。ヴィヴィアンは食堂の窓から外へ飛び出し、そのまま飛翔した。

【アンジュ、ヴィヴィアンと唄う】
島の外では、アンジュが銃を手に警戒していた。ヴィヴィアンはアンジュの姿を見て声をかけるが人の声にならず、アンジュはドラゴン姿のヴィヴィアンに銃を向けた。ヴィヴィアンは飛翔しながら、必死でアンジュが唄っていた歌「永遠語り」を唄い始めた。

アンジュはドラゴンの咆哮がただの吠え声ではなく、自分の歌であることに気付き、唄い始めた。するとドラゴン姿のヴィヴィアンは、アンジュの歌声に合わせて唄う。アンジュはドラゴンの正体に気付いた。

そこへヒルダ、ロザリー、クリスが島の外に駆けつけ、ロザリーはドラゴンに銃を向けた。
するとアンジュはロザリーの足元に発砲、ロザリーの動きをけん制する。
そしてドラゴンは唄い続けるアンジュの前に着地、煙とともにドラゴンの姿は消え、ヴィヴィアンが姿を見せた。

ヴィヴィアンはいつもの笑顔で明るく振舞おうとするが、さすがに耐え切れず、涙をにじませる。
するとアンジュは笑顔で「分かったわよ、わたしは、ヴィヴィアンだって。おかえり、ヴィヴィアン」と言い、ヴィヴィアンを抱きしめた。

すぐにマギ軍医が駆けつけ、ヴィヴィアンを鎮静剤で眠らせ、抱きかかえて連れていった。

【アンジュたち、ドラゴンの正体を知る】
その時、アンジュは今の一件からあることに思い至り、ドラゴンの死骸を捨てている大穴に向かった。第一中隊のメンバーたちも、モモカも、訳も分からずアンジュの後を追う。

大穴ではジャスミンが重機でドラゴンの死骸を全て捨て終わり、燃料をかけて火をかけるところだった。ジャスミンがライターに火をつけ、大穴に放り込むとドラゴンの死骸は勢いよく燃え上がった。
そしてアンジュは、第一中隊のメンバーたちは、モモカは、炎の中に浮かび上がる無数の人影を見た。アンジュたちは、ドラゴンの正体を知り、今まで人間を殺してきたことを知った。

言葉もないアンジュに、ジル司令は、化け物の正体が人間だったということなどよくある話だ、どうした?ドラゴンを倒して金を稼ぐ暮らしが好きなんだろう?と、皮肉な笑みを浮かべて言う。

アンジュはヴィルキスでドラゴンを撃墜しただけでなく、ナイフで刺し殺したこともある。
アンジュは殺した手応えを思い出して嘔吐するとジル司令に怒りの目を向け、このクソ女!と罵り、もうヴィルキスには乗らない、ドラゴンも殺さない、リベルタスなんてクソ食らえよ!と叫ぶ。
だがジル司令は余裕の笑みを浮かべ、アンジュの怒りと憎悪を平然と受けとめ、神様に飼い殺されたいのならそれでもいいさと言い残すと立ち去った。

【国際救助艦隊、アルゼナルに接近】
茫然とする少女たちを残し、島の林を抜けて基地に戻るジル司令の背後から、エンブリヲが声をかけた。冷笑を浮かべ、私は自分から神と名乗ったことは一度もないぞ、創造主という意味でなら正解だがなというエンブリヲにジル司令は躊躇なく拳銃を発砲。
だが目の前の男は立体映像であり、表情を崩すことすら出来ない。ジル司令は、マナ諸国の黒幕エンブリヲを知っており、しかも浅からぬ因縁があるようである。

その時、島のあちこちの空中に四角い画面が出現、マナによる通信映像である。
画面上で、エマ監察官に似たデザインの制服の女性が、笑顔でアナウンスをはじめた。
「こちらはノーマ管理委員会直属、国際救助艦隊です。
ノーマのみなさん、ドラゴンとの戦闘、ご苦労様でした。
これより皆さんの救助を開始します。全ての武器を捨て、脱出準備をしてください」

アルゼナルにジュリオの率いる大艦隊が接近している。
そしてジュリオは邪悪な笑みを浮かべており、とても救助が目的とは思えない。
これが、エンブリヲの提言した「世界を壊し作り直す」策の第一歩ということであろうか。

【予告】
次回「武器工廠、炎上」

次回は、ジュリオの率いる大軍勢とアルゼナル側との間で激戦が繰り広げられるようである。
第一中隊のメンバーたちはすっかりお気に入りとなったので、誰にも死んでほしくないのであるが、次回に注目したい。

クロスアンジュ 天使と竜の輪舞 第11話「竜の歌」感想・レビュー

  • 2014/12/14(日) 18:18:47

今回は、幼い頃からジル司令を慕うサリアの内面、サリアとメイは幼馴染で深い友情で結ばれている姿、アンジュとヒルダの悪友ぶりが描かれ、ドラゴンを率いる謎の少女サラとアルゼナルとの大規模な戦闘が描かれ、ヴィルキスとアンジュの謎、サラの謎の一端、そしてアンジュとサラの因縁の一端が描かれ、リィザ・ランドッグの正体の一端、ジュリオの本心の一端が描かれ、おもしろかった。
また、久々にヴィヴィアンがパラメイルで活躍する姿を見ることができたのも良かった。

【助けて、アンジュリーゼお姉さま!】
冒頭は、夜のミスルギ皇国の皇宮、ジュリオの寝室である。
そこではジュリオと側近リィザ・ランドッグがベッドの上で見つめあっており、二人は一見すると大人な関係なのだが、どうも様子がおかしい。
ジュリオはリィザをママと呼ぶのだが、その表情は子供のように穏やかで幼く、リィザに褒められると無垢な表情で喜ぶ。そしてリィザは指先から怪しい紫色の液体をジュリオの口に注ぎ込むと、ジュリオは死んだような目になってしまう。

ただ母に愛してほしかった、これがジュリオのずっと抑圧していた本心であり、リィザはこれを利用してジュリオを洗脳していたということのようである。

一方、シルヴィアはジュリオの寝室に向かっていた。
アンジュが処刑場で大暴れして脱走したことが怖いので、一緒に寝てほしいということのようである。そしてシルヴィアはジュリオの寝室で、リィザがジュリオに馬乗りになっているのを目撃するのだが、リィザの背中にはドラゴンのような羽根、お尻には尻尾まではえており、どう見てもただの人間ではない。

シルヴィアは慌てて逃げ出すが、次の瞬間には尻尾で拘束されていた。
恐怖したシルヴィアは思わず「助けて、アンジュリーゼお姉さま!」というのだが、シルヴィアの中には、アンジュへの愛情が残っているのだと思いたい。

リィザはドラゴンの関係者のようであり、ミスルギ皇国の中枢を掌握して何事かを画策しているようだが、それは何であろうか。そしてシルヴィアはどうなったのだろうか(リィザに薬物で洗脳された?)。

【サリアたち、すき焼きパーティー?】
一方アルゼナルでは、パラメイル第一中隊のメンバーたちがサリアを中心にすき焼きをつつきながら、現状を確認していた。
アンジュとヒルダが反省房入りのため第一中隊は現在5名。これでは通常任務の遂行は厳しいため、第二中隊と第三中隊が任務にあたり、第一中隊は待機任務である。
エルシャは仕方がないといい、ロザリーは出撃できなければ金がかせげない、脱走姉妹のせいでいい迷惑だと怒り、クリスは二度と出てくるな…とつぶやく。一緒に鍋とは実は仲の良い第一中隊だが、お金が稼げないのでみんなで食事をして食費を浮かせるという、助け合いの精神もあるかもしれない。

その頃、アンジュとヒルダは反省房で固いパンをかじりながら、もう一週間入浴していない、せめて水浴びしたいとつぶやき、あなたにおうわよ、お前もだ、と言い合う。狭い牢屋で一週間すごしているが、お互いの存在を自然にうけいれており、すっかり悪友として仲良くなっているアンジュとヒルダである。

【サリアの憧れ】
アルゼナルの墓地で、サリアは一つの墓に花を手向けていた。
それは整備班長メイの姉の墓であり、今日はメイ姉の命日なのである。そこにメイが現れ、サリアに花の礼を言う。この二人、実は幼馴染であり、もう10年以上のつき合いである。

サリアが思うのは、メイ姉が帰って来なかった日のこと、そして憧れの女性アレクトラのことである。
その日、アレクトラの機体ヴィルキスが破損した状態で帰還、アレクトラも重傷を負っていた。

アレクトラに駆け寄り抱き抱える凛々しい美女は、なんとジャスミンである。アレクトラは、自分ではダメだった、メイ姉も、みんなも死んでしまったと泣いてジャスミンに詫びる。
幼いサリアは、アレクトラの一大事と駆けつけ、涙をにじませながらアレクトラを酷い目にあわせた相手に対して怒り、仇を討つと言う。このアレクトラこそ、今のジル司令である。
以来サリアは文武ともに努力に努力を重ね、17歳の今では第一中隊の隊長を任せられるまでになっていた。アレクトラの力になりたい、アレクトラに認めて欲しい、これがサリアの原動力であり、それは今も変わらない。

【ドラゴンの大群、アルゼナルを襲撃】
その日、アルゼナル上空にゲートが開き、200を超えるドラゴンが出現、アルゼナルに襲いかかった。

ジル司令は直ちに全基地に第1種戦闘体制を発令、パラメイル第二、第三中隊にドラゴン迎撃を命じた。残る全兵員は手際よく自動小銃を手に取り、対空戦闘にそなえる。

基地のあちこちから対空砲がせり出し、対空射撃を開始、次々とドラゴンを撃墜する。対空砲火をくぐり抜けて基地に到達するドラゴンは、自動小銃の集中砲火を浴びせ、次々と倒す。
第一中隊も銃を手にパラメイル発着場に陣取り、襲いかかるドラゴンを迎撃する。

司令室にもドラゴンが突撃、強化ガラスを突き破って襲いかかってきた。
するとエマ監察官は正気を失って銃を乱射、味方を傷つけかねないので、ジル司令はエマ監察官を殴って気絶させ、司令室を放棄して臨時司令室に移動することを部下たちに命じた。
エマ監察官が正気を失ったのは、マナの人々はドラゴンを目の当たりにすると何らかの洗脳が発動するということなのだろうか。

【謎のパラメイル、焔龍號】
アルゼナルは基地施設をあちこち破壊されながらもドラゴンを撃破し、確実に敵の数を減らしていく。

その時、ゲートから3機のパラメイルが出現、そのうちの一機は公式HPによると焔龍號である。

焔龍號が前進し、パイロットが歌いだすと機体が金色に輝き、肩のパーツが開くと砲門が現れ、光線を発射した。光線の軸線上に飛行していたアルゼナルのパラメイルは次々と消滅、光線はアルゼナルのエアポートの向かって左側に命中、島の半分を消滅させた。

【サリアの葛藤】
焔龍號の光線は、これまでのドラゴンとも、パラメイルとも桁の違う破壊力だが、ジル司令は動じず、サリア隊の出撃、そしてアンジュの謹慎を解除しヴィルキスでの出撃と謎の機体の迎撃を命じる。
だがサリアはジル司令のこの決定に納得できない。ヴィルキスには自分が乗ると主張するが、ジル司令は許可しない。

サリアとしては、自分はアレクトラを慕い、力になりたいと思って努力し続け、ルールを守って頑張ってきたのに、なぜアレクトラは急に現れたアンジュに目をかけ、アンジュのルール軽視も大目に見て、アンジュにヴィルキスのライダーという大きな役割を任せるのか納得できない、というところだろうか。

ジル司令もサリアに対し、口下手な気がする。
ジル司令としては、幼い頃から自分を慕い続けてくれるサリアを可愛いと思う気持ちがあり、頼もしく成長していることを嬉しく思っており、だからこそ、これ以上サリアを危険な目に合わせたくないから、頑としてサリアにヴィルキス搭乗を許可しないのではないか。

【サリア、ヴィルキスで出撃」
ついにサリアは独断でヴィルキスに搭乗して出撃、焔龍號と交戦する。
だが、ヴィルキスはアンジュ搭乗時ほどのパワーとスピードを出せず、焔龍號に全く歯が立たず、ついに焔龍號の蹴りを受け、そのまま海面に向かって急降下していく。

これは、ヴィルキスは特定の血統の人間にのみ反応してその能力を発揮する機体であり、だからサリアとジル司令ではその力を引き出せなかったということだろうか。

【アンジュ対サラ】
その時、ヒルダ機が出現。
搭乗しているのはヒルダとアンジュである。
アンジュの指示でヒルダ機は、失速しつつあるヴィルキスに接近、アンジュは空中でヴィルキスに飛び移るとヴィルキスの操縦桿を引いて急上昇し、機体を立て直す。
そしてサリアの股と胸に手を回すと放り投げてヒルダに回収させ、自身はヴィルキスを駆り、焔龍號に突撃するのである。

アンジュの駆るヴィルキスは抜刀。
焔龍號に斬り付けて打ち合い、間合いを取ると銃で撃ち合うが、その勝負は互角であり、全く勝敗は決しない。

すると焔龍號のライダーは再び歌い始めた。
これを聞いたアンジュもまた歌い始める。
理屈ではなく、感性で戦うアンジュだが、未知の敵を相手に、その戦いぶりには全く迷いが無い。

焔龍號は金色に輝き、肩から大破壊兵器がせりだすが、ヴィルキスもまた金色に輝き、肩から砲口がせり出す。
両機は互いに向けて光線を発砲、光線は空中でぶつかり合い、消滅。

そしてアンジュの前で、焔龍號のハッチが開き、黒髪の少女サラが姿を見せた。
サラはアンジュに問う。
「なにゆえ偽りの民が聖なる星歌を?」
だがアンジュも分からないことだらけであり、サラに尋ねる。
「あなたこそ何者?その歌はなに?」

その時、アンジュとサラの前に、謎の光景が次々と見えた。
それは、様々な時代のアンジュとサラの姿である。

そしてサラは、謎の言葉を残して去った。
「真実はアウラとともに」

【サラとドラゴン勢力の謎】
今回のサラの戦い方を見ると、ドラゴンが何匹討ち死にしようと気にしておらず、ドラゴンのことは手駒としか思っていないように見える。ドラゴン側は人間を中心とする社会であり、ドラゴンはあくまでその道具なのだろうか。

サラとドラゴン側の行動も謎が多い。
ドラゴン側はアルゼナルをドラゴンを狩りまくる邪魔者と思っていそうなものだが、それにしてはアルゼナル殲滅にこだわっていないように思える。
今回もドラゴンでヴィルキスをけん制し、その隙に焔龍號がアルゼナルに大破壊力の光線をあと何発か撃ち、アルゼナルを再起不能にすることも出来たと思うのだが、そこまでしてアルゼナルを葬ろうとはしなかった。
サラとドラゴン側勢力の真意、アンジュとサラの因縁について、今後も注目したい。

【戦いの後に】
アンジュのヴィルキスでの戦いぶりを見たサリアは、ふっきれたような穏やかな表情を見せ、ヒルダの背に身体を預けて涙を流した。そしてヒルダに言うのである。
「ヒルダ、くさい…」

一方、ジル司令は「最後の鍵は、歌か…」と言い、何か謎が解けて納得している様子である。

戦いの後、ジル司令にマギ軍医は難しい顔で報告する。
「まずい事になった。プラントが破壊された」

アルゼナルの任務遂行に必要な施設であれば、エマ監察官を通じてローゼンブルム王国に依頼すれば都合してもらえると思うのだが、「プラント」というのはマナの人々には秘密の施設ということだろうか。アルゼナル側は現在手持ちの資源でことを起こさねばならない状況に追い詰められたということかもしれないが、今後の展開に注目したい。

【予告】
次回「右腕の過去」

クロスアンジュ 天使と竜の輪舞 第10話「絞首台からサヨナラを」

  • 2014/12/07(日) 22:38:25

今回は、差別を無批判に肯定し、ノーマ迫害に熱狂する新生ミスルギ皇国国民とアンジュの兄ジュリオと妹シルヴィア、そんな故国と家族に絶望し、怒り、国民とも家族とも決別するアンジュが描かれ、絶望を乗り越えて「ムカつく世界をぶっ壊す」と意気投合するアンジュとヒルダが描かれ、アンジュの脱走に傷つくサリアとエルシャ、ヒルダの言葉に傷つくクリスとロザリー、サリアとエルシャに遠慮しながらもアンジュが帰ってきたことを喜び歓迎するヴィヴィアンが描かれ、おもしろかった。

【処刑場のアンジュ】
前々回、アンジュはアルゼナルを脱走した。
妹シルヴィアからの助けを求める通信を聞き、シルヴィアの元に駆けつけるためである。
そして前回、アンジュはモモカと共に旧ミスルギ皇国の皇宮に突入。
警護部隊を蹴散らし、ついにシルヴィアの元に辿り着いた。
だがシルヴィアは、アンジュにナイフで斬りつけ、アンジュを化け物と罵った。

そして今回、アンジュは絞首台の前に拘束され、シルヴィアに鞭打たれ、肌を切り裂かれていた。アンジュの全身には多くの傷がついているが、これもシルヴィアがやったようである。

絞首台近くの貴賓席ではアンジュの兄ジュリオが酷薄な笑みを浮かべて虐待ショーを眺めている。そして処刑場の周囲には大勢の国民が集まり、アンジュを罵っている。

手首を手枷型の結界で拘束されたモモカは、アンジュに酷いことはしないでほしいとシルヴィアに訴える。
だがシルヴィアは、ノーマを姉としていたことほど酷いことはないと言い、虐待をやめようとしない。

いくらノーマへの差別意識が強いとはいえ、長年仲良くしてきたアンジュを簡単に恨むことができ、暴力までふるえるというシルヴィアの心情であるが、シルヴィアは、アンジュがノーマと発覚したから急に悪意を抱いたのではなく、ずっと隠していたアンジュへの恨みが爆発して歯止めが効かなくなり、さらにこれまで表に出さなかった嗜虐性まで暴走したということだろうか。
実はシルヴィアは、アンジュがノーマであろうとなかろうと、本心では美しい姉を痛めつけてやりたい、悲鳴をあげさせ、苦痛に表情を歪ませたいというサディスティックな欲求を持っていたのかもしれない。

そしてジュリオは、アンジュを嘲笑しながら、冥土のみやげに真実を明かした。
アンジュがノーマと発覚しアルゼナルに送り込まれたことも、モモカがアルゼナルのアンジュを尋ねたことも、今回の件も、黒幕は全てジュリオであること。
そして、アンジュをノーマと知りながら匿っていた父ジュライ皇帝を処刑したことを。

【アンジュの訴え、群衆の熱狂】
ジュリオの命令で、衛兵はアンジュを絞首台に連行しようとするが、アンジュは思わず訴える。なぜノーマというだけで殺されなければならないのか。

すると群衆の中から、アンジュの旧友アキホが、自分にしたことを思い出せと言い、アンジュを罵った。
これにアンジュは反論する。
アキホのことは蹴っ飛ばして簀巻きにしたが、殺されるほどのことではないだろうと。

だがアキホたちは、アンジュを嘲笑しながら言う。
それは普通の人間のこと、ノーマならば死刑だ。

モモカはアンジュを庇い、アンジュを必死に弁護するが、アキホたちは叫ぶ。
ノーマという存在そのものが悪なのだと。
そしてアキホが「吊ーるーせ」と言い出すとたちまち群衆に広まり、「吊るせ!吊るせ!」の狂熱する大合唱が鳴り響く。

ここに至り、アンジュははっきりと思った。
ノーマであるかどうかなど気にせず、ありのままのアンジュに接してくれたのは、アルゼナルの人々とモモカだけだった。
第一中隊のメンバーたちとはぶつかり合いもしたが、彼女たちはたとえアンジュを憎んでも、ありのままのアンジュを見て、ありのままのアンジュの言葉を聞いてくれた。

それに比べてミスルギ皇国の国民たちは、平和と正義を愛する人々と信じていたのに、話し合いすら通じない。
こんな奴らのために、自分たちは、ノーマは命がけでドラゴンと戦ってきたのか。

アンジュは母から伝えられた歌「永遠がたり」を口ずさみながら、自ら絞首台に歩き出す。
だがアンジュには死ぬつもりはなく、「殺せるものなら殺してみろ!」と生きる気迫に満ちている。

一方、ジュリオとシルヴィアは、アンジュの行動に動揺する。
「永遠がたり」は、ただの歌謡ではなく、特別の意味がある歌のようである。

【タスク、処刑場を奇襲】
ついにアンジュの首に縄がかけられ、足元の床が開いた。
その瞬間、閃光手榴弾が空中で炸裂、強烈な光が人々の視力を奪った。

その隙に一機の小型航空機が出現してアンジュに急接近。
謎の人物がアンジュの首のロープを切断し、落下するアンジュを抱きかかえて着地した。
だが着地に失敗し、アンジュの股間に顔をうずめてしまう。

アンジュを救ったのは、かつて孤島に漂流したアンジュを救けた男性タスクであった。
だが事故とは言え、このセクハラにアンジュは激怒、タスクに蹴りを入れると、タスクは気絶した。

【アンジュとモモカ、連携して戦う】
アンジュはまず、回し蹴りでモモカを拘束する手枷型の結界を破壊。
次にモモカはアンジュの手枷をマナの力で解錠。
衛兵たちはアンジュに発砲するが、モモカはマナの防護壁を展開して銃弾を弾き返す。

モモカは、気絶したタスクが身につけている手榴弾多数と手裏剣を拝借、マナの力で浮遊させ、アンジュに送り届けた。
そしてアンジュは手榴弾を投擲。
手榴弾は次々と爆発、衛兵たちを吹き飛ばし、装甲車の群れをただの鉄塊に変えていく。

炎と爆発の混乱の中、アンジュはタスクの乗ってきた小型飛行機に飛び乗ると、モモカとタスクを乗せて飛翔。ジュリオとシルヴィアの前方空中でホバリングして停止。
そして二人に、国民たちに言うのである。

「感謝していますわ、お兄様。私の正体を暴いてくれて。
ありがとう、シルヴィア。薄汚い人間の本性を見せてくれて。
さようなら、腐った国の家畜共。」

アンジュは手裏剣をジュリオに投擲すると、そのまま飛び去った。

一方、手裏剣はジュリオの頬をかすめ、出血。
するとジュリオは傷口をおさえて跪き、激しく動揺するのだが、どうやら暴力を受けたことがほとんどないようである。
ジュリオの側近リィザ・ランドッグは、そんなジュリオの肩を抱いてささえるのだが、厳しい目つきでアンジュが飛び去った方向を睨んでおり、ジュリオを心配しているようにはあまり見えない。

このリィザ、何か企んでいるように見える。
例えばリィザはジュリオと結婚して皇后となり、その後ジュリオを政治から遠ざけ、ミスルギ皇国の実権を握っても、不思議は無い気がする。

【アンジュ、脱出成功】
小型飛行機を自動操縦にし、アンジュとモモカはようやく人心地ついていた。
目覚めたタスクに、アンジュはその正体を聞く。するとタスクは、自分は「ヴィルキスの騎士」であり、詳しいことはジル司令に聞くといいと言う。

一方モモカは、アンジュとタスク様子を見て、男勝りなアンジュリーゼ様にも春が来たと喜ぶのだが、職業不詳の武装した謎の男という所が気にならないのは、モモカもまた王宮育ちで世間知らずだから、というところだろうか。

そして小型飛行機はアルゼナルの砂浜に到着、タスクはまだやることがあると言い残して去り、アンジュとモモカの前にジル司令が姿を見せた。
アンジュはジル司令に「ヴィルキスの騎士」について尋ねるのだが、ジル司令はまずはお仕置きだと鋼鉄の義手でアンジュの腹部を殴り、気絶させた。

【アンジュ、牢獄で目を覚ます】
アンジュは水を浴びせられて目を覚ました。
牢内の床に転がされていること、全裸であり、鉄格子の外にサリアとエルシャが立っていることに気づいた。

サリアはアンジュに、脱走に対する処罰を言い渡した。
反省房で一週間の謹慎。全財産及びヴィルキスの没収。
軍事組織を脱走した処罰としては、銃殺されないだけ温情的なものに思えた。

そしてエルシャはアンジュに問う。
なぜ脱走などしたのかと。
外の世界はノーマを受け入れてはくれない、自分たちの生きる場所はここしかないのに、なぜ?
エルシャにしてみれば、アンジュは自分たちを否定しただけでなく、ノーマを受け入れない外の世界を選んだように思え、深く傷ついているというところだろうか。

そしてサリアは冷たい目をアンジュに向けて言う。
「結局、わたし達とは違うのよ。信じるんじゃなかった…」

アンジュは、自分の脱走がエルシャを、サリアを傷つけてしまったことを初めて知り、罪悪感を感じている様子である。

【相部屋のヒルダ】
アンジュは毛布をまとい、寒いとつぶやくと、「うるせえ…」という声。
何と同じ牢内にヒルダが横になっており、「近寄るな」とぶっきらぼうに言うのである。

だがヒルダが痛みで呻き声をあげると、アンジュは思わず近づき、「大丈夫?」と声をかけた。
するとヒルダは怒って飛び起きるのだが、その顔は腫れ上がり、アザだらけ。この顔を見られたくなかったようである。

何があったのか聞くアンジュに、ヒルダは聞くのならまず自分のことから話しなという。

するとアンジュは話し始めた。
死刑にされかけた、鞭打たれ、罵声を浴びせられ、首を吊られたと。

アンジュの話にヒルダは「なかなかじゃん」と笑い、共感を示す。
そしてヒルダはアンジュに話を促されると、50人にボコられた、だが全員再起不能にしてやったと言うのである。
前回、ヒルダは官憲たちに集団で殴られていたが、あの後官憲に拘束され、アルゼナルに強制送還となり、アンジュより一足先に反省房に放り込まれた、ということだろうか。それであれば、官憲に殺されなかっただけマシに思える。

強がるヒルダだが、心の傷は深いようで、眠っていても、うなされて飛び起きてしまう。
アンジュは、「落ち込んでるの?珍しい」と言い、ヒルダをからかうのだが、これは同情されることを嫌うヒルダを気遣ってのことだろう。
ヒルダはいつものように悪態をついて強がろうとするのだが、とうとう耐え切れず、傷ついた本心をアンジュに明かした。母だけは、ノーマである自分を許してくれる、受け入れてくれると思っていたが、そうではなかった、外の世界には自分たちの居場所などないと思い知らされたと。

アンジュは、ここには仲間がいるではないかと励ますのだが、そんなものはいないとヒルダは自嘲する。

ヒルダの収監直後。クリスとロザリーが面会に来た。
ロザリーはヒルダを心配し、なぜ相談してくれなかったのかと優しく声をかける。
だがクリスは、ヒルダに怒りの目を向けて言う。ヒルダは自分たちを友達とは思っていなかったのだろろうと。
ヒルダは嘲笑を浮かべ、気づくのが遅い、上手くやっていくためアンタ達に合わせてやってただけと憎まれ口を叩く。

クリスはヒルダの頬に唾を吐きかけ、「死ねばよかったのに…」と言い、ゾーラ隊長の遺品は全て買い取った、ヒルダには使ってほしくないからと言い残し、ロザリーを引き連れて去った。

クリスとしては、以前からヒルダは本当に自分たちを友達と思っているのかということに一抹の不安を感じており、ヒルダ脱走により、不安が確信に変わったということだろうか。一方ロザリーは、ヒルダの発言にショックを受けていはいるが、ヒルダに対しそこまで悪感情を抱く気にはなれない様子である。

そして残されたヒルダは、傷ついたように見えた。
彼女がクリスとロザリーに言った言葉は、全てが本心ではないだろう。

【アンジュ、世界を壊すことを思いつく】
牢内でヒルダは、生きる理由も、何もかも無くしてしまった、いっそ殺してくれないかなと冗談めかして言うが、アンジュは生きろという。
こんなどん底の世界で、希望だけは捨てずに生きろというのかと叫ぶヒルダに、アンジュはこんな狭い場所で死なれたら臭うではないかと言う。ヒルダは「どこまで自己中なんだよ」と笑った。
アンジュは、基地で定着した自己中キャラというイメージを逆手に取り、ヒルダを笑わせ、元気づけてようとしているようである。

そしてアンジュは言う。
希望など、この世界にありはしない。
あるのは迫害される現実と、ドラゴンと殺し合う日常。
偏見に差別に凝り固まり、ノーマというだけで否定することしか出来ない愚民ども。
マナが使えないことがそんなにいけないことなのか?違っててはいけないのか?
友情、家族、絆、全て嘘っぱちだ。
友情は美しい、絆こそ素晴らしいなどと平気で口走っていた、昔の自分を殴りたくなる。
どいつもこいつも馬鹿ばっかり。
世界は腐っている。

そしてアンジュは言うのである。
「こんな世界、壊しちゃおうか?」

意表をつくアンジュの発言に呆れ顔のヒルダだが、アンジュは楽しそうに続ける。
「出来そうじゃない?パラメイルとアルゼナルの武器があれば」

ヒルダは、陸までは何千キロもあり、パラメイルでは航続距離が足りない、食料は、資材はどうするのかと、冷静に指摘する。

するとアンジュは全くめげずに言う。
航続距離の問題は、長時間稼働できる機体を作れば良い。
食料は、海で魚を取れば良い。人間たちから奪ってもいい!
資材は何とかなる。

アンジュは世界に対する怒りに燃えながら言う。
「私を虐げ、はずかしめ、貶めることしかできない世界なんて、私から拒否してやる!
こんな腹立たしくて、苛立たしくて、頭にくる世界!」

ヒルダは、「そういうの、全部まとめて『ムカつく』って言うんだよ」と言って笑う。
するとアンジュも笑顔を見せて言う。
「だったら、ぶっ壊してやるわ、こんなムカつく世界!ぜ~んぶ!」

アンジュの発言にヒルダは「いいね、協力してやってもいいよ」と意気投合。二人は不穏な話題で盛り上がるのであった。

【アンジュ、牢内で歌う】
夜、ヒルダの眠る牢内で、アンジュは窓の外に向かって歌う。
その歌声は、牢に面した施設にも届き、浴場で入浴中のヴィヴィアンは、良い歌声だとうっとりするが、エルシャは「サリアちゃんに怒られるわよ」とたしなめた。
するとヴィヴィアンは「そりゃ怖い!」というとちょっと考えこみ、湯船に潜ると水中で叫んだ。「おかえり~アンジュ~」

一方、元ゾーラの部屋では、クリスはロザリーと肌を重ね、ロザリーを求めながら不安を口にしていた。
「ロザリーは、ロザリーは私を捨てたりしないよね?」

サリアは自室で何冊もの軍事教本を開き、隊長の務めの参考にしようと必死である。
そしてジル司令は、灯りの落ちた管制室で一人タバコをくゆらせながら月を見上げ、物思いにふける表情を見せるのだった。

【予告】
次回「竜の歌」

次回は、公式HPによると、ドラゴンの大群がアルゼナルを襲撃、群れを率いるのは謎のパラメイルを駆る少女サラとのことなのだが、オープニングに登場する黒髪の少女がついに登場するようである。
アルゼナルのかつてない危機であり、ドラゴンの謎、世界の謎の一旦が明かされるのだろうか。
次回も楽しみである。

クロスアンジュ 天使と竜の輪舞 第9話「裏切りの故郷」感想・レビュー

  • 2014/11/30(日) 18:23:59

今回は、物語の一つの区切りとなるお話だと思うのだが、アンジュとヒルダ、それぞれが故郷で信じていた人々に「ノーマである」という理由で裏切られ、それぞれの人間性が浮かび上がり、さらに故郷で再会した人々、シルヴィア、アキホ、ヒルダ母の本心の一端が垣間見え、見応えがあった。また今回のヒルダを見ると心が痛むのだが、同時に、ただ母に愛してほしかったヒルダが可愛かった。

後述するが、アキホは本心では以前からアンジュが嫌いだったのではないか、シルヴィアは本心ではアンジュを恨んでいたのではないか、それまで表に出せず抑圧していたマイナスの感情を、アンジュがノーマと公表されたことで、アンジュにぶつけてきたのかもしれないと思った。
特にアンジュに恨み言をぶつけるシルヴィアは、解放されたように憎悪の表情豊かで、これまでで最も活き活きしているように見えた。

【ヒルダ故郷に帰る】
ヒルダは子供の頃、自分がノーマであることを知らず、家庭的で優しい母と、リンゴ園の広がる田園地方に暮らしていた。木登りが好きな活発な女の子であり、母のつくるアップルパイに大喜びし、何より母のことが大好きだった。

ヒルダ母はヒルダがノーマであることを知りながら、そのことを隠してヒルダを育てていた。だがそれは、ついに公権力の知るところとなった。
そしてある雨の日、ヒルダの家に検疫官たちが乗り込んできた。
ヒルダ母は、雨でぬかるむ泥道に平伏し、見逃してもらえるよう検疫官たちに必死で訴えた。
「たとえノーマでもヒルダは私の子!大切な私の娘です!娘を返して…」

だが、聞き入れられるはずもなく、小さなヒルダは連れ去られた。
ヒルダ母は、ヒルダを追って転倒し、泥まみれでヒルダの名を叫び続けた。
それが、ヒルダがアルゼナルへ連れ去られる前に最後に見た、母の姿だった。

ヒルダは、母は今でも自分を愛してくれていると信じた。
母と引き離されてから11年。
ヒルダはついにアルゼナルを脱走し、故郷に帰ってきた。
服飾店に忍び込み、故郷にいた頃に近いイメージのワンピースを盗み出したのも、母と過ごした頃と同じツインテールをずっと通していたのも、母に愛されていた頃の自分こそ本当の自分と思っていたからだろうか。

11年ぶりに再会したヒルダ母は、ヒルダが誰か分からず、娘の友人と勘違いしてもてなす。
ヒルダもまた、自分が娘とはなかなか言い出せない。ヒルダとしては、ひと目で娘と気づいてほしかっただろう。
やがて、かつてのヒルダより少し大きな女の子が現れた。ヒルダ母は、この女の子を「ヒルダ」と呼ぶのである。

ヒルダは思わず、自分は娘のヒルダだと名乗った。
「ヒルダは私!ヒルデガルト・シュリーフォークト!11年前に離ればなれになったママの娘よ」

だがヒルダ母は、あなたがここに現れたことは誰にも言わないから帰って欲しいと懇願する。思いがけない母の言葉に、ヒルダは動けない。
するとヒルダ母はアップルパイを投げ付け、「帰れ!生まれてこなきゃよかったのよ、あんたなんか」と言い放った。

ヒルダは走って逃げ出した。

間もなく、雨降りの田舎道を力なく歩くヒルダの前に官憲たちが現れた。ヒルダ母が通報したということだろうか。

官憲は何の警告もなくヒルダを殴りつけ、泥道に倒れたヒルダを集団で殴打する。だが、ヒルダにはもはや抵抗する気力もない。
泥の中に倒れ、虚ろに灰色の空を眺めるヒルダは、ただアンジュのことをおもい、アンジュが妹に再会できたことを願った。

【ヒルダ母について】
ヒルダ母は、連れ去られたヒルダがアルゼナルで生きているとは全く思っていなかった。そもそもアルゼナルのことは一般人には秘密であり、この世界の人々は、隔離されたノーマは殺処分されると思っていても無理はない気がする。

ヒルダ母が、次女に「ヒルダ」と名付けたのは、ヒルダは連れ去られてすぐに処分されてしまったと思っており、だからこそ次女が生まれれるとヒルダが帰ってきたと思い、奪われた娘と同じ名前をつけたのだろうとおもう。

今回ヒルダ母は、帰ってきたヒルダを拒んだが、ヒルダも妹ヒルダも自分の娘であり、そして妹ヒルダは決してヒルダの代わりではないことは分かっていると思う。
ヒルダ母は、いかにノーマとはいえ、母を慕って帰ってきてくれた自分の娘を突き放し、見捨てたことに今後苦しむのではないか。

【アンジュ、旧友アキホと再会】
アンジュとモモカは、旧ミスルギ皇国の皇都に潜伏した。
夜を待つアンジュはヒルダをおもい、ヒルダは母に会えただろうかと思った。

夜になるとアンジュとモモカはエアリアの倉庫に忍び込み、旧友アキホに再会する。
だが再会したアキホはアンジュに怯え、許しを請う。
アンジュは「ノーマになっても、私は私。何も変わってないわ。私が何かするとでも思ったの?友達であるあなたに」と言い、アキホに手を差し伸べた。
だがアキホはアンジュの友情を全く信用せず、隙を見て官憲に通報するのである。

【アキホ、以前からアンジュが嫌いだった?】
アキホがアンジュを信用出来ないのは、本当はずっと以前から、本心ではアンジュのことが嫌いであり、実は心を許していなかったからではないかと、ちょっと思った。

アキホはアンジュのことを、いつも綺麗事しか言わない、自分たちのミスや力不足のために試合に負けても決して怒ったりしないが、本心では自分たちのことを見下していると思い、内心ではアンジュを嫌っていても不思議は無い気はする。

だからこそアキホは、アンジュがノーマと発表されると、これで心置きなくアンジュを嫌いと言える、「ノーマは人間ではない」のだから、どんな酷いことを言っても誰にも非難されないと、後ろめたさを感じずにアンジュを罵ることが出来たのかもしれない。

これはアキホに限らず、マナの人々全般に言えることかもしれない。
マナの人々の社会は、人を悪く言ってはいけない、妬んだり恨んだりしてはいけない、みんな仲良くしよう、絆を大事にしようということを建前としているようにおもえる。

人々は本当は、マイナスの感情を抱えているのだがそれを表に出せず、そのはけ口としてノーマを虐待しているというところはあるような気がする。

【アンジュ、シルヴィアと再会】
アンジュとモモカは王宮に突入、守備兵の追跡と防御を突破し、ついにシルヴィアの元に辿り着いた。だがシルヴィアは、無事を喜ぶアンジュにナイフで斬りつけた。

シルヴィアからの救けを求める通信が、そもそも罠だったのである。

状況が理解できないアンジュに、シルヴィアは言う。
「この化物!!あなたさえ生まれてこなければ…あなたがいなければ…歩けなくなることも、お母様が死ぬこともなかった」

アンジュは座り込んでしまい、モモカと一緒に拘束された。
そして兄ジュリオが姿を見せ、まんまと罠に落ちたアンジュをあざ笑うのであった。

【シルヴィア、以前からアンジュを恨んでいた?】
シルヴィアは、かつてアンジュと一緒に乗馬して落馬し、足が不自由になった。
それでもアンジュを責めず、それどころかアンジュを気遣っていた。

それはシルヴィアの本心だろうが、同時にアンジュを恨む気持ちも本心だろう。また、亡き母・ソフィア皇后は心優しい人物であり、シルヴィアはアンジュを責めて母を悲しませたくない、母に悪い子だと思われたくないという気持ちもあったとおもう。
だからこそ、アンジュがノーマだと分かると、これまで言えなかった本心を、抑圧して隠し続けてきた恨みをぶつけてきたように思える。
アンジュを罵るシルヴィアは、初めて本心を解放することができ、これまでになく活き活きしているように見えた。

また次回予告でシルヴィアは、アンジュを鞭打っていた。
身動きできないアンジュに暴力を振るい、苦痛の表情を引き出したい、悲鳴をあげさせたいというのも、シルヴィアの本心なのだろうか。

ただシルヴィアは、アンジュに救いを求めれば、アンジュが駆けつけることを疑わなかった。これはアンジュがシルヴィアを愛していることを確信しているからこそであり、実はシルヴィアはアンジュに甘えていると言えるかもしれない。

【ジュリオの陰謀】
今回の陰謀はアンジュの兄ジュリオの策であった。
アンジュをアルゼナルから旧ミスルギ皇国におびき寄せて捕らえ、最終的にはアンジュを公開処刑にするつもりのようである。
ジュリオはアンジュに随分執着しているが、これはアンジュはノーマであるという以上の危険な存在と見なしているから、それともそれほどアンジュが憎い?

ジュリオとしては、アンジュをアルゼナルに送り込めばすぐに始末できると思っていたがしぶとく生き残るので、脱走するように誘導し、脱走犯として始末されても良し、運良く旧ミスルギ皇国まで辿り着いたら公開処刑、という計画なのだろうか。

そんなジュリオの傍らに控えるのが、側近リィザ・ランドッグなのだが、ジュリオを見る目は無表情で冷たく、主君に敬意や忠義の心を抱いているようにはあまり見えない。リィザはジュリオすら利用して何かを企んでいるのだろうか。

【予告】
次回「絞首台からサヨナラを」

捕らえられたアンジュとモモカ、そしてヒルダはどうなるのか。次回に注目したい。