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アルスラーン戦記 第13章「王子二人」

  • 2015/06/28(日) 23:42:17

【感想概略】
今回は、アルスラーン一行が、当初の目的であったペシャワール城塞にようやく到着。
いよいよルシタニアへの反撃開始かと思いきや、歴戦の老将バフマンは何故か慎重論を主張。
さらに城内には銀仮面が出現してアルスラーンと対決、自らの正体を明かす。
そしてバフマンは自らを盾にアルスラーンを銀仮面の剣から庇い、アルスラーンの出生に関わる謎の言葉を残して絶命。
一方、隣国シンドゥラのラジェンドラ王子が大軍を率いてペシャワール城塞に迫る、という一つのお話の終わりであると同時にあらたな物語のはじまりであり、面白かった。

【双刀将軍キシュワード、アルスラーン一行を救う】
アルスラーン一行は、ペシャワール城塞めざして旅を続けていた。
一行はルシタニアの執拗な追撃を何度も撃退しながら着実に旅を続け、城塞までそう遠くないところまで到達していた。
だが、これはルシタニア側にとっても、待ち伏せする地点を特定しやすいということである。

今日もアルスラーン一行はルシタニアの大部隊の襲撃を受け、馬を走らせながら逃走をはかる。
すると前方にもルシタニア部隊が出現。アルスラーンたちを挟み撃ちにするつもりである。

ルシタニア側としては、アルスラーン一行は一騎当千の強者ぞろいではあるが、数に任せて取り囲み、殲滅するつもりのようである。

その時、崖の上にパルスの大部隊が出現、パルス部隊にはナルサスの姿もある。
そしてパルス部隊は、ルシタニア軍に襲いかかった。

パルス部隊を率いて戦うのは、万騎長キシュワードである。
キシュワードは左右の腕に一本ずつ、計二本の剣を振るってルシタニア部隊に突撃、次々と敵兵を斬り倒す。

ついにルシタニア部隊はアルスラーン一行の追撃を断念、撤退した。
撤退する敵軍を追撃しなかったのは、ペシャワール城塞の兵力の強さを生き残った敵兵たちに伝えさせ、抑止効果を狙うナルサスの策である。

ナルサスの駆る馬には、前回助けたゾット族族長の娘アルフリードも乗っている。
だがアルスラーンたちにしてみれば、謎の人物である。
アルスラーンが尋ねると、ナルサスの腰に手を回して馬に乗るアルフリードは、自らをナルサスの妻と名乗った。

これにダリューンたちは驚愕、特にエラムにはショックが大きいようである。

【アルスラーン一行、ペシャワール城塞に入城】
アルスラーン一行は、ペシャワール城塞に入城した。
すると兵たちは歓呼の声でアルスラーンを迎える。

そしてアルスラーンは、出迎えた万騎長キシュワードと万騎長バフマンに言う。
「パルスはこのペシャワールから反撃ののろしを上げる!力を貸してくれ!」

これにキシュワードとバフマンは膝をついて貴人への礼を執り、侵略者ルシタニアをパルスから追い払う戦いに力を尽くすことを誓うのである。

【ギーヴとアルスラーン】
アルスラーン一行は、城塞でようやく人心地ついていた。
城内には浴場もあり、ギーヴはひとっ風呂浴びるのだが、頭に浮かぶのは、ダリューンがファランギースとずっと一緒だったということである。
ギーヴにとってこれは大問題なようで、思わず口に出てしまう。
「面白くないのは…ずっとファランギース殿と一緒だったのが…俺ではなく、ダリューンだったことだ!」

するとアルスラーンが現れ、「それはすまなかった、ギーヴ」と詫びた。
アルスラーンはギーヴに一言礼を言いたくて、ここに来たのだという。

ギーヴは慌てて弁解するが、アルスラーンはギーヴの隣に座ると改めてギーヴに礼を言う。
湯上がりのためか、ギーヴは頬を赤らめてアルスラーンの感謝に恐縮するのだが、まんざらでも無さそうである。

【アルフリードとエラム】
アルフリードは、ナルサスの部屋を訪ねた。
が、ナルサスは見当たらず、荷物を解くエラムに尋ねると会議中だという。

するとアルフリードはエラムに、「じゃあさ、ナルサスのこと、教えてよ!」と屈託なく言う。
が、エラムはアルフリードをお前呼ばわりし、「ナルサスさまの好物も知らないくせに」と言い、アルフリードへの敵意を隠さない。

エラムとしては、これまで自分がナルサスの世話をしてきたのに、ナルサスのプライベートにずけずけと入り込もうとするアルフリードに対し、ナルサスを横取りしようとしているように思えて気に入らないというところであろうか。

【アルフリードとファランギース】
アルフリードは、ファランギースと同じ部屋にいた。
二人は女性ということで、城内では相部屋のようである。

エラムの態度にアルフリードは立腹してひとりごちる。
「なんだよアイツ!!!ナルサスのなんなんだよ」

ファランギースは矢を手入れしながら、アルフリードに言う。
「もしナルサス卿を好いておるのなら、妨げにならぬようにすることじゃ。
あの御仁は今のところ、女よりも一国を興すことに夢中になっている。
しばらくは見守ってやるのもよかろう?」

これにアルフリードは、新しい国なんか作ったって、新しい貴族と奴隷が出来るだけと言い、ナルサスの没頭する国づくりに否定的である。

だがファランギースは言う。
「お主のナルサスなら、それを克服するような道を見つけるかもしれぬぞ」

ファランギースの言葉をアルフリードは神妙に受け入れ、ナルサスと早く結婚したいという自分の希望を今は保留とし、今はナルサスのやりたいことを応援するつもりになったようである。
これはファランギースの言葉に、アルフリードへの優しさを感じたからだろう。

【アルスラーンとキシュワード】
アルスラーンはキシュワードに、ルシタニアを追い出したら奴隷の解放を行なうつもりであることを明かした。
アルスラーンは、キシュワードに熱心に訴える。
奴隷解放は困難な事業であること、だが事前に入念な準備を行い、国をあげて取り組めば可能であると。

キシュワードは、アルスラーンが深く考え、信念に基いて社会改革を行なう決意であることを理解した。
そして、個人的にはアルスラーンの事業に賛同する、しかし奴隷解放を掲げれば国内の諸侯の協力を得ることは難しくなると指摘する。
これはアルスラーンも分かっている。
それでもアルスラーンは揺らがない。
「パルスは、全く元通りという訳にはいかないだろう。前よりもこの国が良くなるのでなくては、戦う意味もない」

【ペシャワール城塞の軍議】
ペシャワール城塞では、万騎長キシュワード、万騎長バフマン、そして城将たちと、アルスラーン、ダリューン、ナルサスが参加しての軍議が開かれていた。議題は、ペシャワール城塞の兵力で挙兵し、ルシタニアをパルスから追い出す作戦についてである。
だがバフマンは、今は国内諸勢力の動向を見極めるべきと唱え、すぐに軍事行動を起こすことに反対する。

ナルサスは、バフマンの慎重論を嘲笑して言う。
「敵に後れを取ったこと無きバフマン殿なれど、老いとは酷いもの。ただ安楽に老後を送れればよいとお考えだろう。」

これにバフマンは激怒、退席してしまう。
だがナルサスは、バフマンは怒ったふりをして慎重論の理由を追求されることを回避したのだと指摘、バフマンに疑念を抱いている様子である。

一方バフマンは、旧友ヴァフリーズから受け取った書状を前に、思い悩んでいた。

【アルスラーンと銀仮面】
ペシャワール城塞の城壁、アルスラーンは一人、沈む夕陽を眺めながら、改めて思っていた。
幼いころは、自分が王子であることすら知らなかった。
それが王宮に上がり、王太子として暮らし、初陣で大敗して敗残の身となり、今はこんな辺境の地にいる。
あまりの運命の変転に、そして王太子として国を背負う重責に、まだ14歳のアルスラーンは心中でつぶやく。
「父上と母上を救い出し、国を平定するなど…私にできるのだろうか…」

その時、何者かが城壁に姿を見せた。
銀の仮面をかぶり、腰に剣を下げた若い男性である。
アルスラーンは彼が話に聞く銀仮面であることを悟った。

一方、銀仮面はアルスラーンに対し、激しい憎悪の炎を燃やしている。
銀仮面はアルスラーンの父アンドラゴラスを罵倒。
そしてアルスラーンを見て凶悪な笑みを浮かべる。
「すぐには殺さぬ。
まずは貴様の右手首を斬り落としてくれよう。
次に会ったときは左手首をもらう。
それでなお生きていたら、右の足首でも頂戴するとしようか。」

【アルスラーンVS銀仮面】
アルスラーンは剣を抜くと銀仮面に突撃。
が、銀仮面は軽くかわすと剣を振り下ろす。
アルスラーンはどうにか剣で受けとめるが、銀仮面の斬撃は速く、重い。
数合でアルスラーンは剣を弾き飛ばされてしまう。

銀仮面は予告どおり、アルスラーンの右手首を狙って剣を構える。
その時、アルスラーンは咄嗟に城壁の松明を掴み、悲鳴を上げながら振り回した。
恐怖に駆られての無我夢中の行動だが、銀仮面は炎に過去のトラウマがよみがえり、近づくことが出来ない。

この隙に、ファランギースが駆けつけ、銀仮面に矢を放つ。
銀仮面は剣で矢を弾くが、ファランギースは銀仮面の間合いに踏み込んで剣を振るう。

さらに、ナルサス、ダリューン、キシュワードが駆けつけ、銀仮面に剣を振るう。
だが銀仮面は、この最強クラスの三人を相手に剣を裁き、剣を振るい、全く危なげがない。

アルスラーンは銀仮面に叫ぶ。
「いま一度問う!お主は何者だ!」

すると銀仮面は不敵に笑って答える。
「俺は、先王オスロエスの子ヒルメス!」

そして銀仮面は、ナルサス、ダリューン、キシュワードの一瞬の隙を突いて囲みを突破、立ち塞がるファランギースをかわし、アルスラーンに必殺の突きを繰り出す。

その時、万騎長バフマンが銀仮面とアルスラーンの間に割って入る。
銀仮面の剣はバフマンを刺し貫く。

致命傷を負ったバフマンは微笑を浮かべて言う。
「お懐かしゅうございます、ヒルメス殿下」

実はバフマン、ヒルメスの剣の師匠である。
ヒルメスは少年の頃、バフマンにかなわず、何度も叩きのめされていたが、バフマンは厳しくも愛情深くヒルメスに稽古をつけていたようである。

ヒルメスは瀕死のバフマンに「なぜ邪魔をした」と問う。
なぜ恩師バフマンがアルスラーンを庇うのか、ヒルメスには理解できない。

するとバフマンは答える。
「我が友の願いは…アルスラーン殿下をお守りすること…どうか、お退き下さい…」

ヒルメスは、離脱を図る。
ダリューンはヒルメスを追撃して剣を振るう。

が、バフマンはダリューンを止めて叫ぶ。
「殺してはならん!あの方を殺せば、パルス王家の正当な血が絶えてしまう…」

バフマンの言葉にダリューンたちが驚愕する隙に、ヒルメスは逃げおおせた。

【シンドゥラ軍接近】
アルスラーンは、倒れたバフマンを抱きかかえる。
瀕死のバフマンは、アルスラーン詫びた。
「殿下…申し訳ございません。私は…友の言葉を受け止められず、おびえておりました…」

バフマンはアルスラーンに「よい王とおなり下され…」と言い残し、死んだ。

その時、伝令が駆け込み、隣国シンドゥラの軍勢が国境を突破しつつあることを報告した。
バフマンの死を悼む間もなく、アルスラーン一行には新たな危機が迫りつつあるようである。

一方、シンドゥラ軍を率いるラジェンドラ王子は不敵な笑みを浮かべ、心中でつぶやく。
「ガーデーヴィーめに先を越されてなるものか。
シンドゥラ国の歴史に不滅の名を刻むのは、この俺よ!」

【予告】
次回「奪還の刃」

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