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アルスラーン戦記 第14章「異国の王子」

  • 2015/07/12(日) 23:30:10

【感想概略】
原作小説既読であるが、読んだのがだいぶ前のことなのでかなり忘れており、毎回新鮮な気持ちで楽しんでいる。

今回は、「アルスラーン戦記」の名物キャラクターの一人、シンドゥラ国のラジェンドラ王子が大軍を率いて登場。パルス王太子の首をとるつもりがナルサスたちの捕虜にされ、アルスラーンと出会うお話であり、陽気で物事を自分の都合の良いように表現するラジェンドラ節が炸裂して面白かった。

また今回特に印象的だったセリフは、やはりラジェンドラの「こんなにかわいい大将だったか」であろう。アルスラーンの可愛さは周辺諸国に知れ渡っているということだろうか。
こうなったらナルサスは、アルスラーン軍団の旗印を「かわいいは正義」にすれば、味方が集めやすくなるかもしれない。

【シンドゥラ軍、パルスに侵攻】
東方要塞ペシャワールに、東方の大国シンドゥラ国の大軍が迫っていた。
シンドゥラ軍5万を率いるのは、ラジェンドラ王子である。
実はシンドゥラ国では、ラジェンドラ王子と兄・ガーデーヴィー王子が王位を巡って対立していた。ラジェンドラとしては、パルスが混乱する隙に乗じて東方要塞ペシャワールを占領し、軍事的成功によって王位継承争いを優位にしたいということのようである。

【ペシャワール城塞の軍議】
ペシャワール城塞では軍議を開き、アルスラーンはシンドゥラ軍を迎え撃つことを決定する。
そしてナルサスの策により、兵1万が出陣することとなった。

出陣前、アルスラーンはナルサスとダリューンに言う。
「私もやはり、出陣した方がよくないか?私だけ、ただここで座って待っているのでは申し訳が立たない。私にも、何かできることがあるはずだろう?」

するとナルサスは言う。
「今やあなたは、このペシャワールの数万の兵を束ねる身。いちいち御自ら戦場に出られる必要はありません。」

ダリューンも「今回は、我々にお任せ下さい。必ずや吉報をお届けしましょう」と言う。
アルスラーンはとナルサスとダリューンの言葉を受け入れ、やりやすいようにしてほしいと言い、二人を見送った。

ダリューンは、「本当に心優しいお方だ。だが、ただ優しいだけでは王にはなれぬ」と言い、難しい表情をしている。

だがナルサスは「そうかな?」という。
そして、「ああいうお方だからこそ、我々も兵たちも信じてついていける。一人くらいは、そんな王がいてもいいのではないか?」と笑う。

日頃の合理主義的な発言からは予想外と思えるナルサスの言葉に、ダリューンは少し意外そうな顔をすると「ふっ、確かにな」と笑い、アルスラーンに吉報を持ち帰ることを改めて心に誓うのである。

【パルス軍、出陣】
ペシャワール要塞を出陣したパルス軍1万は、ナルサスの作戦通りに行動を開始する。

馬を並べて進軍するダリューンはナルサスに問う。
シンドゥラ軍5万に対し、今回動員するパルス軍は1万。
寡兵を以って大兵を討つことは邪道ではないのかと。

これにナルサスは笑って言う。
シンドゥラ軍は、天の時、地の利、人の和を欠いている。だからこそあえて邪道でいくと。

【パルス軍VSシンドゥラ軍】
シンドゥラ軍はペシャワール要塞に向けて進軍、夜の山道を登っている。
だが季節は冬、しかも夜の山であり、雪がちらついており、かなり寒そうである。

するとシンドゥラ軍の眼前、坂の上に双刀将軍キシュワードの率いるパルス軍が出現した。
キシュワードは軍勢を率いてシンドゥラ軍に襲いかかり、敵兵を次々と斬り伏せていく。

シンドゥラ兵は常夏の南国育ちであり、この冬の雪山では肉体的にも精神的にもただでさえ苦しそうである。ラジェンドラは、せめて温暖な季節に攻めてくればまだマシだっただろう。

さらにパルス領はシンドゥラ兵にとっては不慣れな異国の地だが、パルス兵は細かな地形まで熟知している。パルス軍は地形を活用して兵を効率的に動かし、数に勝るはずのシンドゥラ軍を圧倒する。

だがラジェンドラ配下の兵は、苦戦しながらも戦場に踏みとどまり、決して戦意を失わない。どうやらラジェンドラは、兵たちには支持されているようである。
そしてラジェンドラは全軍に押し返すように命ずる。
ラジェンドラとしては、シンドゥラ軍は兵数は敵軍の5倍であり、数に任せて突撃すれば十分勝てるというところだろうか。

その時、戦場を見下ろす崖の上に松明を掲げた軍勢が出現した。
見ると、その軍にはシンドゥラ国第一王子ガーデーヴィーの旗が何本も翻っている。

ところがガーデーヴィーの軍旗を掲げる軍は、ラジェンドラ軍に向けて無数の矢を浴びせ始めた。
この軍勢、実はパルス軍が擬装したものだが、シンドゥラ側は誰も気付かない。

動揺するラジェンドラの軍勢で、流言が流れ始める。
「ガーデーヴィーの兵が迫ってきているぞ!」
「前に出たらパルス兵に殺されるぞ!」
流言を流しているのは、シンドゥラ兵に変装したアルフリードとエラムだが、シンドゥラ兵たちは流言を疑いもしない。

ついにラジェンドラ軍は瓦解、兵たちは逃げはじめた。

【ラジェンドラ捕縛】
必死に走るシンドゥラ軍だが、氷原を走っていると突然目の前に何本もの亀裂が走った。
そしてあちこちで地面が割れ、水面が顔を見せる。
シンドゥラ軍が走っていたのは凍った湖の上だったのだが、シンドゥラ側はこの季節に湖が氷結することを知らなかったようである。

さすがのラジェンドラも、5万の大軍があっという間に戦闘力を失う姿に茫然としている。
そこにナルサスとダリューンが出現。
ラジェンドラ王子と呼びかけ、返事がかえってくるとラジェンドラに襲い掛かる。
だがラジェンドラはなかなか腕が立つようで、ナルサスとダリューンの刃を逃れ、「次に会ったら生かしてはおかんぞ!」と捨て台詞を残して乗馬を走らせる。

だが次の瞬間、乗馬が矢を受けて倒れ、ラジェンドラは落馬。
そしてアルフリードが刃を突き付け、不敵に笑って言い放つ。
「動くと死ぬよ。シンドゥラの色男。」

【アルスラーンとラジェンドラ】
ペシャワール要塞の広間に、縛り上げられたラジェンドラ王子が引き据えられた。
だがラジェンドラは「いや~参った参った」と笑い、悪びれた様子がない。

そしてアルスラーンを見ると「聞いてはいたが、こんなにかわいい大将だったか」と面白そうに笑う。

アルスラーンは、「いささか乱暴でしたが、お話ししたいことがあってこのようにご招待いたしました」と言う。
するとラジェンドラは「ほう~、驚いたな。パルスでは縄で縛って引っ立てることを招待と言うのか?」と皮肉を言う。

これにアルスラーンが「これは大変失礼しました」と言うと、ダリューンが無言で剣を抜いて剣光一閃、ラジェンドラを戒める縄を両断した。
ラジェンドラは笑ってみせるが、顔が引きつっている。

【酒豪ファランギース】
アルスラーンは宴を開き、料理と酒でラジェンドラをもてなす。
「辺境の地ゆえ、大したおもてなしも出来ませんが」というアルスラーンだが、湯気を上げるパルス料理の数々はなかなか美味しそうである。

ラジェンドラは酒の美味なことに喜び、アルスラーンにも酒を勧める。
これには困った表情のアルスラーンだが、ファランギースがラジェンドラの隣に座り、相手をするという。

美女の出現に喜ぶラジェンドラだが、「お~っと。俺も混ぜてもらおうか」とギーヴが割って入った。
そして三人で飲み比べを開始。
ラジェンドラもギーヴも酒にはかなり強い自信があるようである。

だが、まずギーヴが酔いつぶれた。
そしてラジェンドラもかなり苦しそうだが、ファランギースは平然とした様子でぐいぐいと盃を干す。
これにラジェンドラは驚愕、「この俺が酔い潰せぬとは、侮れんな、パルスの女」と内心でつぶやく。そしてファランギースが酒を勧めてくると、曖昧に笑って遠慮するのであった。

【アルスラーン、ラジェンドラと同盟を結ぶ】
ファランギースの酒豪ぶりにタジタジとするラジェンドラに、アルスラーンが声をかけた。
そして「あなたと同盟を結びたい」という。

アルスラーンはラジェンドラに言う。
「まずは我々はあなたがシンドゥラの王位につけるよう、お手伝いいして差し上げましょう。」

これをラジェンドラは一笑、他国に大敗し、辺境に落ち延びた王子に何が出来るのかと笑う。

するとナルサスが不敵な笑みを浮かべて言う。
「すでにシンドゥラ国内には通達してしまいました。ラジェンドラ王子はパルス国のアルスラーン王太子との間に、友誼と正義に基づく盟約を結んだ、とね」

ラジェンドラは、既に自分がアルスラーン一味に利用されてしまっていることを理解した。
そもそもラジェンドラは、パルス領に攻め込んで大敗して捕虜になった身である。
ラジェンドラを生かすも殺すもアルスラーンの気分次第であり、ラジェンドラの身柄をガーデーヴィー王子に引き渡すことも出来る。ラジェンドラには、死にたくなければ断るという選択肢は無い。

だがラジェンドラはあくまで強気である。
大笑すると「このラジェンドラが、お主に力を貸してやる」と恩着せがましいことを言い、同盟を了解するのであった。

【出陣の朝】
そしてパルス暦320年12月。
アルスラーンは、ラジェンドラの軍勢ともに、シンドゥラに向けて出陣する。

出陣の朝。
アルスラーンは城塞のテラスから、中庭広場を見下ろす。
そこには、ラジェンドラ配下のシンドゥラ軍が整列し、命令を待っている。

そんなアルスラーンにラジェンドラは「どうだアルスラーン殿、俺の自慢の兵たちは」と声をかけ、アルスラーンの肩に馴れ馴れしく手を回し、「よろしく頼むぞ」と言って大笑する。

ダリューンは、そんなラジェンドラに険しい目を向け、「あの男、本当に信用していいものか…」とナルサスに言う。
ナルサスは、ラジェンドラのことを利用価値があると思っているようだが、ダリューンとしては斬り捨ててしまいたいようである。

一方、シンドゥラ国。
第一王子ガーデーヴィーは、ラジェンドラがアルスラーンと手を組んだことを知って激怒。
ラジェンドラを討つことを決意していた。

ガーデーヴィーを支えるのは、世襲宰相マヘーンドラである。
宰相マヘーンドラは、既にラジェンドラ軍中に、配下を忍ばせていると言い、何か策があるようである。


【予告】
次回「シンドゥラの黒豹」

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