1. 無料アクセス解析

スポンサーサイト

  • --/--/--(--) --:--:--

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

アルスラーン戦記 第4章「厭世の軍師」

  • 2015/04/26(日) 23:53:55

【感想概略】
原作小説既読。
今回は、厭世の天才軍師・ナルサスが、アルスラーンの仲間になるお話である。
仲間がどんどん増えていくことは、物語の面白さの大きな要素の一つだと思う。今回は、味方はダリューンのみというアルスラーンの陣営が充実していく第一歩という面白さがあった。

そしてナルサスを動かしたものは、富でも地位でもなく、アルスラーンの人間性というところが良かったと思う。

アルスラーンはナルサスに宮廷画家の座を提示したが、これは地位を餌にしたのではなく、早朝から絵筆をとってキャンバスに向かうナルサスの姿に、創作に対する姿勢が真剣なことを理解し、その情熱と文化への真摯さに相応しい役職は宮廷画家だと思ってのことだとおもう。

ナルサスはアルスラーンへの忠誠を誓った。
だが、エラムのアルスラーンを見る目は冷たく、王族に対する敬意を払ってはいるが、アルスラーンのことを快くは思っていないようである。

エラムとしては、今まで敬愛するナルサスと二人きりで暮らしてきたのに、突然現れた世間知らずのお坊ちゃんがナルサスを横取りしようとしているようで、不快で不安というところだろうか。

エラムとアルスラーンは打ち解けることが出来るのか、次回以降も注目したい。

【アルスラーン、ナルサスに名乗る】
前回ラスト、アルスラーンとダリューンは、ナルサスが隠居する山荘を訪れた。
ダリューンは大声で名乗り、ナルサスを呼ぶ。
すると扉が開き、絵筆を持った若い男性が姿を見せた。
この男こそ、天才軍師ナルサスである。

そして今回。
ナルサスはダリューンに、「騒々しい奴め」だの「ちょうど筆が乗ってきたところだというのに、よくも邪魔をしてくれたな」と悪態をつく。

するとダリューンは「それは良いことをした。ガラクタな絵が世に出るのを阻止してやったぞ」と不敵な笑みを浮かべるのだが、ダリューンもナルサスも、罵り合うのがとても楽しそうである。

そしてアルスラーンは、アンドラゴラス王の子と名乗り、ナルサスに挨拶する。
王太子という高い身分であっても、自分から名乗る礼儀正しいアルスラーンである。

【五年前の奇策】
山荘の居間で、ナルサスはアルスラーンとダリューンに、エラムのつくった温かい食事を振舞っていた。

食事をしながらダリューンはアルスラーンに、ナルサスは奇策でパルスを救ったことがあるのだと語る。
これにはアルスラーンも興味津々、どのような策かナルサスに尋ねる。

するとナルサスは、語り始めた。
5年前のこと。
トゥラーン、シンドゥラ、チュルクの三ヶ国が同盟を結び、パルスに攻め込んだ。
ナルサスは父の急死により急遽家督を継ぎ、兵二千五百を率いて国王アンドラゴラス三世の前に参上した。

だがアンドラゴラス三世は激怒して言う。
「お主の父は五千の騎兵を率いて駆けつけると申しておったではないか!それが半数にも満たないとは…よくこの王の前に顔が出せたな!」

するとナルサスは言う。
実は家督を相続すると同時に奴隷を解放した。
だからまず歩兵がいない。
さらに奴隷解放に呆れて去った者達がおり、このため騎兵も減っているのだと。

この言葉にますます不快そうなアンドラゴラス三世だが、ナルサスは涼しい顔で言う。
「陛下。私の策をもって、三か国同盟を退散させてご覧に入れます」

するとアンドラゴラス三世はあっさりナルサスの進言を採用。
「信用した訳ではないぞ。失敗した時の面を拝んでやろうと思ってな」というアンドラゴラス三世だが、大した決断の早さである。

3日後、ナルサスは二千人の捕虜全員を解放した。
捕虜を捕らえた武将たちは激怒。
剣を抜いてナルサスに襲い掛かるのだが、ナルサスは斬撃をかわして抜刀、相手の剣を弾き飛ばす。
実はナルサス、剣の腕前もかなりのものである。
ナルサスの剣技に驚嘆する武将たちを、ナルサスは一喝して叫ぶ。
「仲間割れしている場合か!我らも、総攻撃の準備を!」

その夜。
三ヶ国同盟軍は壮絶な同士討ちを始めた。
これをパルス軍が襲撃。
三ヶ国の軍勢はさんざんに打ち負かされ、パルス軍は勝利を収めたのである。

アルスラーンはますます目を輝かせ、「どのような策を弄したのだ!?」と問う。

するとナルサスは笑顔で「一片の流言は10万の兵に勝ると申します。流言をバラまいていたのです」と言う。
すなわち、チュルク軍には、シンドゥラは裏切ってパルスについた。
トゥラーン軍には、チュルク軍はパルスと結託している。
シンドゥラ軍には、他の同盟国が裏切っていると。
そして三ヶ国同盟は互いに疑心暗鬼に陥り、ついに戦いはじめてしまったのだ。

アルスラーンはナルサスの知略に感嘆の様子である。
そしてアルスラーンは、ナルサスに宿と食事の礼を言う。
するとナルサスは、笑っていうのである。
「礼には及びません。私はお父君から1万枚もの金貨を頂きました。今日の食卓は銀貨1枚にも及びませんよ」

【ナルサス、アルスラーン陣営参加を断る】
ナルサスはダリューンに、アトロパテネで何があったのか問う。
するとダリューンは万騎長カーラーンが裏切ったと言う。

ナルサスはダリューンの言葉に、ルシタニアの蛮族どもにも、知恵の回るものがいるようだと、少し関心している様子である。

ダリューンはナルサスに「殿下のために、お主の知恵を借りたいのだ」と言い、アルスラーンの軍師になってほしいと頼む。

だがナルサスは「せっかくだが、今さら浮世と縁を持つ気はない」と言い、たとえダリューンの頼みであっても、助力の要請に応じようとしない。

ダリューンは簡単には引き下がらず、「山奥で下手な絵を描き散らしているより遙かにマシだろう!」と、四の五の言わずに協力しろと迫る。

この下手な絵よばわりはナルサスの気に触ったようである。
ナルサスはアルスラーンに向かって身を乗り出すと「殿下!こいつは芸術を理解する心を持ちません!」と訴えるのだが、目が本気である。

ダリューンはなおも食い下がろうとするのだが、ナルサスは立ち上がると「芸術は永遠! 興亡は一瞬!」と真顔で言い、俗世の政略に関わる気は無く、あくまで芸術に身を捧げる決意を表明する。

だがダリューンは、ナルサスの言葉に何の感銘も受けないようで、呆れた表情である。
そしてエラムは、ナルサスの奇行に慣れた様子で、淡々と食器を下げるのだった。

【ナルサス、奴隷制度廃止論に触れる】
アルスラーンは、ナルサスに「お主の考えを聞かせてほしい」と問う。

するとナルサスは「父王陛下は、奴隷制度を廃止なさるべきだったのです」と言う。

少し驚くアルスラーンに、ナルサスは「このような考えゆえ、私は父王に嫌われてしまいました」と笑う。
ナルサスとしては、自分がこの時代としては異端の考え方を持ち、さらにアンドラゴラス三世に嫌われていることを知れば、アルスラーンも自分を軍師には望まないと思い、本心を明かしたというところだろうか。

だがアルスラーンはナルサスを否定せず、「私もダリューンも父上に嫌われておる。どうせなら仲よく嫌われようではないか」と少し寂しそうな笑みを浮かべて言う。
これにナルサスは、少し心を動かされている様子である。

【ナルサスとダリューン、酒を酌み交わす】
アルスラーンの就寝後。
ナルサスとダリューンは、久々に酒を酌み交わしていた。

ナルサスは「どうだ、ダリューン。お前から見てアルスラーン殿下という人物は」と問う。アルスラーンに興味を抱いた様子である。

ダリューンは「繊細で優しい方だ…だが、そこが心配だ」と真面目な表情で言う。
そして、アルスラーンの回りの人々の態度が不可解であることを口にする。
なぜ、タハミーネ王妃にあれだけ甘いアンドラゴラス三世は、王妃と自分の子であるアルスラーンに冷たいのか。なぜタハミーネ王妃は我が子であるアルスラーンを遠ざけるのかと。

さすがのナルサスも、この件については軽々しいことは口に出来ないようで、無言である。

【アルスラーン、絵を描くナルサスを見る】
アルスラーンは、窓から差し込む朝日に目を覚ました。
清々しい朝のようで、アルスラーンは山荘の外に出た。
すると湖のほとりでナルサスが絵筆を握り、真剣な表情でキャンバスに向かっている。

アルスラーンはナルサスの絵に驚きはしたが、絵を描くことに対し、ナルサスは真摯な姿勢で取り組んでいることは理解したというところだろうか。

【アルスラーンとエラム】
アルスラーンが厨房を覗くと、エラムが朝食の用意をしていた。
何か手伝うことはないかとアルスラーンはエラムに尋ねるが、エラムの態度はそっけない。

それでもアルスラーンは手伝おうと、皿を並べようとするが、落として割ってしまう。
慌ててアルスラーンは「すまない」と謝るが、エラムは全く動ぜず、箒とちりとりで手際よく破片を片付け、「どうかお手を出されませぬよう」と言う。
エラムの口調と態度は丁寧だが、アルスラーンを完全に拒絶している様子である。

アルスラーンは厨房の後ろに立って、エラムの仕事ぶりを眺めながら、エラムは奴隷から解放されたのになぜナルサスの元にいるのか問う。
エラムは「私の意志です」と言うのだが、感情を殺したような物言いである。

アルスラーンは、三年前に出会ったルシタニアの少年兵のことを思い出していた。
少年兵はエクバターナに奴隷が多いこと、奴隷が殴られていることに心を痛め、アルスラーンに向かって言った。
「人は皆、平等だ!」と。

アルスラーンは、「やはり…奴隷は解放すべきなのだろうか」とつぶやくが、エラムは「自分でお考え下さいませ」とそっけない。

【カーラーンの部下たち、山荘前に出現】
山荘の前に、騎馬の男たちが現れた。
窓から様子を伺うダリューンは、男たちがカーラーンの部下であることに気づく。

ナルサスは、カーラーンの部下が早速ここを嗅ぎつけたことに少し関心するが、実はダリューンがわざとカーラーンの部下に見つかるように逃げてきたことに気付き、「この悪党め!」とダリューンを非難する。

だがダリューンは涼しい顔で「こうなったからには、芸術とやらは諦めて殿下にお仕えするのだな」と言い、全く悪びれる様子がない。

【カーラーンの部下たち、ナルサスを勧誘】
カーラーンの部下たちは山荘の入り口に一歩入り、ナルサスと対面していた。

男たちは名乗りもせず、まずナルサスの名を確認する。
ナルサスは名乗ると、男たちに名乗れと言う。
すると男たちは大将軍(エーラーン)カーラーンの部下と名乗った。

これにナルサス、大将軍はヴァフリーズ老であったはずだが、引退でもしたのかと男たちに問う。

すると男たちは言う。
ヴァフリーズは死んだ、今頃エクバターナでさらし首になっていると。
天井裏で聞いていたアルスラーンはこの言葉に動揺、そしてダリューンは激怒していた。

男たちは言う。
逃亡中のアルスラーンとダリューンがこの山に逃げ込んだとの証言があり、捜索している。
そしてまた、カーラーンはナルサスを貴下に加えたいと考えていると。

男たちは様々な好条件を提示するが、ナルサスは言い放つ。
「帰ってカーラーンの犬めに伝えてもらおう!腐肉は一人で食え!ナルサスには不味すぎるとな」

これに男たちは激怒。
剣を抜いてナルサスに殺到する。
だが次の瞬間、男達の足元に大穴が開き、全員落下した。
そして、隠れていたアルスラーンとダリューンが姿を見せた。

【アルスラーン、ヴァフリーズを悼む】
ダリューンは憤怒の表情で、大穴の底の男たちを睨んでいる。

そしてアルスラーンは、ヴァフリーズの死に心を痛めていた。
「ヴァフリーズが鍛えてくれなければ…私は死んでいた。なのに私は…いつも愚痴ばかり…」
アルスラーンは、涙をにじませ、ヴァフリーズは毎日一生懸命指導してくれたのに、自分はその有り難みを理解しておらず、ヴァフリーズに対し申し訳ない態度をとっていたと悔やむのである。

【ナルサス、アルスラーンに忠誠を誓う】
ナルサスは気を取り直し、エラムに食事を並べさせ、アルスラーンとダリューンと食卓を囲んで朝食をとりはじめた。

朝食の席で、アルスラーンは改めてナルサスに助けを求めた。
だがナルサスは「ありがたいお言葉ですが…」と言い、首を縦にふらない。

ナルサスとしては、自分は奴隷制度廃止を理想としており、またアンドラゴラス三世に嫌われており、自分のような人間を部下にすることはアルスラーンの不利益になると考えてのことだろう。

だがアルスラーンは諦めず、「私はお主の忠誠を求める代わり、十分な代償を支払う」と切り出す。
これにナルサスは、金貨でもくれるのですか、それとも地位ですかと皮肉っぽい物言いである。

するとアルスラーンは、富や地位ではナルサスは動かせないだろうと言い、破格の条件を提示した。
「私が ルシタニアを追い払いパルスの国王になった暁には…ナルサス卿、お主を宮廷画家として迎えよう」

ナルサスは、アルスラーンの言葉に目を見開いて驚愕。
感極まり、思わず両目を手で押さえながら天を仰ぎ、「ふふふ…気に入った。聞いたかダリューン!殿下のこの君主としての度量」と笑う。

これにダリューンは「パルスの文化史上に汚点を残すことになりますぞ」と猛反対である。

だがアルスラーンは穏やかに言う。
「良いではないか。私はルシタニアの高名な画家に死に顔を描かれるより、ナルサスに生きた姿を描いてもらいたい」

アルスラーンとしては、地位を餌にしたのではなく、絵筆をふるうナルサスの姿に、芸術に対するナルサスの姿勢は真剣なことを理解し、その情熱と文化への真摯さに相応しい役職は宮廷画家だと思ってのことなのだと思う。

ナルサスは、これから先どのような困難があろうとアルスラーンを支える覚悟を決めた。
そして居住まいを但し、片膝をつき、「このナルサス、アルスラーン殿下にお仕えいたします」と宣誓。アルスラーンに忠誠を誓うのであった。

【予告】
次回「王都炎上~前編~」

この記事に対するトラックバック

この記事のトラックバックURL

この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

この記事に対するコメント

この記事にコメントする

管理者にだけ表示を許可する

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。