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SAKON 戦国風雲録 全6巻(原哲夫/ジャンプコミックス)

  • 2007/07/31(火) 23:56:21

隆慶一郎の小説「影武者徳川家康」を、「北斗の拳」で有名な原哲夫が少年漫画として描いたマンガ作品。

【感想概略】
「SAKON」は、原哲夫による王道少年漫画である。
その丁寧で迫力ある絵と、島左近の男ぶり、史実を家康影武者説の裏付けと描く原作のストーリーが少年漫画に融合されており、おもしろかった。

【あらすじ】
物語は1600年、関ヶ原の戦いからはじまる。
主人公は、義に篤い武将・島左近である。

左近は、何人かの主君に仕えた後、豊臣秀吉の家臣・石田三成に仕えた。
戦乱を無くし太平の世を築きたいという三成の誠意と男気に、惚れたが故である。

だが既にその知略と勇名が天下に鳴り響いていた左近が、戦下手の吏僚・三成に仕えたことは意外とされ、「三成に過ぎたるものが二つあり。島の左近に佐和山の城。」と当時いわれたという。

そして豊臣秀吉の死から2年後、1600年。
石田三成が主催する西軍と、徳川家康率いる東軍が、美濃の国・関ヶ原で激突した。
世に言う、関ヶ原の戦いである。

三成の家臣として従軍した島左近は、開戦直前、配下の忍を放ち、家康を暗殺した。

暗殺という陰湿な手段とは最も無縁の快男児・左近が、家康を暗殺したのは、三成では家康に勝てぬとのいくさ人として冷徹な判断、そして主君・三成を何としても勝たせたいがためであった。

ところが家康の暗殺にも、東軍に動揺は生じない。
何と、家康の影武者・世良田二郎三郎が、家康の死を隠し、家康を演じきったためであった。
事実を知る徳川家の一部重臣を除き、東軍諸将は家康健在を信じて疑わない。

影武者がここまでやるとは思わなかった左近は、ほとほと感嘆。
もはや小細工は無用と、左近は軍勢を率い正攻法で敵軍に突撃。
鬼神の如き戦いぶりであったが、戦闘中行方不明となった。
このため歴史上、左近は戦死とされる。

しかし、「SAKON」では、島左近は関ヶ原で戦死していなかった。
何発もの矢玉を浴び、重傷を負いながらも、戦場を脱出。
刑死する主君・三成とともに死なんとするが、三成の遺命により、生き延びた。

左近の前に立ち塞がるのは、豊臣秀吉の遺児・秀頼を亡き者とし、豊臣家の滅亡を企てる冷酷な権力者・徳川秀忠と、柳生宗矩率いる柳生一門である。

ここで意外な味方が出現する。
何と、家康の影武者・世良田二郎三郎が、冷酷非情な秀忠による抹殺の危機を抱き、左近と同盟するのである。二人はともに、秀忠に対抗する。

さらに後半には、羅刹七人集なる戦闘集団が登場、左近と死闘を繰り広げるのである。

【感想】
原哲夫は、隆慶一郎の小説「影武者徳川家康」をマンガ化し週刊少年ジャンプで連載した。
マンガのタイトルも小説と同じく「影武者徳川家康」であり、主役は家康の影武者・世良田二郎三郎であった。

「SAKON」も同じく「影武者徳川家康」のマンガ化作品だが、より少年漫画らしいアレンジが見られる。

まず主人公は影武者ではなく、義に篤い武将・島左近である。
左近は無茶苦茶強く、「墨炎」(すみほむら)という岩石をも両断する豪刀を愛用。
敵の刃を受けながらも退かぬその戦いぶりは、まさに豪快である。
さらに左近は、「花の慶次」の前田慶次とはまた違ったタイプの快男児であり、見ていて気分のいい男である。

義に篤い快男児の豪快な戦い、これが「SAKON」のおもしろさの大きな一因である。

また、回想シーンでは伊勢長島一向一揆など、ジャンプマンガではあまり描かれることのない歴史上の割とマニアックな合戦が、原哲夫の迫力あるマンガで見ることができるのも、魅力である。

原哲夫による戦国時代を舞台とした作品を、また読みたいものである。

レッドガーデン(綾村切人/幻冬舎コミックス)

  • 2007/07/30(月) 23:22:11

アニメ「レッドガーデン」のマンガ化作品。
絵が上手く、内容はアニメとはまた異なる描き方をしている。
最近の、アニメのコミカライズ作品にはおもしろいものが多いが、マンガ「レッドガーデン」もアニメとは異なるおもしろさがあり、楽しめた。

【あらすじ】
舞台は現代のニューヨーク。
ルーズベルト島の私立学園に通う4人の少女、ケイト、ローズ、レイチェル、クレア。
それぞれ全く異なるタイプであり、特に面識の無かった4人は、夜な夜な声無き声に呼び出され、謎の獣人との死闘を強いられていた。

それぞれ普通の少女として暮らしてきた4人は、怯え逃げ惑いながら必死で反撃するのであるが、彼女たちの能力は、尋常ではない。

なぜ、4人は常人ならざる力を持つに至ったのか?
4人を作り変えた者の正体とは?
獣人たちの正体とは?

そして、死闘の先に4人の辿り着く真実と運命とは?

【感想】
絵が上手く、キャラクターの服装や、背景美術にもこだわりがかんじられ、まず絵を見ているだけで楽しめた。

そして内容だが、アニメは4人の少女の群像劇であるが、マンガはケイトを主人公とし、ケイトの視点で描かれている。
このためケイトの内面がより繊細に描かれており、殺意全開で襲い掛かる獣人への血も凍るような恐怖、リーズへの想いの深さ、ローズに拒絶された絶望、などなどがより強くかんじられ、おもしろかった。

4人が獣人に襲われる場面では、恐怖で目尻に涙をにじませ、喰らいつかれると短い悲鳴とヨダレがこぼれ、殴られると鼻血が出るなど、より現実味を増した描き方をしており、臨場感がたかまっていた。

また、マンガ版では、ルーラが滅茶苦茶強かった。
頑丈そうな自動車のドアを蹴破るなど筋力が常人離れしているが、動体視力も並の人間とはかけ離れているのである。
ルーラの更なる活躍にも、期待したい。


次巻も楽しみである。



風林火山 第30回「天下への道」

  • 2007/07/29(日) 23:44:39

長尾景虎、家督を継ぐ、だが家臣は未だ心服せず!
越後の硬骨漢・宇佐美定満が登場!
武田家、紀州根来寺で鉄砲百丁を買付ける!
軍師・勘助、武田家の天下統一構想を晴信に語る!

【感想概略】
今回の「風林火山」、半分近くは越後の物語であった。
まず前半は越後の情勢と長尾家の内情、景虎の真っ直ぐな心根と、未だ景虎に心服せぬ諸豪族との緊迫した関係が描かれ、景虎が格好良かった。

後半は、勘助による新兵器大量買付け(久々にコミカルでおもしろかった)と今川家との外交交渉、長尾景虎の真意を測りかねる北条氏康と関東管領が描かれ、おもしろかった。

【長尾景虎、家督を継ぐ】
越後守護代の弟・長尾景虎は、対立していた兄・晴景と和解した。
仲介したのは、越後守護・上杉定実である。

義を重んずる景虎は、兄の差し向けた軍勢を撃退しても、兄本人を討つことは到底できなかった。
そこで、実権を失ったとはいえ主家筋に当たる越後守護・上杉定実に、兄との和睦仲介を依頼したのである。

こうして景虎は、平和的に長尾家当主となるのであった。
ここら辺は、父を追放して家督を奪った武田晴信とは対照的でおもしろい。

【晴景の遺言「長尾政景を味方にせよ」】
和解の後、景虎は、病床の兄・晴景を見舞った。

晴景は、仏法を学ぶ景虎を強引に武将としたこと、そして景虎を妬み兵を差し向けたことを詫びた。
すると景虎は、兄上自ら出陣すれば景虎が討たれていたでしょうと、あくまで兄をたてるのである。

自嘲的な笑みを浮かべる晴景であるが、家督を継いだからといって油断は出来ぬと語る。
晴景は、景虎の姉・桃を、対立する同族・長尾政景へ嫁がせよと言うのである。

これに景虎は、自分のことを思う兄の気持ちはありがたいが、姉を道具として利用することには納得のいかない様子である。

【景虎の姉・桃】
間もなく景虎は、姉・桃の元を訪れた。

桃は景虎に言う。
自分は長尾政景の元へ嫁ぐ、それが景虎のために出来る唯一のことだと。

これに景虎は「敵に嫁がせるわけにはまいりませぬ」という。
すると桃は、強い口調で言うのである。
「敵ではない、同族ぞ。私が嫁げば、そのようになりましょう」

弟・景虎のため、長尾家のため、未だ争い絶えない越後の安定のため、自分に出来る唯一のことをしようとする姉の強い意志を、景虎は止めることはできない。

だが決して納得できない景虎である。

【景虎、夜伽の申し出に激怒】
重臣・直江実綱は、娘・浪(なみ)を、景虎の身の回りの世話役として景虎へ紹介した。
これに景虎は「うむ、よろしく頼む」とあっさり承諾である。
だが、直江は娘に何事かを言い含めていた。

そして夜。
「もう下がってよい」と言う景虎へ、浪は「よろしければ、お夜伽をさせていただきまする」と申し出た。

景虎は、「父に言われたか、押し付けられたか」と静かに問う。
「押し付けられたのではありませぬ」との言葉に、景虎は「されば、己の欲か!己の欲で、我が身を差し出すか!」と声を荒げる。
浪は恐れ入るばかりである。

「なにゆえ皆、欲を捨てぬ、欲に屈するのじゃ」と怒る景虎。
浪は「欲ではありませぬ。殿のお役に立ちたい一心でした。申し訳ございませぬ。」とただただ許しを請うた。

その怯えた姿を見て、景虎は「すまぬ、そなたのことではない」と穏やかな口調で詫びる。
そして浪に巻物を一つ与え、「これを読むことが、儂への夜伽じゃ」と言って下がらせるのであった。

義を重んじ、道理を重んじ、女性関係にも潔癖。
しかも浪のプライドや立場を傷つけぬ配慮も忘れない長尾景虎、格好良すぎであった。

これまで「風林火山」に登場した男性には、女性をモノ扱いしたり、何人も妾や側室を持つことに何の疑問も抱かない人間が多かった気がするが、そんな男ばかりではないという描き方が好きである。

【景虎、評定で宇佐美定満をほめる】
長尾家の評定の席で、長尾家と敵対する部将・宇佐美定満の名があがった。
宇佐美定満の居城・琵琶島城は、長尾政景に放火されたが、大した打撃は受けなかったというのである。

この宇佐美定満は、越後守護・上杉氏の家臣である。
宇佐美はあくまで守護へ忠義を尽くし、景虎の父・為景と敵対していた武将である。

義を重んずる景虎は、行動に一貫性のある者が好きである。
宇佐美定満を忠義に篤いとほめるのだが、家臣たちは若造が何を綺麗ごとを、と白けた表情である。

ここら辺には、景虎はいまいち家臣たちに支持されていない様子が描かれており、義将・景虎と、潔癖な景虎から見れば俗物な豪族たちとの溝がかんじられ、おもしろかった。

【宇佐美定満、登場】
未だ統一されず群雄割拠する越後の大勢力・長尾景虎と、その従兄弟・長尾政景。

越後の豪族・宇佐美定満は、このどちらにも味方せず、沈黙を守り続けていた。
そんな宇佐美の耳に、景虎は宇佐美に好意的との情報が早速伝わっていた。
伝えたのは、長尾家家臣・大熊朝秀である。

家臣の手前、そう言ったのではないか?という宇佐美に、大熊はそのようには思えませなんだという。
宇佐美は、新しく長尾家当主となった景虎が守護を蔑ろにするなら闘うつもりであるが、景虎がどのような人物か見定めると云う。

大熊もまた、父は景虎殿を支持したが、それがしは容易にまだ仕える気にはなれませぬと語る。

気骨の士・宇佐美定満と、義将・長尾景虎の今後の出会いに期待したい。

【勘助、紀州根来寺で鉄砲買付け】
さて今回、勘助は伝兵衛とともに、紀州根来寺を訪れていた。
新兵器・鉄砲を買付けるためである。

勘助とは旧知の、がっちりとした体格の僧侶・津田監物が、鉄砲はこうやって撃つのだと説明。
「だあん!!」と監物が大声を出すと、勘助も伝兵衛もびびりまくりである。
が、発射まで時間がかかり、雨が降ると使用できないという話に伝兵衛は、こんなもの本当に役に立つのか?と不満げである。

「撃てばわかる!」と、監物は鉄砲をずいと勘助に渡した。
だが勘助は「伝兵衛、お主が撃て!儂は…撃たれた故、その威力は知っておる!」と押し付けた。

伝兵衛は、こんな得たいの知れない物イヤだという表情だ。
が、「いよ~し!お主が撃て!」と監物に言われ、渋々受け取り、構えると、勘助はこわごわと伝兵衛から距離を取るのであった。

ここら辺は、久々にコミカルで、おもしろかった。

【勘助、今川家に港を借りる】
勘助は、駿河の今川家を訪れた。
鉄砲を荷揚げするため、今川領の港への入港許可を得るためである。

久々に、今川義元、雪斎、寿恵尼が登場である。
義元、荷は鉄砲と聞き、「晴信殿は人の持っている物を何でも欲しがるのう」と、期待を裏切らぬ嫌味発言である。

ここで勘助は、北条と関東管領の緊張が高まっていること、越後の長尾景虎が関東管領へ援軍を送ったこと、北条は景虎の出方がはっきりするまで動けない、という話を聞く。

義元は入港を了承し、雪斎を伴って席を立つ。
残された寿恵尼は、勘助に、別の政略の話を切り出した。

寿恵尼は言う。
今川は現在、尾張の織田家と戦っているが、今川が後顧の憂いなく戦えるのは、武田との誼あってのことである。
だが両家の絆である義元に嫁いだ晴信の姉の病が篤い。
晴信姉に万一のことあらば、新たな絆が必要であろうと。

ここら辺、寿恵尼は相変わらず政略に通じ抜け目無く、格好良かった。

【北条と関東管領、長尾景虎に注目】
場面変わって、久々に北条氏康が登場。
景虎の真意を測りかね、慎重な姿勢をくずさぬ氏康である。

さらに場面変わって上州・平井城。
関東管領・上杉憲政の陣営である。

憲政は、景虎の援軍のおかげで助かったくせに、景虎にあまり良い印象を持っていない。
景虎というより、その父・長尾為景が憲政の同族である越後守護・上杉氏に対し下克上の戦いを繰り広げたからである。

何故越後をつけ上がらせると、憲政は不満げである。
これに家臣・長野業政は憲政に言う。
越後の支援なくば我らは滅ぶのみと。

だが、憲政は、この乱世、欲で動く者ばかりではないか、義によって動く者などいるのか?と信じがたい様子である。

【矢崎十吾郎、平蔵に頭を下げる】
今回は、矢崎十吾郎も大活躍であった。

元諏訪家家臣・矢崎十吾郎と娘・ヒサは、村上義清の元へ身を寄せていた。
矢崎に仕える、葛笠村出身で勘助とは旧知の仲の平蔵も一緒である。

平蔵は、上田原の戦いの働きを村上義清に高く評価され、義清の近習となっていた。
平蔵、大出世である。

だが平蔵の主・矢崎の元へ、ヒサを側室にとの話が持ちかけられた。
ところが矢崎はこれを断った。
そして平蔵に手をつき、ヒサを妻にしてほしいと頭を下げるのである。

娘をおもい、家を安定させる話を蹴って、娘の想い人と添い遂げさせようとする、矢崎は格好良かった。

【勘助の天下統一構想】
甲斐へ帰還した勘助は、晴信へ天下統一の構想を語った。
それは武田家が、越後も駿河も手中に入れて大国となった上で天下に号令するという、大計画であった。

そして勘助は、越後の長尾景虎を見定めたいと晴信に願い出た。
笑顔で承諾する晴信であるが、まずは信濃守護・小笠原長時の駆逐を勘助に命ずるのであった。


次回、まずは信濃守護・小笠原長時の活躍(?)に期待したい。
長尾方が描かれることも期待したいところである。

ハヤテのごとく! 第18話「レアカードは水着です」

  • 2007/07/29(日) 13:22:54

白皇学院の臨海学校!

【感想概略】
原作未読。今回は、少女達の水着姿を登場させるのが主目的に思える回であり、執事シュミットの存在意義は少女達へ大胆な水着を強制的に着せること?とも思えたが、内容の無さ無意味さもここまで来るといっそ清々しく、おもしろかった。

【白皇学院の臨海学校】
白皇学院も夏休みである。
ナギたちは、白皇学院の臨海学校に参加した。

場所は、学院の臨海学校専用の島・白皇島。
引率は雪路先生である。

交通手段は専用ジェット旅客機であり、乗り物酔いに苦しむハヤテであった。

なお、飛行機代をはじめとする参加費用が高額なため、参加人数はほとんど1クラス分ほどであった。
迷子になって参加できなかった伊澄はともかく、咲夜が欠席したのは見たいテレビでもあったから?

【執事シュミット】
さて、飛行機で白皇島へ到着した一行を迎えたのは、島専属の執事兼支配人のシュミットであった。

シュミットはなかなかのハンサムなのだが、彼を見た女子生徒で、異性に対する興味を抱く者がいないのは、美形といえど「執事」という使用人だから?でもハヤテはもてまくっているしなーと、ふと思った。

このシュミット、「楽しい思い出をクリエイトします」と言いながら、生徒たちの意志を全く考慮せずに突っ走る、困った執事であった。

【「楽しい思い出をクリエイト」】
さて、生徒たちは雪路先生の指示により、学校指定のスクール水着姿でプールサイドに集合。
さっそく美少女スク水のサービスカット全開である。

ここでシュミットは、ザンボット3と勇者シリーズのロボットを足したような巨大ロボを持ち出し、生徒たちの手首胴体にヒモを巻きつけ、人形のように操って強制的にシンクロナイズドスイミングを体験させるのであった。

次にシュミットは、お洒落な水着を山のように用意。
さっそく水着を選び始め喜ぶ生徒たちだが、シュミットは「コードギアス 反逆のルルーシュ」のランスロットのようなロボットを持ち出し、強制的に生徒たちを大胆な水着へ着替えさせるのであった。
ここでも大胆水着のサービスカット全開である。

続いてシュミットは、海で泳ぐ生徒たちを巨大鯨で丸呑みにさせ、海底散策へ出発するが、鯨の体内から外が見えるわけはないのだった。

夜。
「こんな臨海学校はイヤ!」という生徒会三人娘の言葉を聞いた雪路先生はシュミットへ抗議、生徒たちを連れて引き上げようと席を立った。
いつもは無茶苦茶な雪路先生が、今回は生徒を大事にする立派な先生に見えた。

が、ある意味信念の男シュミットは、妖怪(?)に扮した屈強の猛者たちの大集団を出現させ「肝試し」と宣言!
妖怪たちは「肝試し」らしく驚かせる訳でもなく、いきなり生徒たちに格闘戦を挑み、乱闘となるのだが、楽しい思い出がクリエイトされたと信じて疑わないシュミット。
シュミットは、雪路にどつかれようやく臨海学校が不評と気付くのであった。

が、海がダメなら今度は山と、帰りの飛行機を林間学校へ向かわせるシュミットであり、根本的な問題を理解することは無かった。

【ヒナギクと西沢さんのサービスショット】
臨海学校に不参加のヒナギクであるが、ストーリー展開と何の関係もなく、水着姿が度々登場。
そして、他校生徒の西沢さんの水着姿まで、無意味に登場。

もはやここまで来ると、サービスシーンを描くことに何の言い訳もせぬ!という漢気がかんじられ、いっそ清々しかった。

【今回気付いた小ネタ】
◆シュミットの搭乗する巨大ロボット1台目は「ザンボット3」
◆シュミットの搭乗する巨大ロボット2台目は「コードギアス 反逆のルルーシュ」のランスロット
◆巨大鯨の体内でのタイガ坊ちゃん(声:中島沙樹)のセリフ「ディアナの仕業だね」及びその時手に持つ金属性ホウキは、「メルヘヴン」のドロシー(声:中島沙樹)の中の人ネタ
◆肝試しの乱闘でハヤテが繰り出す技は、車田正美の「リングにかけろ」?同じく「キン肉マン」
◆予告のセリフ「次回も、ハヤテと一緒に、レリーズ!」は「カードキャプターさくら」の予告キメ台詞。

電脳コイル 12話「ダイチ、発毛ス」

  • 2007/07/28(土) 23:51:34

イリーガルを求め古い空間を探すダイチ、ヒゲ・イリーガルに感染!
ヒゲはヤサコたちに感染し、町全体へ感染!

【感想概略】
今回の主役は、前半はダイチ、後半はヤサコであった。

ヤサコはこれまで優等生的な一面か、おませさんな顔が目立つことが多かったが、今回は、何かに没頭すると思わず徹夜してクマをつくり、危ない目で不健康そうな笑みを浮かべるという、意外な一面を見せてくれた。

そして今回の物語は、予想を全く越えたストーリーで笑えると同時に、人類文明について考えさせられ、おもしろかった。

また、超微細イリーガルが顔面に作った古い空間を「ヒゲ」として表現し、さらに超微細イリーガルが人の顔の上に文明を築くなど、ビジュアル的にもおもしろかった。

【こりない少年ダイチ】
前回、フミエに土下座したダイチ。

「もうダメだ~、オレは転落人生だ~、末路は南極で凍死するんだ~(?)」と暗い考えばかりにとらわれていたが、デンパの励ましであっさり復活した。

なのであるが、ダイチは再びイリーガルを捕まえてメタバグを採集しようと言い出す。
前回の失敗から、ほとんど何も学んでいないダイチであった。

が、今度ばかりはデンパが強行に反対。

またイリーガルをいじめるなら、ぼくは帰ると言い切り、本当に背を向けると、さすがのダイチも折れ、頭を下げてもうイリーガルをいじめないと誓うのであった。

真の友デンパによって、どうにか真人間の道にとどまっているダイチなのである。

【ダイチ、唇を奪われる】
さて、イリーガルをいじめないと誓ったダイチであるが、やはりイリーガル探しを開始。
なぜかついて来る京子とともに、一日中神社の境内や床下の古い空間を探し回るのであった。

遊び疲れて眠りこけた京子を、ダイチは背負ってヤサコ宅へ送り届けるのだが、「まさか誘拐?!」といきなり疑いの目で見られ、礼さえ言われないのであった。
ヤサコがダイチをどう思っているか、何やら表れている気がする。

翌日も、ダイチはデンパと、何故かついて来る京子とともに、一日中イリーガルのいそうな古い空間を探し、またまた眠りこけた京子を背負ってヤサコ宅へ届けた。

ダイチは、京子が勝手についてきたと真実を話すのだが、ヤサコは滅茶苦茶疑わし気だ。
そして、ダイチの背で目を覚ました京子は、何を思ったか、いきなりダイチの口に吸い付いたのである!
その瞬間、ダイチもヤサコも驚愕、一瞬思考停止した。

が、ヤサコは即座に京子をダイチから引き剥がした。
京子をしっかりと抱きしめたヤサコは、キッとダイチを睨んだ。
その目は、大事な妹を守ろうとする姉の目であった。

「もう京子には近づかないでね!」とヤサコは怒りの声を投げつけ、荒々しくドアを閉じるのであった。

「こっちこそ被害者だ~」というダイチの言葉も、ヤサコの耳には届かない。
もはやダイチは完全に犯罪者扱いであった。

【「全裸とは家庭だ!」】
帰宅しても、ダイチに安息の時はない。
風呂上りのダイチチは、居間を堂々と全裸で歩き回るのである。
そこには、年頃の息子への配慮など、微塵も無かった。

「きたねえもん、見せんな」、というダイチに、「全裸で過ごせない家庭なんて、家庭じゃあない!家庭とは全裸、全裸とは家庭だ、グワハハハハ」と、あくまで豪快なダイチチである。

さらに、「まだ生えてもいねえくせに!(笑)オレなんかお前の年には、ボッサボサだったぞ、グハハハハ」などと年頃の息子を相手に、何の配慮も無くデリケートな話題をぶつけるのであった。

そして夏のある日、ダイチは自分の異変に気付き、デンパの前に姿をあらわさなくなってしまうのである。

心配した真の友デンパは、フミエに相談するが、明日の登校日にはダイチも登校するだろうから、何か分かるだろうと、あくまで落ち着いた対応のフミエであった。

【ダイチ、発毛ス】
さて登校日、憔悴しきったダイチが現れるが、電脳メガネをかけると、なんと口のまわりに無精ヒゲが生えている。メガネの生徒たちは皆、度肝を抜かれた。

放課後、フミエとヤサコは、ダイチをメガバアの元へ連れて行く。
心配したデンパと、ハラケンも一緒であった。

【ヒゲの正体】
さっそくダイチのヒゲを調べるメガバア。

「まだ子供だと思ってたら、この坊主も、もうこんな年かい、フエヘヘヘ」と頬を紅潮させ、「グエヘヘヘ、若い肌はええのう」と小学生相手に何やら危ない興奮をみせるメガバアだが、あっという間にヒゲを正体を調べ上げた。

ヒゲと見えるのは、極微小イリーガルの作った古い空間であること、さらに極微小イリーガルを拡大してみると、互いに会話をしていることをつきとめるのである。

【ヒゲの感染拡大】
ヒゲの正体に驚愕するヤサコたちだが、「おねえちゃん」と声をかけてきた京子の顔を見て絶句!
幼女の顔に、何と無精ヒゲ!
「伝染するのよ!このヒゲは!!」と叫ぶフミエ。

チュウしたら大変なことになるというヤサコの言葉を聞いた京子、面白いイタズラを思いついた笑みを浮かべ、デンパの口に吸い付く!
哀れデンパは、白目を剥いて卒倒した。

次の獲物を狙う京子だが、「仕方ない…、集団的自衛権発動よ!」というフミエたちからメガビームの集中砲火を浴び、縛り上げられるのであった。

キスしなければ平気と思っていた一同だが、ヤサコの指先に毛が生えていることに気付く。
そして1時間後…。

ヤサコはヒゲ面で「もうお嫁に行けない!」と泣きじゃくる。
「あきらめちゃだめよ、ヤサコ!」と目に涙をためながら励ますヒゲ面のフミエ。
「そうだよヤサコ!きっと何とかなる!」と慰めるヒゲ面のハラケンに、「アンタは男だから、そんなのんきなこと言えんのよ」と気休め言うなと怒るヒゲ面のフミエ。
未だ茫然自失のダイチと困った顔のデンパという、収拾のつかない状況であった。

【ヒゲの文明を発見!】
ヤサコたちは、メガバアのワクチン完成を待っていた。
その時、「でけた!」というメガバアの声。

ワクチンができた?!と喜ぶヤサコたちだが、メガバアはヒゲ型イリーガルが村や都市を造り、文明まで築いていることをつきとめたと説明する。
驚くヤサコたちに、ヒゲ型イリーガルの言葉を翻訳するソフトが出来たと発表。
「余計なもの作ってんじゃねえ~!」と思わず叫ぶヤサコたちであった。

【ヤサコ、ヒゲの文明にはまる】
その夜、何となくヒゲを観察するヤサコは、チャット機能でヒゲに言葉を伝達可能なことに気付き、ヒゲたちにたびたび助言。
すっかりヒゲの文明育成に夢中になり、ヒゲたちから神として崇められ、思わず徹夜してしまうのである。

目の下にクマをつくりながらヒゲ文明の魅力をフミエに語るヤサコの目が、危なくて好きだ。

【ヒゲ、街中で大感染!タマコ、大激怒!】
フミエは、大黒市内の様子を見て絶句。
ヒゲは町中に広がり、男性女性関係なく爆発的に感染していたのである。

ヒゲを退治するためサッチーは大忙し。
電脳ヒゲの生えた顔面に、ビームを叩き込みまくっていた。

こっそり逃げようとするフミエの前に、やはりヒゲ面のタマコが現れ、「またお前らか!(怒)」と叫びながらフミエの襟首を引っつかんで離さず、「もう我慢できない!お前ら告訴する!」と目を睨みながら大激怒。
ヒゲが生えていると、フミエを捕まえ顔を近づけるタマコが変質者に見えるから不思議である。

【ヒゲ文明に夢中】
再びメガシ屋にあつまったヤサコ、フミエ、ハラケンの「コイル電脳探偵局」と、ダイチ、デンパの「元祖黒客」たち。
深刻な表情の一同そっちのけで、ヒゲ文明に夢中のヤサコ。
一同、おもしろそうだな、と興味を惹かれる。

そして…。

ヤサコもフミエもダイチも、ヒゲの駆除などすっかり忘れ、ヒゲの文明育成に夢中になるのであった。
「ねえ聞いて!最近、飛行機が飛んだのよ!」と目を輝かすフミエ。
「ケンカするなよ~」と困り顔のダイチ。
「戦争って本当に無駄なんだね…」と、何かを学んだようなハラケン。
「あとちょっとで、ロケットが出来るかも」と喜ぶヤサコ。

その時。
ヤサコの左頬からロケットの炎がシュルシュルと舞い上がった。
皆が感動、祝福ムードの瞬間、炎はヤサコの右頬へ落下、核の炎が舞い上がった…。

何と、ヒゲたちは核戦争をはじめてしまったのである。
自らの行いに恐怖するヒゲたち…。

【闘争のヒゲ文明】
争いを止めるよう訴えるヤサコだが、その言葉はヒゲたちに省みられない。
「ヤサコは死んだ」などと説く哲学者の言葉が信じられてしまったせいでもあった。

ミサイルをメガビームで次々と撃墜するフミエたちだが、ビーム切れは時間の問題であった。

その時、どうにかヤサコの言葉に反応があったが、それは、争いを止めれば滅ぼされるだけです、という言葉。
さらに、ヤサコさん達はケンカをしないんですか?仲間同士だからって、必ず仲良く出来るんですか?とヒゲは問いかける。

「このまま放っときましょうよ、こんな文明、ケンカして、自滅した方がいいのよ!」というフミエに、「ひどいわフミエちゃん」というヤサコ。

が、気がつくと、ミサイルの発射はぱったりと止んでいる。

ヒゲたちが戦争の愚かさに気付いてくれたのか?!ヤサコの言葉が通じたのか?と思った瞬間!
ヤサコの頬から放たれたミサイルは、フミエの顔に着弾、核の炎を上げた。

何と何と、ヒゲたちは、今度は星間戦争をはじめてしまったのである。
まるで「装甲騎兵ボトムズ」の百年戦争だ。

お互いの間に障壁を築き、星間ミサイルによる滅亡を何とか阻止しようとするヤサコたち。

「どこで…どこで間違えてしまったの…。私のかわいいヒゲたち…」と涙するヒゲ面のヤサコ。
もはやヒゲの駆除などすっかり忘れ去られていた。

【ヒゲ文明、約束の土地へ旅立つ】
星間戦争で互いに壊滅的打撃を受けた各ヒゲ文明圏たち。
文明レベルを維持できなくなるほどの深刻な状況になってようやく、ヒゲたちはヤサコの言葉に耳を傾けた。
そして、新しく進むべき道を示してくれるよう、ヤサコに頼んでくるのである。

「最後は神頼みかよ、勝手なもんだ」というダイチに、「そう、人間と同じようにね…」というハラケン。

ヤサコたちは、近所のおじいさんの禿頭を新天地として紹介、ヒゲたちはヤサコに大感謝であった。
しかし数日後、様子を見てみると、ヒゲたちは置き手紙を残し、さらに約束の土地を探して旅立った後であった。

夕暮の土手で、ヒゲたちの置き手紙を読むヤサコたち。
ヒゲの文明を最も可愛がっていたヤサコだけでなく、フミエも、ダイチも、デンパもハラケンも、神妙な表情である。

ヒゲたちの文明は、ヤサコたちの心に何かを残した。

今回の物語の展開であるが、例えイリーガルであろうと、知的生命体が神の導きで問題を解決する、という終わり方よりは、良心的な結末だったと思う。

Dr.モードリッド(外薗昌也/幻冬舎コミックス)

  • 2007/07/27(金) 23:58:34

外薗昌也の伝奇物漫画。

【あらすじ】
19世紀後半、開拓時代の北米西部は、魑魅魍魎が跋扈し、ある時は人知れず、またある時は白昼堂々と妖異がふるわれる魔界であった。

はぐれ者の若き考古学者モルダード・モードリッドは、ある時は腹黒そうな資産家に雇われ、またある時は道中でたまたま巻き込まれ、古代の伝承にまつわる人知を超えた魔物と闘うのである。

【感想概略】
ヨーロッパ文化圏を舞台とする伝奇物には、欧州を舞台とする作品が多い気がするのだが、本作「Dr.モードリッド」は、西部劇の舞台としてお馴染みの開拓時代の西部が舞台という点がまず意外であり興味深く、そして主人公はストイックで魅力的であり、おもしろい作品であった。

【西部伝奇物語】
開拓時代の西部という、ガンマンが闘う西部劇の世界が、伝奇物の舞台というところが、本作のおもしろさの大きな一因である。

舞台となっている時代だが、カスター将軍の元部下がまだ若い男であることから、1880年代ではないかと思われるのだが、装甲自動車や戦車が出てくるところからは、20世紀初頭に思える。

時代についてあまり厳密に考えるのは野暮かもしれない。

【武闘派考古学者、Dr.モードリッド】
主人公モードリッドは、はぐれ者の考古学者である。
モードリッドは、古今東西の歴史や神話伝承に大変博学であり、同時に全身に隠し銃や小型ボウガンや爆弾を忍ばせる武闘派という、いわば文武両道のスーパーマンなのだが、ストイックで嫌味がなく、好感のもてる人物であった。

【謎解きと知恵と工夫のおもしろさ】
物語は、主人公モードリッドが、謎の発掘品や怪現象の調査を依頼され、現地調査を進めるうちに、古代の伝承にまつわるとんでもない真実と陰謀の正体に辿り着くという謎解きが、毎回楽しめた。

そして、謎の正体である旧約聖書に伝わる悪魔や古代アステカの妖魔などといった、まともに戦ってはとても勝ち目のなさそうな敵を相手に、毎回モードリッドが知恵と工夫でどのように立ち向かうかという、頭脳派戦闘物のおもしろさがあった。

暴れん坊少納言(かかし朝浩/ガムコミックスプラス)

  • 2007/07/26(木) 23:58:20

平安時代中期、「枕草子」の著者として有名な才女・清少納言を、16歳の少女として描いたマンガ作品。
中宮定子に仕える少し前のブラブラしていた頃から物語ははじまり、宮仕え、そして「枕草子」執筆に至る清少納言の苦悩がコミカルに描かれている。

【感想概略】
表紙は、真正面に向かって不敵にニッカリ笑う十二単の少女。
オビには「平安中期の天才エッセイスト清少納言。この少女、いとツンデレなり」の文字。

平安時代の有名人を独特の味付けで描き、平安時代中期の文化的な雰囲気が活き活きと描かれており、おもしろかった。

恋愛に重きを置かずカラッとしているあたりも、気に入った。
なお、「枕草子」執筆に至る清少納言の苦悩と葛藤が描いた作品は、珍しい気がする。

【平安時代を魅力的に描く】
「暴れん坊少納言」は、史実を厳密に描いているわけではなく、物語を面白くするため、かなり大胆な独自設定を行なっているのだが、平安時代という「その時代特有の雰囲気」は、描かれているとかんじた。

歴史を題材に描く作品では、このような描き方も有意義に思える。
ガチガチに史実にこだわるのは野暮な気がした。

なお、描き下ろし漫画「平安高校課外補習」では、「暴れん坊清少納言」と史実の違いについて触れている。

【平安人を魅力的に描く】
歴史を題材とした作品のおもしろさの一つは、史実の人物をどのように描くか、血の通ったキャラクターとして描けるかである。

史実の人物を物語に登場させる場合、一歩間違えると無味乾燥な人物造型となってしまう危険性があるが、本作「暴れん坊少納言」の登場人物は皆、活き活きとして魅力的であった。

【清少納言】
16歳の型破りな少女。
破天荒な行動言動の一方、漢詩漢籍に通じ、豊かな感受性をもつ。
趣味は、昆虫採集(?)。

口よりも先に手が出る性格らしく、足払い、鉄柱攻撃、凶器攻撃が得意。
まさに「暴れん坊清少納言」?!

紫式部と出会い、ライバル心を抱き、自分もウケる小説を執筆しようとするが、上手くいかず。この小説執筆を試みるエピソードも、おかしくて面白かった。

だがこれをきっかけに、「色恋をからめず」自分のかんじたことを表現したエッセイ「枕草子」の執筆に至るのである。

なお、史実の清少納言が宮仕えしたのは28歳の時、一子をもうけた夫・橘則光との離婚後のことである。

【橘則光】
朝廷に出仕する無骨で素朴な青年。清少納言と見合いで知り合うが、破談となったらしい。
握力がなくなるまで木刀を振るのが趣味(?)。

清少納言によってはじめて「風流」を知ったと思っている。

真っ直ぐな性格のため、たまに物事の本質を突く発言をするのだが、本人は思った通りを口にしただけとおもっている。

史実では清少納言の夫。

【定子】
一条天皇の中宮(皇后のこと)。
気だるげな美女であり、独特のカリスマ性を漂わせるサロンの女主人といった風情である。

人を見る目はあるらしく、清少納言の才能を見抜き、自らの女房にスカウト。
退廃的な雰囲気とは裏腹に清少納言の才能の開花を見守り、「枕草子」執筆の手がかりを与えた。

【紫式部】
寡黙な天才少女小説家。
「源氏物語」を発表、さらに続きを執筆中。

作品執筆のネタ探し中、清少納言と出会う。
快活な清少納言とは反発しあうが、彼女のことを気にせずにはいられないらしい。

史実では、清少納言と面識はなかったらしい。

この他、清少納言の気だるげな侍女・蔦(ツタ)、橘則光の友人・女たらし公家の藤原宣孝とお坊ちゃん公家の藤原斉信、中宮定子の女房・宰相の君と和泉式部、などなど、独特の活き活きとした人物造型で、おもしろかった。



青空にとおく酒浸り(安永航一郎/月刊COMICリュウ9月号)

  • 2007/07/25(水) 22:16:16

漫画雑誌「月刊COMICリュウ」に連載中の安永航一郎のマンガ作品。
今回は、頭脳派格闘アクションとしても、おもしろかった。

【小朝、「博士」と出会う】
女子高生・小朝は、謎の人物により、体内にマイクロマシンを宿された。
このマイクロマシンは、小朝に常人を遥かに上回る身体能力を与えたが、その正体は全くの謎であった。

前回、小朝は、マイクロマシン研究者の元へ案内された。
だが「博士」と呼ばれるこの男、マイクロマシン研究のためなら小朝を実験動物扱いし、全身の血を抜き取ろうとさえする。

言いなりになる気のない小朝に対し、博士は自ら開発したマイクロマシンを自分自身に注射!超人的な力を得るのである。

小朝と博士、マイクロマシンを宿す者同士の戦闘開始か?!というところで、前回は終了していた。

【小朝、博士と戦う】
さて今回の物語である。
安永航一郎だから、戦闘以外の意外な展開になるのでは?!と、期待しながら読んだのだが、意外や意外、正統派の格闘アクションが展開されていた。

戦闘描写は迫力があり、しかも小朝は闇雲に戦うのではなく、敵マイクロマシンの弱点を突くという、本作の設定をいかした頭脳戦を展開しており、ある意味予想を裏切られ、おもしろかった。

無論、ギャグマンガの本筋を見失うことは全く無く、いつも通りの笑える話であった。

次回も楽しみである。

海東青 摂政王ドルゴン(井上祐美子/中公文庫)

  • 2007/07/24(火) 23:38:31

17世紀前半、中国最後の王朝・清帝国の初代皇帝ヌルハチの第9王子ドルゴンの生涯を描いた小説。

【感想】
本作の主人公ドルゴンは、父帝ヌルハチの死後、帝位継承権を持つが故に一歩間違えれば粛清されかねない立場だったが、兄帝ホンタイジの片腕として政戦両面で非凡さを発揮、創業間もない清帝国の基礎固めに活躍した。

そして兄帝ホンタイジ亡き後は、幼帝の摂政として実質的な最高権力者となり、遂には中国全土を征服し、清を中華の主とした。

つまりドルゴンは、清帝国の大功労者なのだが、その知名度はあまり高くない。
また、ドルゴンの活躍した明末清初を舞台とした小説は数が少なく、ドルゴンを主人公とする作品はなおさらである。
だから、このなじみの薄い時代・人物をどのように描くのか楽しみながら読んだ。

まず、本作を読んで明末清初へのイメージが、多少変わった。

明末の明帝国は内部腐敗し、明軍は一部の例外を除きどうしようもなく弱く、一方の清軍は滅茶苦茶強く、内部対立も大してないようなイメージがあった。
強者が勝つのは当然であり、清の中国征服にはあまり面白みがかんじられないような気がしていた。

しかし作中では、明や周辺諸国に対し決して絶対的優位ではない、清の内情の苦しさが描かれていた。

清は少数民族・女真族の国であり、兵は精強だがその兵数は多くはなく、軍事的に絶対優位とは言えなかった。

そして清内部にも、様々な対立があった。
それは帝位を巡る女真皇族どうしの対立であり、草原の略奪者的な気分の抜けない武人貴族と、安定した国を築こうとし無益な殺生を戒めるドルゴンを中心とする勢力との対立である。

明もまた、腐敗したりといえども気骨ある士はまだまだ居り、容易に倒れぬ底力があり、易々と戦を進められる敵手ではなかった。

決して一枚岩ではない清内部の人間模様、清を率いる兄帝ホンタイジと皇弟ドルゴンがこの苦しい国内事情と対外関係をやりくりしながら勢力圏を広げ、同時に国内を整備していくようすはおもしろかった。

そして単純な武人タイプの多い女真人の中で、ドルゴンは珍しく内省的なタイプであり、家奴・曹振彦や兄帝ホンタイジとの交流、武断的な女真貴族たちとの対立、ドルゴン自身の自問、などを通しての内面の描写には共感がもてた。



ゆるめいつ(saxyun/竹書房)

  • 2007/07/24(火) 21:46:41

脱力系4コママンガ。
主人公は、大学受験のため上京したマイペース少女・相田ゆるめ(18歳)。
ゆるめは、ボロアパートへ入居。
住人たちはベテラン浪人生ばかりであった。

【アパートの住人たち】
◆川野サエ
黒髪長髪メガネっ娘。ちょっと短気でエキセントリック。トラブルメーカー?
◆松吉
唯一の男性。いわばハーレム状態のはずなのだが、住人の誰かと恋仲になる可能性は皆無。老け顔で小学生の頃のニックネームは「社長」。
◆田中くみ
栗色の髪の少女。「お母さん」のように落ち着いており、いつもニコニコおっとりマイペース。

この刺激とは無縁のメンバーが揃った時、「何かが起きる」はずがない!
ゆるめと住人たちの、ゆる~い日々には、大したことは起こらないのだが、「なにもない日」にも、様々なバリエーションがあるものである。

読んでいると全身の力が抜け、リラックスしまくれた。