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アルスラーン戦記 第5章「王都炎上~前編~」

  • 2015/05/03(日) 22:26:50

【感想概略】
原作小説既読。
今回は、パルス王国の王都エクバターナにルシタニア軍が攻めてくるお話である。

戦闘描写では、城郭都市の防衛戦が楽しめた。
これまでは、平地での軍勢同士のぶつかり合いが描かれていたが、今回はペルシア風の城郭都市と、十字軍風の攻城軍との戦いであり、迫力があった。
心情的にはパルス側を応援しているので、ルシタニア軍が撃退されるとうれしい気分になった。

王妃タハミーネも存在感があった。
現在の王都エクバターナの主は、王妃タハミーネであるが、上の者は下の者を動揺させないためにも、たとえ内心では動揺してもそれを表に出してはならない。
この点、王妃タハミーネは立派であり、王都エクバターナがルシタニアの大軍に攻められても眉一つ動かさない。
このタハミーネの肝の太さが将兵の士気を支えているというところもあると思う。

ルシタニア軍には権力を握った狂信者・ボダン大司祭が登場。
縛り上げた万騎長シャプールを「異教徒である」という理由で嬉々として拷問するという凶悪ぶりであり、この狂信者が討ち取られるところを早く見たいと思わせてくれた。
ボダン大司祭は、神の前の平等を説く一方で、異教徒は差別してもよいと説く一神教・イアルダボード教の問題点の象徴的存在だと思うのだが、宗教というものについて考えさせられた。

その一方でルシタニア軍は、大勢が大声で、エクバターナ城内の奴隷たちに呼びかけ始めた。
イアルダボード教では万人は平等であり、ルシタニアに協力する者には自由民の権利と財産を与えると。
すなわち、奴隷たちに内部から城門を開けさせようという作戦である。
神の前の平等を説く一方で異教徒は差別する一神教と、奴隷制社会の対決がどのように描かれるのか、次回が楽しみである。

そして旅の楽士ギーヴが登場。
拷問に苦しみ、せめてパルスの矢で死ぬことを望むシャプールを、一矢で即死させ、シャプールを苦しみから救ったこと賞されて王妃タハミーネの前に召しだされるのだが、王妃に対しても全く謙遜せず、王子を騙って王妃の侍女と一夜を過ごしたことが発覚しても全く悪びれないなど、その自由人ぶりが魅力的であった。

一方アルスラーンは、ナルサスの軍略に真摯に耳を傾け、今回も健気であった。
またアルスラーンは、エラムと仲良くなりたいようで、エラムを手伝おうとするのだが、エラムの態度は相変わらず素っ気ない。
エラムはどうすれば、もう少しアルスラーンに心を開くのだろうか。
次回にも注目したい。

【エラム、ナルサスを説得】
前回、アルスラーンはナルサスの信頼を得て、ナルサスを軍師に迎えた。
そして今回、ナルサスはエラムに、「お前は知人に預かってもらううことにする」と言う。

だがエラムはこれを断固拒否、ナルサスの伴をすると言う。
ナルサスは、エラムは子供だから危険に巻き込みたくないというと、エラムは「ナルサス様よりは大人です!ナルサス様は1人では何も出来ないではありませんか!洗濯、掃除、画材の調達…」とナルサスの生活力の無さを指摘する。
これにはナルサスも反論できず、顔をひきつらせてしまう。

さらにアルスラーンもエラムの同行をナルサスに願い出た。
「私からも頼む。エラムを置いていったとして、我らの中でこんなに美味な食事を作れる者が他にいるか?」

ナルサスは反論できず、ダリューンもエラムの味方であり、ついにエラムの同行を認めるのであった。

【アルスラーン一行、山中に潜む】
アルスラーンたちは、ナルサスの山荘を後にし、行方をくらました。

一方、山荘の落とし穴に落とされたカーラーンの部下たちはようやく穴をよじ登って地上に出てきた。
だが馬は一頭も見当たらず、アルスラーン一行の姿は既にない。

カーラーンの部下たちは、徒歩で山を下るのだが、山への道は全てカーラーンの部隊が見張っており、アルスラーン一味が捕まることは疑っていない様子である。

一方ナルサスはカーラーンの作戦を全て見抜いており、カーラーンを出し抜くため、山中の洞窟にとどまり、様子を窺っている。

【王都エクバターナ攻防戦の開始】
アトロパテネ会戦でパルス軍を破ったルシタニア軍は、ついに王都エクバターナの城外に布陣。
大軍で城攻めを開始した。

ルシタニア軍は堀を渡ると城壁に次々と梯子をかけ、大勢の兵が城内に乗り込もうとする。
だがパルス軍は城壁から、無数の矢を射掛けて梯子を登る敵兵を次々と討ち取り、一兵たりとも城内への侵入を許さない。

ルシタニア軍はそれではと、多数の攻城塔を城壁に接近させ、城壁上のパルス兵を矢で攻撃する。
するとパルス軍は、投石機で石弾を攻城塔に発射、次々と攻城塔を破壊していく。
さすがエクバターナはパルス王国の王都であり、その守りは鉄壁の硬さである。

エクバターナは防衛施設が優れているだけでなく、守備軍の士気が高い。
これには、王都エクバターナの現在の主・王妃タハミーネの存在が大きいと思う。

上の者は下の者を動揺させないためにも、たとえ内心では動揺してもそれを表に出してはならない。
この点、王妃タハミーネは立派であり、王都エクバターナがルシタニアの大軍に攻められても眉一つ動かさない。
この王妃タハミーネの肝の太さが将兵の士気を支えているというところもあるだろう。

【狂信者・ボダン大司祭】
だがここで、ルシタニア軍は思いもよらぬ外道な所業をはじめた。
何と、捕虜とした万騎長シャプールを縛り上げ、城壁から少し離れたところに引き据えた。
そして身動きとれないシャプールに拷問を開始したのである。

シャプールを太い棒で殴りまくるのは、ルシタニアの大司祭ボダンである。
このボダン、一神教イアルダボード教の問題点を具現化したような人物であり、シャプールを「異教徒である」というだけの理由で、嬉々として拷問する。

これにエクバターナ将兵は激怒。
例え敵であっても、勇敢に戦った戦士には敬意を払うべきではないのかと敵軍に訴える。
だがルシタニア側は全く聞く耳を持たない。

拷問されるシャプールは、せめてパルスの矢で死ぬことを望み、射てくれるようエクバターナ城内に呼びかけた。
これに応じ、城壁上の兵たちはシャプール目掛けて次々と矢を放つ。
が、通常の弓矢が届く距離ではなく、矢は虚しく地面に落下、シャプールを苦痛から解放することが出来ない。

その時。
何者かが、塔から矢を放ち、シャプールの眉間を射抜き、一瞬で即死させた。
これにボダン大司祭は驚愕、パルス将兵も驚愕である。

シャプールを苦しみから救った者こそ、旅の詩人ギーヴであった。

【ギーヴ、王妃タハミーネに謁見】
ギーヴは、シャプールを苦しみから救ったこと賞され、王妃タハミーネの前に召しだされた。
王妃タハミーネはギーヴに、忠臣シャプールを苦しみから救ってくれた礼を言う。

ところが王妃の侍女の一人が、ギーヴを見て詐欺師と言い出した。
実はギーヴ、王子を騙り、王妃の侍女と一夜を過ごしていたのである。
だがギーヴは全く悪びれず、「あれは俺の夢で、お主はその夢を一夜、俺と共有したのだよ」などと涼しい顔で言うのである。

このギーヴの面の皮の厚さにも、王妃タハミーネは全く動じず、ギーヴにリュードを渡すと一曲所望した。
するとギーヴは楽器を手に取り、「では、今この瞬間も王都を守るために戦っておられる勇者たちのために…カイ・ホスロー武勲詩抄をささげましょう」と言い、朗々と詩を詠じた。

これに王妃タハミーネは、金貨200枚を褒美に与えた。
ギーヴは頭を下げて礼を言いながら、金貨500枚はもらえると思ったのにと王妃を内心でケチ呼ばわりする。
すると王妃は、侍女を欺いた分、金貨300枚は差し引いておいたと言い渡すのであった。

【ルシタニア軍、城内の奴隷に呼びかける】
王都エクバターナは、ルシタニア軍の猛攻をことごとく退け、まさに難攻不落である。

するとルシタニア軍は、大勢の兵たちが大声で、エクバターナ城内の奴隷たちに呼びかけ始めた。
イアルダボード教では万人は平等であり、ルシタニアに協力する者には自由民の権利と財産を与えると。

すなわち、奴隷たちに内部から城門を開けさせようという作戦である。
城壁を守る兵たちは、ルシタニア軍の意図が理解できないのだが、将校たちはマズイことになったと危機感を募らせる。
そして城内の奴隷たちは、ルシタニア軍の呼びかけに動揺している様子である。

一方、遠く離れた山中で、カーラーンの包囲からの脱出を伺うアルスラーンは、王都エクバターナでルシタニアが内応させることが出来そうな人々は奴隷たちであり、エクバターナが内部から陥落する危険性があることに気付いた。

神の前の平等を説く一方で異教徒は差別する一神教と、奴隷制社会の対決がどのように描かれるのか、次回が楽しみである。

【予告】
次回「王都炎上~後編~」

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  • 2015/05/04(月) 19:14:39

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