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鉄砲隊と騎馬軍団 新説・長篠合戦(鈴木眞哉/洋泉社/2003/5/31)

  • 2007/09/17(月) 23:40:46

本書「鉄砲隊と騎馬軍団」は、長篠合戦は、従来言われているように足軽鉄砲隊と騎馬軍団の戦いであり、以後の戦いを一変させた『戦術革命』だったのかを、史料を検証し論考した本である。

【感想概略】
戦国時代、織田・徳川連合軍と武田軍との間で繰り広げられた長篠の戦いは、現代の日本では「武田騎馬軍団」と「織田家の鉄砲足軽隊による鉄砲三段撃ち」との戦いとして、有名である。

ところが本書によると、確実な史料を検証すると、実はこれらは明治以降に生まれた俗説であるという。
従来の通説が、確実な史料の検証により、次々と覆されていく内容は、おもしろかった。

【長篠の戦いへの素朴な疑問】
長篠の戦いでの鉄砲三段撃ちについては、個人的に不思議に思うことがあった。

長篠の戦い以後、信長の戦いでも、秀吉の天下統一戦争でも、関ヶ原の戦いでも、大阪の役でも、同じ戦法で勝った戦いを聞いたことがなく、依然として軍勢同士のぶつかり合いが語られることが多いからである。

【従来の通説は、当時の史料には見えず】
本書では、確実な史料にあたって、長篠の戦いを検証している。

すると、「武田騎馬軍団」や「鉄砲三段撃ち」などといった長篠合戦についての従来の通説は、史料的信憑性の低い軍記物語にしか記されていないという。

【騎兵部隊は、戦国大名家には存在し得ない】
合戦当時の史料によると、そもそも武田家には騎馬兵のみで構成された「騎馬軍団」などなく、騎兵突撃など行っていないという。

戦国時代、武田家に限らず各戦国大名家では、騎乗するのは身分がある程度高い者であった。だから、騎兵のみを集めて騎兵部隊を作るなど、そもそもできないことだったのである。

【鉄砲三段撃ちは後世の説】
そして当時の史料には、信長が「鉄砲三段撃ち」を行なったという記述は見られない。

「鉄砲三段撃ち」や「武田騎馬軍団の騎兵突撃」は、明治以降入ってきた西洋軍法の影響を受けてそのような解釈がでてきたらしいという。

【通説は俗説】
本書は当時の史料にあたり、長篠の戦いでは、鉄砲隊による騎兵部隊の突撃の制圧などそもそも行なわれておらず、それどころか「騎兵部隊」も戦国時代には存在し得なかったと検証している。

なぜ、長篠の戦い以後、同じ戦法で勝った戦いを聞いたことがなく、鉄砲隊が以後戦いの主力となったという話も聞かないのか。
長年個人的に不思議の思っていたが、本書からその答えの一つを知ることができた気がした。



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