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アルスラーン戦記 第3章「黒衣の騎士」

  • 2015/04/19(日) 23:02:47

アルスラーン戦記 第3章「黒衣の騎士」

【感想概略】
原作小説既読。
今回は、アトロパテネ会戦の決着がつき、敗残のアルスラーンとダリューンがナルサスの元に辿り着くお話である。

パルス軍は精強な上に大軍であり、その圧倒的な武力が強みなのだが、大軍のために情報伝達が大変である。この弱点を裏切り者カーラーンが利用し、正式の退却命令が各部隊に伝わることを妨害、代わりに「国王逃亡」のデマを流してパルス軍を瓦解させてしまう。
今回はまず、この大軍であっても策略によって武力に劣る敵に敗れてしまう知恵くらべのおもしろさがあった。

そしてアルスラーンは相変わらず健気であり、ダリューンは強く男気があり、二人が戦場を離脱してナルサスの元に辿り着いたところでは、ほっとした気分になった。

また、万騎長シャプールとクバードのあるべき臣下の姿についての討論、大将軍ヴァフリーズと銀仮面の激闘、ルシタニアの武将モンフェラートとボードワンなどなど、味方も敵も、登場人物それぞれに見せ場があり、これも見どころであった。

【ダリューン、アルスラーンを助ける】
前回、アトロパテネ平野にルシタニア軍が布陣した。
これに対し、パルス国王アンドラゴラス三世は、騎兵8万5千、歩兵13万8千の大軍を率いてアトロパテネ平野に布陣。そして万騎長カーラーンの献策を採用し、敵軍に突撃を敢行したが、敵の罠に嵌まり、先鋒部隊は壊滅した。

先陣に参加していたアルスラーンの部隊も壊滅、戦場をさまようアルスラーンの前に、裏切り者カーラーンがルシタニア部隊を率いて出現。驚愕するアルスラーンに襲いかかり、アルスラーンは窮地に陥ってしまう。
その時、黒衣の騎士ダリューンが出現した。

そして今回。
ダリューンはカーラーンに襲いかかり、猛然と斬撃を繰り出す。
カーラーンはダリューンの攻撃を剣でしのぎながら、「待て、話を聞け!!事情を知ればお主とて俺の行為を責めは…」と話を聞くように訴える。
だがダリューンは全く聞く耳を持たず、猛攻を緩めない。
ダリューンとしては、アルスラーンに刃を向けた者にかける情けは無いというところだろうか。

ついにカーラーンは、戦闘を中断し、兵を率いて撤退した。
カーラーンとしては、自分には志があるのであり、ここで討ち取られる訳にはいかないというところだろう。

【アンドラゴラス三世、退却を決意】
パルス軍本隊では、大将軍ヴァフリーズは、国王アンドラゴラス三世に全軍退却を進言した。この言葉にアンドラゴラス三世は「予が武人としての恥を知らぬと思うてか!」と激怒する。
だが、明日の勝利のため、今は退却すべきとのヴァフリーズの言葉を受け入れ、アンドラゴラス三世は全軍退却の命令を下した。

パルス軍の先鋒部隊は敵軍の策略で大損害を被ったが、壊滅したのははあくまで先鋒部隊だけであり、他の部隊は健在である。
アトロパテネ平野は、霧に覆われて視界がきかず、さらに敵軍の罠が仕掛けられており、パルス軍の得意とする騎兵突撃を封じられている。
なので、パルス軍はアトロパテネ平野から組織的に退却できれば、残存兵力をまとめ直し、また国内の予備兵力を動員し、再戦を挑むことも可能であろう。

ところが裏切り者カーラーンの配下が退却命令の伝達を妨害。
代わりに国王逃亡の流言をパルス軍内に流した。
この流言にパルス軍は動揺、退却も出来ず、有効な行動が取れなくなってしまう。

【万騎長シャプールとクバード】
パルス軍の武将、万騎長シャプールと万騎長クバードの元にも、国王逃亡の情報が伝わったが、二人に事の真偽は不明である。

シャプールは、「バカな…我らが命懸けで戦っておるのに、国王がお逃げになるとは」とショックを受ける。シャプールは、アンドラゴラス三世が将兵を見捨てて逃げることはあり得ると思っているようである。

一方、クバードは切り替えが早い。
「やめたやめた!もはや誰のために戦うというのだ!俺たちも好きなように逃げさせてもらうぞ」と言い、あっさりと戦場離脱を決意した。

するとシャプールは「お主…何を言う!我らには我らの責務というものが…」と異を唱える。

クバードの考え方は、「王、王足らずんば、臣、臣たらず」というものである。すなわち、王が王の責務を果たさないのならば、臣下は臣下の義務を果たす必要はない。
だがシャプールとしては、だからといって職場放棄することには抵抗があるようである。

あるべき臣下の道について口論する二人の前に、敵の大部隊が出現した。
するとクバードは口論を中断。
戦場を離脱するにしても、あの敵を倒す必要があると言い、大剣をひっさげ、部下を率いて敵部隊に突撃した。

【ヴァフリーズVS銀仮面】
アンドラゴラス三世は、国王親衛隊と大将軍ヴァフリーズに守られて戦場を離脱した。
ここまで来れば追手からは逃れただろうと思った瞬間、茂みから無数の矢が飛来、パルス兵が次々と討ち取られていく。
何と敵の待ち伏せである。
ヴァフリーズは背中に何本も矢を受け、アンドラゴラス三世も腕に一本矢を浴びた。
そして目の前に、銀仮面をかぶった騎士が、ルシタニア部隊を率いて出現した。

ヴァフリーズは、ここを死に場所と覚悟を決め、王に落ち延びるように叫ぶと愛馬を駆り突撃。
立ち塞がる敵兵を次々と斬り捨て、撃ち倒す。
まさに鬼神の如き強さである。

ついにヴァフリーズは銀仮面の敵将に到達し、決死の斬撃を振り下ろす。
だが銀仮面は、横薙ぎに必殺の斬撃を繰り出す。
銀仮面の剣は、ヴァフリーズの剣を打ち砕き、ヴァフリーズを斬り捨てた。

アンドラゴラス三世は、長年王国に仕えた老将の死に衝撃を受けながら、銀仮面に何者か問う。
すると銀仮面は激怒。
これほどの憎しみを受けても、俺が誰か分からぬとは、それほど悪行を重ねたか!と叫ぶとアンドラゴラス三世に襲いかかり、憎悪と恨みの一撃を浴びせ、アンドラゴラス三世を捕らえた。

【アトロパテネ会戦の終結】
ルシタニア軍の将兵は、勝敗が決したことに気が緩んでいた。
そこにパルス兵が襲来。
敵軍に斬り込み、ルシタニア将兵を斬り倒していく。
だが多勢に無勢、パルス兵は討ち死にしていくのだが、最後の最後までパルス兵の戦意は衰えない。

ルシタニアの武将、ボードワンとモンフェラートは、パルス兵の強さを再認識し、まともに戦えばとても勝てなかっただろうとつぶやく。

パルス暦320年10月16日。
アトロパテネ平原の戦いでパルス軍は大敗、騎兵5万3千、歩兵7万4千の戦死者を出した。一方、ルシタニア軍の戦死者も5万を超えた。

【ルシタニアの武将モンフェラートとボードワン】
アトロパテネ平原に急造されたルシタニア軍の城砦。
ルシタニアの武将モンフェラートは、戦いに勝利したというのに苦い表情である。
モンフェラートは今回の征服戦争については、聖職者のくせに人殺しの好きなバチあたりどもが、信仰心を利用して起こしたのだと、必ずしも納得していない。
そして、異国の地に屍をさらす同胞たちに心を痛め、マルヤムでの戦いで虐殺された女子供の声が耳を離れないと言い、異教徒は非戦闘員も殺すというやり方に反感を抱いているようである。

その僚将ボードワンは、モンフェラートの言葉は分からなくもないが、信仰のために戦って死んだ者は天国に行ける、そして生き残ったものはパルス王国の大陸公路からの収益、銀山の収益、豊かな穀倉地帯などなど、莫大な利益を得られるではないかと喜んでおり、信仰よりも欲や実利に興味があるようである。

【アルスラーンとダリューン、ナルサスの元へ】
アルスラーンはダリューンに助けられて戦場を離脱、隠居生活を送る「ひねくれ者」ナルサスの元に向かう。

道々、ダリューンはナルサスがどのような人物かアルスラーンに語る。
ダイラム地方の元領主・ナルサスは、三年前、三ヶ国同盟を一兵も使わず撃退した知謀の持ち主である。しかしアンドラゴラス三世の不興を買って宮廷を追放され、その後バシュル山で隠居暮らしを送っている。

これにアルスラーンは、ナルサスを追放したアンドラゴラス三世の息子である自分に、ナルサスは会ってくれるだろうかと不安そうな顔を見せる。
するとダリューンは笑い、そこは、ナルサスはひねくれ者なので、我らのような哀れな敗残者にはかえって会ってくれるだろうという。

夜の山道を、ダリューンとアルスラーンは騎馬で進んでいた。
ダリューンは、「ナルサスはこの先の山荘に引きこもって、異国の書を読んだり、絵を描いて暮らしているそうです」と説明する。

これにアルスラーンは「ナルサスは絵が好きなのか?」と問う。
するとダリューンは「誰にでも欠点はあるものでして…」と言い、ナルサスは政治歴史天文などに博学なのだが、絵は下手であり、それだけならまだしも、困ったことに絵が下手という自覚が無いのだと、渋い表情を浮かべる。

その時、何者かが二人の前に矢を放った。
そして命が惜しければ引き返せと警告する。

これにダリューンは名の名乗り、相手に呼びかけた。
すると、弓矢を手にした一人の少年が姿を見せた。

少年の名はエラム。
奴隷であった両親をナルサスに解放された解放奴隷であり、ダリューンとも親しい仲である。

エラムの案内で、ダリューンとアルスラーンはナルサスの山荘の前に辿り着いた。
ダリューンは大声でナルサスに来訪を告げる。
すると扉が開き、絵筆を持った若い男性が姿を見せ、「お主の声は一ファルサングも遠くから聞こえておったぞ」と言い、ニヤリと笑った。

【予告】
次回「厭世の軍師」

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