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アルスラーン戦記 第2章「十四歳、初陣」

  • 2015/04/13(月) 00:07:58

【感想概略】
田中芳樹の同名小説、及び荒川弘によるコミカライズのアニメ化作品。

今回は、国王アンドラゴラス三世率いる無敵不敗のパルス軍が、三年前に大敗したくせに性懲りも無く攻めてきたルシタニア軍とアトロパテネ平原で激突、しかしパルス軍がまさかの敗北を喫してしまうお話である。

前回はあれほど強かったパルス軍であるが、その強さと自信が裏目に出てしまう知恵比べのおもしろさがあった。

そしてアルスラーンは、素直で真っ直ぐな性格だが、他人の意見を無批判に受け入れるという訳ではなく、三年前は撃退されたルシタニア軍が今回はなぜやすやすと友邦マルヤム王国を滅ぼすことが出来たのかという疑問を抱き、疑問を抱いたら何と言われようと納得できるまで考え続けるのは立派だと思った。

さらに、アルスラーンを探して戦場を疾駆するダリューンの強さと男気が今回ラストの見せ場だったとおもう。

【アルスラーン、ヴァフリーズと剣の稽古】
パルス歴320年。
王太子アルスラーンは14歳になっていた。

王都エクバターナの宮殿の庭で、アルスラーンは大将軍ヴァフリーズと剣の稽古に励んでいた。
だがアルスラーンはヴァフリーズに剣を絡めとられ、剣を弾き飛ばされてしまう。
「何度やってもダメだ…」と落ち込むアルスラーンに、ヴァフリーズは「確実に上達しておいでです、殿下」と好ましい笑みを浮かべる。

アルスラーンが剣術を上達したいと思うのは、戦場で手柄を立てれば父が少しは認めてくれるのではないかと思うからである。
たとえ父と母に素っ気無くされても、それでも父を慕い、母を慕い、頑張って立派な王太子になれば愛してもらえるのではないかと思い、努力するアルスラーンは何て健気なのだろうと思う。

ヴァフリーズは、戦に出て手柄を立てることを考えるアルスラーンに、「今、我がパルス王国に戦を仕掛ける輩がいるとは思えませんな」と冷静に分析する。
確かに、今のパルス王国は壮健なアンドラゴラス三世の治世の元、国は富み、軍は精強であり、付け入る隙は無さそうである。

「殿下のご活躍はまだ先になりそうです」と笑うヴァフリーズであるが、これはパルス王国の富強と平和を喜ぶと同時に、アルスラーンを危険にさらさず、一人前になるまで大事に養育したいという気持ちがあるのだろう。

その時、ヴァフリーズの元に使者が駆けつけ、片膝をついて書状を差し出した。
ヴァフリーズは書状を一読すると驚愕する。
戦いが始まりそうだというのである。

【アルスラーン初陣】
パルス歴320年、秋。
ルシタニア軍はパルスの友邦マルヤム王国を滅ぼし、さらに進軍、パルス国境を侵犯した。

これに対し、アンドラゴラス三世は大軍を率いて出陣、アトロパテネ平原に布陣した。
この作戦にはアルスラーンも参加、これが初陣である。

馬上のアルスラーンは、不安の色を隠せない。
すると万騎長カーラーンはアルスラーンに語りかけ、味方の有利を説く。

まず、パルス軍は、万騎長8名がそれぞれ1万騎を率い、国王親衛隊を合わせ騎兵8万5千。歩兵13万8千。まさに大軍である。

そしてアトロパテネ平原の地形をパルス将兵は知り尽くしており、これは土地勘の無いルシタニアに不利である。

「ルシタニア軍は、わざわざ墓を作りに来たようなものです」とカーラーンは言う。
だが、アルスラーンの表情は晴れない。

アルスラーンは、三年前は撃退されたルシタニア軍が、今回はなぜやすやすと友邦マルヤム王国を滅ぼすことが出来たのかという疑問を抱いているのである。
他の将兵は、近年不敗のパルス軍ならば今度も圧勝だと思い、アルスラーンの疑問はほとんど相手にされないのであるが、それでもアルスラーンは納得しない。
自分の頭で筋道立てて考え、その結果抱いた疑問を、根拠の無い強気で誤魔化さないアルスラーンである。

その時、空から鷹が飛来、アルスラーンの肩にとまった。
万騎長キシュワードの鷹アズライールである。
アルスラーンは、懐いてくれるアズライールに喜び、撫でてやるが、羽根が湿っていることに気づく。
間もなく、アトロパテネ平原は深い霧に覆われた。

【アルスラーン、ヴァフリーズに問う】
アルスラーンは大将軍ヴァフリーズに、「この霧は、味方に不利ではないのか?」と尋ねる。
これにヴァフリーズは、「心配ご無用。アンドラゴラス王が率いる我がパルス軍が不敗であることを殿下もご存じでしょう。」と穏やかに笑う。

歴戦の老将ヴァフリーズから見れば、パルス軍は大軍で練度も高く、不敗のアンドラゴラス王の親征で戦意も高く、地の利はパルス軍にあり、霧で視界が悪いくらいではパルス軍の優位は揺らがないというところだろうか。

その時、伝令がアルスラーンの元に駆けつけ、本陣に急ぐよう告げた。
ダリューンがアンドラゴラス三世の怒りに触れ、大変なことになっているというのである。

【ダリューン、国王アンドラゴラス三世に進言】
パルス軍本陣では、アンドラゴラス三世が万騎長ダリューンに激怒していた。
ダリューンは、アトロパテネ平原からの退却を進言、これをアンドラゴラス王は臆病と怒ったのである。

王の怒りを真正面から受けとめながら、ダリューンは説く。

パルス軍の強さ、パルス騎兵の精強さは諸国に知れ渡っている。
にも関わらず、ルシタニア軍が騎兵戦に有利な平原でパルス軍を待ち受けるのは不可解であり、何らかの罠を仕掛けている可能性がある。
ここは退却し、王都エクバターナ付近に陣を敷き、ルシタニア軍を迎え撃つべきと。

だがアンドラゴラス三世は、ルシタニア人は蛮人でパルスの地理に昏いと侮り、ダリューンの進言に全く耳を貸さず、ついにダリューンに追放を言い渡す。

その時、ヴァフリーズが駆けつけ、「大恩ある陛下に口答えするとは何事か!」とダリューンを一喝して殴りつけた。これは、あえてダリューンを殴ることで、王に口答えしたけじめをこの場でつけてしまうためである。
そしてヴァフリーズはアンドラゴラス三世に頭を下げ、ダリューンの非礼を詫びた。

さしものアンドラゴラス三世も、長年王国に使える老将には一目置いているようで、此度の戦いの働き次第で、ダリューンの復職を認めると言うのであった。

ダリューンとヴァフリーズは幕舎を退出した。
ここでヴァフリーズはダリューンに、王家ではなく、アルスラーン個人に忠誠を誓ってほしいという。

ダリューンは、当たり前のことを言われて困惑するが、ヴァフリーズは「お前にだけは殿下のお味方であってほしいのじゃよ…」と何やら意味深長なことを言うのである。

【アトロパテネ会戦】
アトロパテネ平原の霧はますます深い。
馬上のアンドラゴラス三世は「この霧では、敵軍の配置が見えぬな」と言う。
すると万騎長カーラーンは「ご心配召されますな陛下。当然のこと、敵からもこちらの配置は見えませぬ」と、霧は不利にならないと説く。

その時、伝令が敵先頭部隊の発見を伝えた。
カーラーンはアンドラゴラス三世に言う。
周囲の地形は偵察済であり、パルス軍から敵軍までは平地で遮るものはない、騎兵突撃可能と。

アンドラゴラス三世は突撃を決意。
全軍に朗々と叫ぶ。
「パルス歴代の諸王よ!
聖賢王ジャムシード!
英雄王カイ・ホスロー!
その他の王者の霊よ!
我が軍を守りたまえかし!
ヤシャシィーン!」

パルス軍は敵軍に向けて突撃を開始した。

【パルス軍の先鋒部隊、壊滅】
霧の中、パルス軍の重装騎兵は長槍を構えて突撃する。
だが突然、地面が無くなり、騎兵が次々と落下した。
何と深さ数メートルの溝が延々と掘ってあり、この溝に落ちてしまったのである。しかもこの溝には油が満たしてあった。

次の瞬間、ルシタニア側が溝に無数の火矢を放つ。
たちまち油に引火し、溝に落ちた将兵たちは焼き殺されてしまう。

生き残った部隊は、炎の溝を迂回して敵軍を目指す。
すると目の前に攻城塔が出現。
パルス軍の頭上から矢を射かけ、次々とパルス将兵を討ち取っていく。
敵の罠により、パルス軍の先鋒は壊滅した。

混戦の中、アルスラーンの部隊も壊滅。
アルスラーンは一人で戦場をさまよう。
そして襲い掛かるルシタニア騎兵に応戦、敵の槍の穂先を斬り飛ばし、敵の刃と打ち合ってしのぎきり、ついに敵兵を刺し貫いた。

アルスラーンは何年もの間、ヴァフリーズと剣の稽古に励み、それでもいまだヴァフリーズには手も足も出ないのだが、実は剣の修練の結果は確実に現れているようである。

だがアルスラーンは、戦場とはいえ、初めて人を殺めてしまったことがショックな様子である。

【万騎長カーラーンの裏切り】
戦場をさまようアルスラーンの前に、カーラーンが姿を見せた。
一瞬安堵するアルスラーンだが、カーラーンは何とルシタニア部隊を率いている。

アルスラーンは、カーラーンの裏切りを知り、驚愕を隠せない。
思わず「カーラーン…なぜだ…」と問う。

カーラーンは、アルスラーンの問いに答えず剣を抜く。
そして「あなたは何も悪くない…悪くないが、ここで死んで頂く」と言い、自ら剣を振るってアルスラーンに襲い掛かった。

カーラーンが部下たちにアルスラーンを討ち取らせないのは、アルスラーンに対するせめてもの礼だろうか。
カーラーンは次々と斬撃を繰り出すが、アルスラーンはどうにか剣で受けとめ、しのぎ続ける。

しかしカーラーンは歴戦の武将であり、剣の腕は圧倒的である。
ついにアルスラーンは剣を弾き飛ばされてしまう。

だがそこに、黒衣の騎士ダリューンが駆けつけた。
アルスラーンを助けるため戦場を疾駆し、立ち塞がる敵をことごとく撃滅し、ようやくアルスラーンに辿り着くことの出来たダリューンは「今、お助け致します、殿下」と言い、アルスラーンに刃を向けるカーラーンに怒りの目を向けた。


【予告】
次回「黒衣の騎士」

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