1. 無料アクセス解析

スポンサーサイト

  • --/--/--(--) --:--:--

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

アルスラーン戦記 第10章「カシャーン城塞の主」

  • 2015/06/07(日) 22:54:09

【感想概略】
今回は、奴隷解放というアルスラーンの理想に対し、パルスの諸侯がどのような反応を示すのか、そして奴隷を解放してもそれだけでは済まないという現実をアルスラーンが突き付けられたお話であり、面白かった。

なお今回もアルスラーンは健気であり、奴隷たちの思わぬ反応に見せる傷ついた表情も可愛らしかった。

【アルスラーン、ナルサスに問う】
ダリューンとナルサスが、ルシタニア占領下の王都エクバターナから帰還、アルスラーンたちと合流した。

アルスラーンは、パルスからルシタニアを追い出すことを目指しているが、現在味方はダリューン、ナルサス、エラム、ファランギース、ギーヴの5人のみ。
一方ルシタニア軍は30万、圧倒的に戦力が足りない。

焦るアルスラーンはナルサスに問う。
「どうやって味方を増やせばいい…」

するとナルサスは即答して言う。
「殿下が将来、国政において条理に合わぬことを無くすと、パルスの民にお示しになるのです。」

正論であるが、この答えはアルスラーンには物足りない。
「それもそうだが、もっと 直接的な策略があれば…」

これにナルサスは言う。
「失礼ながら、王者たる者は策略や武勇を誇るべきではありません。まずは殿下の目指されるものを明らかになさいませ。我らは努力させていただきます」

ナルサスの言葉に、アルスラーンは君主として果たすべき役割について思いを新たにしている様子である。


【アルスラーン一行VSルシタニア騎兵500騎】
アルスラーン一行は、まずは東方要塞ペシャワールを目指す。
だが途中、ルシタニアの大軍に見つかってしまう。

馬を飛ばして逃げるアルスラーン一行は、地形を利用し、太陽を背にして敵兵を弓で攻撃、次々と討ち取っていく。

ルシタニア軍も反撃するが、太陽が眩しくて狙いが付けられず、正確に狙いをつけることが出来ない。

さらにアルスラーン一行は、追い風を背にしており、こちらの矢はより遠くに飛ぶが、敵の矢は向かい風をうけて失速し、アルスラーンたちに届かない。

ルシタニア軍は、圧倒的な大軍でありながら苦戦するのだが、決して追撃を諦めない。
ルシタニア軍としては、数に任せてアルスラーン一行を包囲して討ち取るつもりであろうか。

その時、崖の上にパルス兵の大部隊が出現、弓矢を構えるとルシタニア軍に向けて多数の矢を放ち始めた。
高い所から追い風を受けて飛ぶ矢はルシタニア騎兵に次々と命中、ルシタニア軍は大損害を受けて退却した。

【カシャーン城塞の主ホディール】
アルスラーンたちを助けたのは、カシャーン城塞の主ホディールであった。ホディールはダリューンに助勢を乞われ、アルスラーンを助けるために兵を動かしたのである。

アルスラーン一行は、カシャーン城塞に入城するが、城内に奴隷が多いことにアルスラーンは表情を曇らせる。

カシャーン城塞の主ホディールはアルスラーン一行を豪華な料理でもてなし、大歓迎である。

アルスラーンはホディールに礼をいい、「今までのパルスの政事で条理に合わぬ悪政を正すつもりだ」と自身の政見を語り、「まずは、奴隷を解放しようと思う」と言う。

これにホディールは「さすがは殿下。革新的なお考えをお持ちだ」とアルスラーンを褒め称えるが、目が笑っておらず、何やら企んでいる様子である。

【アルスラーン、一人部屋に宿泊】
その夜。
ホディールは、アルスラーンに一室、ファランギースに一室、ダリューンたちに大部屋を割り当てた。

ダリューンはアルスラーンと別室になることに納得いかない。
一方ナルサスは、ホディールが何か企んでいると分かっていながらも、何やら考えがある様子である。

間もなく、ダリューンたちの部屋のバルコニーに、何者かが忍び込んできた。
気付いたギーヴが剣を突きつけると、侵入者は腰を抜かして倒れた。
何とアルスラーンである。

アルスラーンは、廊下には衛兵がいるので、外壁の壁を伝ってバルコニーまで来たのだという。

これにダリューンは、何かあったらどうするのですか!?とアルスラーンに小言をいい、ギーヴはダリューンのアルスラーンに対する過保護っぷりに呆れるのであった。

アルスラーンはナルサスたちに言う。
ホディールが訪ねてきて、奴隷制度の廃止に強く反対し、さらに自分の娘を妻にすることをアルスラーンに迫ったので、明日中に返事をすると答えたと。

ナルサスは、ホディールの意図を理解すると策を立て、全員に伝えた。

【ホディール、アルスラーンにナルサス達の排除を進言】
夜も更けた頃。
アルスラーンの部屋をホディールが訪ねてきた。
何とホディールは鎧姿であり、大勢の兵を率いている。

だがアルスラーンも鎧姿であり、これにホディールは驚いた様子である。

ホディールは、ナルサスたちは君側の奸であり、いずれアルスラーンと祖国に害を為すので排除すると言う。
そしてナルサスの問題点を訴え始めた。
「あのナルサスなる者、何故お父上のご不興を被ったと思いしめすか?奴隷制度を廃止するとか、貴族と自由民に同じ法を適用するとか、過激なことを主張したからです」

これにアルスラーンは厳しい表情で言う。
「ダリューンやナルサスを私が捨て、お主を選んだとして、今度はお主を捨てる日が来ないとなぜ言い切れる?」
これにホディールは返す言葉が無い。

アルスラーンは、ホディールの言葉にかなり怒っているようで更に言う。
「ナルサスの悪口をお主は言い立てる…だがナルサスは、私に一夜の宿を与えておいて、騙し討ちなど しなかったぞ!」

だがホディールは、ダリューンたちの大部屋に眠り薬を仕掛けており、アルスラーンが納得しなくても、ダリューンたちを排除し、アルスラーンを傀儡にするつもりである。

【アルスラーン一行VSカシャーン城兵】
アルスラーンは、別室のダリューンたちに向かって呼びかけた。
「ダリューン、ナルサス、ギーヴ、ファランギース、エラム!すぐに城を発つ!」

するとすぐに、武装したダリューンたちが姿を見せた。
これに驚愕するホディールだが、ホディールの眠り薬などナルサスにはお見通しであり、とっくに始末されていたのである。

アルスラーン一行は城の中庭に移動し、自分たちの馬にまたがった。
これにホディールは慌て、アルスラーンを捕らえる隙を伺うが、アルスラーンの左右はファランギースとギーヴが守っており、全く隙が無い。
ついにホディールは本心を露わにし、実力でナルサスたちを排除してアルスラーンを捕らえようとする。

まずはホディール、弓箭兵たちに弓の一斉射撃を命じる。
が、引き絞った弓の弦は次々と切れてしまう。
ナルサスの指示で、事前にエラムが切れ込みを入れておいたのである。

ナルサスは不敵な笑みを浮かべ、こちらには弓もあれば射手もいると脅し、ホディールに城門を開けるよう求める。

だがホディールは「このままでは私は逆賊だ!そうなってたまるか!」と叫ぶと篝火を倒して灯りを消し、兵たちにアルスラーン捕獲を命令。
兵たちは雄叫びを上げて突撃していく。

が、ダリューンの強さは闇の中でも圧倒的であり、敵兵を次々と斬り伏せていく。

ナルサスも闇の中で剣を振るい、敵兵の足を払って転倒させ、敵兵を突き飛ばし、夜闇を最大限活用して敵を翻弄する。

暗闇の中、ギーヴは音もなく敵兵の間合いに踏み込み、次々と斬り倒す。
ファランギースとエラムは的確に弓矢を放ち、敵兵を次々と討ち取っていく。

たった6人に圧倒されるホディールだが、一度アルスラーンに刃を向けてしまった以上、もはや後には引けないようで戦いをやめない。
ホディールは雄叫びを上げてアルスラーンに突撃するが、ダリューンに討ち取られるのであった。

【アルスラーン、奴隷を解放しようとするが…】
城門を出たアルスラーンは、奴隷小屋に目を向けると馬を降り、剣の柄で錠前を叩き壊し、小屋の戸を開けた。
そして笑顔で奴隷たちに「さあ行くがいい!お前たちはもう自由なのだから」と声をかけた。
アルスラーンとしては、奴隷たちは喜んでくれると思っただろう。

だが奴隷たちは訝しげであり、「ホディール様がそうおっしゃったのですか?」と尋ねた。

アルスラーンは、ホディールは死んだことを伝えると、奴隷たちは怒りの色を見せ「あんがが殺したのか?」と問う。

アルスラーンは奴隷たちの反応に困惑しながら「私の仲間が…」と答えると、奴隷たちは激怒。
「ご主人様の仇だあぁぁ!!」と叫び、鍬や鎌を握ってアルスラーンに襲い掛かる。

その時、何者かがアルスラーンを後ろから引っ張り、奴隷たちの振るう刃から救う。愛馬を駆るダリューンの仕業である。

ダリューンはアルスラーンを鞍の前に乗せると疾走、激怒する奴隷たちの元から立ち去った。
アルスラーンは、奴隷たちの思わぬ反応にショックを受け、傷ついている様子である。

【アルスラーン、決意を新たにする】
アルスラーンは、皆から少し離れ、沈んだ顔をしていた。
なぜ奴隷たちはあんなに怒ったのか、アルスラーンには分からない。

ナルサスはアルスラーンに言う。
「ホディールは奴隷たちにとっては、あれでもいい主人だったのでしょう。寛大な主人の下に奴隷であることは、ある意味最も楽な生き方なのです」

実はナルサス、こうなることは分かっていた。
だが、アルスラーンに口で説明しても、実際に経験しないと納得しないだろうと思い、あえて黙っていたのである。

そしてナルサスは自分の経験をアルスラーンに明かす。
5年前、ナルサスはダイラム領主の家督を継ぐと奴隷たちを解放した。
その後、しばらく所用のため領地を離れ、久々に帰ってくると、何と奴隷たちが帰ってきていたのである。
奴隷たちは解放されて自由民となったが、独立して生計を立てていくノウハウに乏しく、生活に行き詰まり、衣食住は保証される奴隷に戻ることを望んだということだろうか。

自分のやろうとしていることは正しいのか、苦悩するアルスラーンにナルサスは言う。
「正義とは、太陽ではなく星のようなものかもしれません。殿下は大道を歩もうとしておられる。是非その道をお進みください。」

アルスラーンは、自分の信じる道を進む決意を新たにするが、同時に自問する。
この頼もしい5人が、いつまで自分についてきてくれるのだろうか、と。

そしてアルスラーンは心中で決意するのである。
「彼らが愛想を尽かさないうちに自分は、立派な君主にならなければならない」


【予告】
次回「ペシャワールへの道」

この記事に対するトラックバック

この記事のトラックバックURL

この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

この記事に対するコメント

この記事にコメントする

管理者にだけ表示を許可する

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。