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機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ 第28話「夜明け前の戦い」

  • 2016/10/17(月) 01:00:47

【感想概略】
今回は、鉄華団及びギャラルホルン石動部隊と大海賊団「夜明けの地平線団」が宇宙で激戦を繰り広げるお話である。
鉄華団と海賊団との知恵比べの面白さ、三日月とオルガの相変わらずの特別な絆、スペースデブリの少年兵の命を何とも思っていない海賊団の外道ぶり、ギャラルホルン内ではマクギリスの指揮する地球外縁軌道統制統合艦隊とラスタル・エリオンの率いるアリアンロッド艦隊が事実上それぞれ独立の勢力でありギャラルホルンは一枚岩ではない実態が描かれ、三日月の斬撃を受け止めるジュリエッタ・ジュリスの強さの一端が描かれ、面白かった。

【桜農場のクーデリアとクッキー、クラッカ】
今回のお話は、鉄華団とビスケットの祖母・桜子の共同経営する桜農場から始まる。この農場では、バイオ燃料用のトウモロコシを栽培している。
そして桜農場には、海賊団の目を逃れたクーデリアが避難していた。
そんなクーデリアに、ビスケットの双子の妹、クッキーとクラッカは栽培されているカボチャを見せ、これは三日月が育てたものであり、三日月は農場だけで食べていくことを目指してトウモロコシ以外の作物の栽培を試みているのだと言う。

かつて三日月は農場の経営が夢だといい、そのために文字を読めるようになりたいとクーデリアに文字を教わったが、三日月はオルガと共有する理想を実現するために戦うだけでなく、自分自身の夢に向かって少しずつ前進しているようである。

【鉄華団、ギャラルホルンの石動艦と合流】
火星付近の宇宙空間では、団長オルガの乗る強襲装甲艦イサリビ、ホタルビの鉄華団艦船二隻が、ギャラルホルンの戦艦一隻と合流した。ギャラルホルン艦を指揮するのは、マクギリスの副官、石動・カミーチェである。
オルガたちはギャラルホルン艦との合流が予定時刻より早いこと、そして艦船は5隻の予定なのに一隻であることを訝しみながらも、ユージン、メリビットを同行し、石動と対面した。

そこで石動はオルガたちに、エイハブウェーブの反応から現在「夜明けの地平線団」の艦船三隻が付近の宙域を航行中であることを探知し、その艦隊を海賊団の団長サンドバル・ロイターが率いていると思われること、そこで海賊団の戦力が集中するまえに叩きたいと考え、足の早い艦を先行させたので一隻なのだと説明した。

ユージンは、分散している敵を各個撃破することは戦いの基本だと言い、石動の提案に筋は通っていることは認めるが、ギャラルホルンの戦力が予定の五分の一であることに慎重な様子である。
そしてオルガは、ギャラルホルン艦も鉄華団の指揮下に入ることを条件に、石動の要請を受け入れた。

【オルガとメリビット】
メリビットはオルガの強攻策に賛成ではない。
だがメリビットは、犠牲が避けられないなら最短距離で理想を実現する、今回の場合はギャラルホルンを指揮下におければ手柄は自分たちのものというオルガの考えにも一理あると思っているようで、もはや反対はせず、作戦時間までに団員たちに交代で休息を取らせることを進言、オルガはこれを了承した。

するとメリビットはオルガに6時間の休息を言い渡した。
さらにメリビットは、意表を突かれて「はぁ?!」というオルガに、すでに36時間働いていることを指摘し、言うことを聞かせるのである。

【オルガと三日月とアトラ】
間もなくオルガはモビルスーツデッキを訪れて三日月に声をかけ、「休めって言われてヒマなんだよ」と正直に言うと、三日月は自分もなのだという。

今度も厳しい戦いが予測されるのだが、三日月は「オルガの道は俺が作るよ」と言って笑う。
するとオルガは右拳を三日月の左拳と軽くぶつけ合い、「頼りにしてるぜ、いつもどおりにな」と言って笑い合う。
そんな二人を物陰から見つめるアトラは「あそこには入れないな」とつぶやき、複雑な表情である。

【海賊団の策略】
作戦開始時間が迫る中、鉄華団の艦船では、エイハブウェーブの反応から敵艦は3隻ではなく10隻であることを感知した。何と海賊団は、エイハブリアクターを停止した7隻を3隻で牽引するという方法で艦船の数を誤魔化し、鉄華団の艦船をおびき寄せたのである。
一方、海賊団旗艦の艦橋で団長サンドバル・ロイターは「敵戦力の各個撃破は戦いの基本であろう」と凶悪な笑みを浮かべる。

そしてサンドバルは、鉄華団の強襲装甲艦イサリビのブリッジに通信し、降伏を勧告した。
だがオルガはこれを拒否、それどころか海賊団の戦力では鉄華団の相手をするには不十分だと挑発する。
サンドバルは激怒し、通信を切った。

【海賊団との戦闘開始】
海賊団は10隻の艦船を中央艦隊、右翼艦隊、左翼艦隊の三艦隊に分けており、その作戦は、鉄華団及びギャラルホルン艦船の包囲殲滅である。
これに対し、オルガは艦隊の指揮をユージンに任せ、三日月の駆るバルバトスの出撃を指示、包囲される前に中央突破を目指すのである。

鉄華団側では三日月の駆るバルバトスが先陣を切って出撃。
敵モビルスーツの群れに斬り込み、敵機を次々と撃破していく。

続いて昭弘の駆るグシオンリベイクフルシティが配下のモビルスーツ二番隊を率いて出撃。
グシオンリベイクは四本の腕それぞれでモビルスーツ用ライフルを構えて砲撃、敵機に確実に打撃を与えていく。

さらにシノの駆る流星号がモビルスーツ一番隊を率いて出撃。
敵機と斬り結び、ダンテの駆る獅電が加勢して敵機に止めを刺す。

ギャラルホルンの石動もシュヴァルベ・グレイズで参戦。
操縦の難しい高性能機を巧みに操り、三日月のバルバトスを援護して敵機を撃破する。
鉄華団のモビルスーツ隊は、数で勝る海賊団のモビルスーツ隊を圧倒、敵機の数を確実に減らしていき、敵を鉄華団艦船に近づけない。

そしてユージンは阿頼耶識システムでイサリビとホタルビを操艦。
ナノミラーチャフを射出して敵の目を眩まし、膨大な情報のフィードバックによる負荷で鼻血を流しながらも敵艦隊の中央を突破。
そのまま敵の左翼艦隊に突撃、猛攻を浴びせ、敵艦三隻を戦闘不能に陥れた。

【鉄華団側モビルスーツ、大兵力相手に消耗が蓄積】
鉄華団は阿頼耶識による艦船の高機動運動により海賊艦隊を撹乱して敵戦力を分断、敵艦及び敵モビルスーツ隊を各個撃破し、確実に敵戦力を削り取っていく。
とはいえ、戦艦もモビルスーツも通常は一撃で撃破できるものではなく、一機一機をそれぞれ撃破するまで腰を据えて戦う必要がある。

長引く戦いに、鉄華団のモビルスーツには弾を撃ち尽くすものが現れ始めた。
弾を撃ち尽くした昭弘のグシオンリベイクに海賊団のモビルスーツが襲いかかる。
が、グシオンリベイクは巨大なペンチを取り出すと敵モビルスーツの腕もろとも上半身を挟み、そのまま怪力で締め上げ始めた。このままいけば敵機はパイロットもろとも真っ二つである。
だが昭弘は敵機からの降伏信号を検知、思わず「またかよ」と舌打ちする。

するとラフタ機から通信が入り、敵機は武装解除してその辺に転がしておくよう、そして昭弘は補給に戻るよう言い渡した。
これに昭弘は、自分はまだ平気だと抗議する。
が、ラフタとアジーは昭弘が根性で無理をして非合理な戦いをすることを許さず、ここは自分たちが保たせると言い、昭弘は補給に戻るのである。
補給と休息の重要性を理解しているラフタとアジーは、鉄華団では重要な存在だろう。

だが、大兵力を相手に激戦を繰り広げる鉄華団側モビルスーツのダメージはやはり大きいようで、グシオンリベイクもライド機も整備に時間がかかり、なかなか戦線に復帰できない。

【海賊団、外道モビルスーツ出撃】
海賊団の旗艦では、団長サンドバルは、モビルスーツ隊では一般兵よりヒューマンデブリの少年兵たちの方が敢闘することに複雑な様子である。
サンドバルの副官は、スペースデブリたちには降伏を許していない、彼らに帰る場所はなく、だから必死なのだと当たり前のように言う。
サンドバルは、膠着する戦況に「奴らに本物の海賊ってもんを教えてやれ」と両脇に立つ二人の副官に言う。
するとこの二人は「了解」と不敵な笑みを浮かべ、モビルスーツ「ユーゴー」で出撃するのである。

【海賊団のモビルスーツ、シノたちを翻弄】
流星号を駆るシノは、三日月の駆るバルバトスを補給に戻らせ、自分たち一番隊が守りについた。
その時、海賊団のモビルスーツ、ユーゴー2機が飛来した。
このユーゴーは、両方の太ももにクローを射出するアンカークローを装備し、足首がクローになっており、背中には大型の円月刀を装備している。
ユーゴーはダンテ機にアンカークローを射出、右腕を絡め取って動きを封じ、即座に間合いに踏み込んで攻撃を繰り出す。

ダンテ機はシノの指示で腕を切り離して何とか攻撃をかわす。
そしてシノは、初めて見るタイプの機体を警戒し、態勢を立て直すため、一番隊を率いて一時後退するのである。

一方、バルバトスはイサリビに帰還すると推進剤と弾薬の補充を受け、三日月はアトラから弁当を受け取って食事を取っていた。補給する新兵ハッシュは、バルバトスが一番激しく動いているのに一番推進剤の減りが少ないことに驚愕するのである。

【アリアンロッド艦隊、戦闘に乱入】
海賊団では、ギャラルホルンの新手の艦船5隻から砲撃を受けていた。
ラスタル・エリオンの率いるアリアンロッド艦隊である。

一方アリアンロッド艦隊では、交戦中の艦隊のうち、一隻はギャラルホルンの地球外縁軌道統制統合艦隊の艦船、二隻は民間組織の艦船であることを確認していた。

アリアンロッド艦隊の旗艦でラスタルは部下から、民間組織は鉄華団との報告を受け、マクギリスとつながりがあるという噂は本当のようだと確信していた。
すると、ラスタルの脇に立つ仮面の男は鉄華団の名に反応すると、執務室を出ていってしまった。
そして仮面の男は、モビルスーツデッキのガンダムタイプと思われる機体の前に立ち、「待っていろ…マクギリス」とつぶやくのであるが、その声はガエリオに思える。

【ジュリエッタ・ジュリス出撃】
アリアンロッド艦隊で一隊を率いるイオク・クジャンは民間組織の艦船に首をかしげながらも、自らモビルスーツで出撃しようと指揮官席を立ち、モビルスーツデッキに向かう。

これに部下たちは、指揮官自ら戦うことを思いとどまらせようとする。
だがイオクは、敵を全力で叩き潰すのがクジャン家の教えだと不敵に笑い、部下の制止など全く気にしていない様子である。

一方、ジュリエッタ・ジュリスは、イオクを戦場で必ず守るつもりであり、「お守りは私がしますのでさっさと出してください。彼らに先を越されます」と言い、自らはモビルスーツ「レギンレイズ」を駆り、ラスタルのために戦うのだと言いながら出撃した。

【海賊団の団長サンドバル、自ら出撃】
海賊団の旗艦では、アリアンロッド艦隊が参戦してきたことに団長サンドバルが激怒していた。
サンドバルの価値観では、ギャラルホルンに援軍を頼むというのは卑怯ということのようである。

そしてサンドバルは自らモビルスーツで出撃することを決意した。
海賊団の艦隊を逃がすため自ら囮になるつもりならば、敵ながら天晴であるが、何か策があるのだろうか。

一方鉄華団側もアリアンロッド艦隊から出撃したモビルスーツが自分たちを攻撃してくることに困惑し、石動・カミーチェに問合せた。
そして石動から、アリアンロッド艦隊は石動とは命令系統が異なる部隊であることを知らされ、石動の目的はアリアンロッド艦隊が来る前に海賊団のボスの身柄を確保することだったのだと理解するのである。
オルガは鉄華団に、ギャラルホルンのモビルスーツとはなるべく戦闘を避けるように指示するが、思わぬ事態にやり辛そうである。

その時、海賊団の団長サンドバルがモビルスーツ「ユーゴー」で出撃した。
サンドバルの駆るユーゴーは、ギャラルホルンのモビルスーツに襲いかかると脚部クローで敵機を捕らえ、両手に一本ずつ握る円月刀を振り下ろし、敵機の両腕を斬り飛ばした。

サンドバルは通信機ごしに大音声で「聞け!夜明けの地平線団に刃向かう愚かなる者たちよ!これが貴様らの末路である!!」と吼えながら円月刀を振り下ろしてギャラルホルン機に止めを刺す。
そして「命を捨てる覚悟のある者だけ、かかってこい!」と叫び、敵を求めて戦場を飛翔するのである。

オルガは「やっちまえ、ミカ!」と叫び、三日月はバルバトスで両手にツインメイスを握り、サンドバル機を目指して突撃する。
その時、ジュリエッタ・ジュリスの駆るレギンレイズがバルバトスの前に立ち塞がり、バルバトスのツインメイスを刀剣で受け止め、接触通信で「これは…私の獲物です」と淡々と言う。
これに三日月は「邪魔だな…あんた」と言い、バルバトスの目が光るのであった。

【予告】
次回「出世の引き金」

次回、まずは三日月とジュリエッタ・ジュリスの戦いはどうなるのか、サンドバルの身柄は誰が確保するのか、三つ巴の戦いの行方はどうなるのかに注目したい。

機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ 第27話「嫉心の渦中で」

  • 2016/10/09(日) 23:41:55

【感想概略】
今回は、冒頭では迫力あるモビルスーツ戦が描かれ、クーデリアと三日月、アトラとの再会が描かれ、大海賊団と敵対してしまうが理想に最短距離で近づくために戦いを決意するオルガの苦悩と覚悟が描かれ、鉄華団地球支部の古参メンバーと新入メンバー及びアーブラウ将兵との対立が描かれ、活動家ギョウジャンを手駒とする大富豪ノブリスの暗躍が描かれ、新兵ハッシュ・ミディが三日月と阿頼耶識に強いこだわりをもつ事情が描かれ、火星に勢力を拡大するため鉄華団に協力を要請するマクギリスの策略と、それを知りながらあえて海賊討伐に協力するラスタル・エリオンたちの内情の一端が描かれ、面白かった。

【三日月たち、海賊団を退ける】
前回、クーデリアたちの視察するハーフメタル採掘場を海賊「夜明けの地平線」団がモビルワーカーの大群及びモビルスーツで襲撃した。
クーデリアを警護する鉄華団は、モビルワーカーとシノたちの駆るモビルスーツ3機で応戦、敵を採掘場に近づけない。
が、敵のモビルスーツ別働隊が出現、採掘場に接近する。
その時、大気圏からシャトルが飛来、高高度から三日月の駆るバルバトスが飛び降りて着地、ソードメイスを抜くと敵モビルスーツ一機に斬撃を浴びせて撃破した。

そして今回、三日月はバルバトスで瞬時に敵機の間合いに踏み込んでソードメイスで弱点を一撃する戦法でさらに二機を撃破した。
三日月を産廃よばわりしていた新兵ハッシュはその圧倒的な強さに驚愕。
すると彼より一ヶ月先輩の巨体の整備兵デインは言う。バルバトスに阿頼耶識でつながった三日月は特別なのだと。

そして海賊団はバルバトスの加わった鉄華団を相手にするには戦力不足と判断し、撤退した。
シノたちはモビルスーツで追撃しようとするが、高高度からの着地という無茶な使い方をしたためかバルバトスが動かなくなってしまったので追撃は断念された。

【オルガとユージンとクーデリア】
オルガ、副団長ユージン、そしてクーデリアは苦悩していた。
大海賊団「夜明けの地平線団」に鉄華団が目をつけられてしまったからである。
クーデリアはひとまず桜農園に避難することになったが、オルガもユージンも「夜明けの地平線団」とまともにやりあって勝てる算段が思い付かない。
だがオルガは、遠くない未来に戦うことは避けられない、不可能を可能にしなければ鉄華団は終了だと覚悟を決めている様子である。

【クーデリア、三日月とアトラと再会】
クーデリアはオルガたちと鉄華団の本部に移動、三日月と再会した。
クーデリアは「お久しぶりです」と微笑み、三日月は「うん、久しぶり」と相変わらず素っ気ないが、これでも喜んでいるのだろう。
そこにアトラが現れ、クーデリアとの再会を喜ぶとブレスレットを渡した。それは三日月、アトラと同じものであり、アトラは「三人おそろい!いつでも一緒だよ」と笑う。
そしてクーデリアは、三日月の世話を焼くアトラの姿に好ましい笑みを浮かべる。
この三人の現在の関係は、親友同士というところだろうか。

【ユージン、トドと再会】
鉄華団の基地に、ちょび髭の中年男が訪れた。
かつてオルガたちを裏切って鉄華団を追放され、現在はマクギリスの部下となっているトドである。

応対するユージンは、トドの図々しさ、厚かましさにかなりムカついているようで「ああ~殺してぇ」とつぶやくが、トドは全く気にせず、「喜ぶ知らせがちゃ~んとあるだぜ、うちのボスからな」と胡散臭い笑顔で要件を切り出した。

【マクギリス、オルガに海賊団討伐を依頼】
トドの要件、それはマクギリスからオルガへの通信を取り持つことであった。
オルガはマクギリスと通信するが、「夜明けの地平線団」とのトラブルにどう対応するかで頭が痛いようで、忙しいのに何を依頼されるのかとその表情は引きつっている。

だがマクギリスから「夜明けの地平線団」討伐を切り出されると、マクギリスが鉄華団の状況を詳しく把握していることに舌をまき、そして海賊討伐を了承した。
オルガは、マクギリスを信用していないことを隠さないのだが、それでも引き受けることにマクギリスは「疑いながら、なぜ?」と尋ねる。するとオルガは「最短で目的にたどり着くために」と言うのである。

【オルガ、マクマードに海賊退治を申し出る】
オルガは通信で、テイワズ執務室のマクマード・バリストンに「夜明けの地平線団」討伐を提案、航路を脅かす海賊の排除、またテイワズ製モビルスーツのデモンストレーションにもなるとメリットを訴えると、マクマードはこれを了承した。

執務室に同席していたテイワズ専務取締役ジャスレイ・ドノミコルスは、マクマードが鉄華団に寛容だと不満を隠さない。
だがマクマードに「ならお前が行くか?」と言われると、焦った様子で「海賊なんてゴリゴリした奴らを相手にするのは、下の奴らで十分です…」と答え、「なら、文句はねえだろう」と言われるのであった。

【鉄華団地球支部の不協和音】
地球の鉄華団地球支部では、古参少年兵と新規メンバーとの間で不協和音が発生していた。
監査役ラディーチェ・リロトは、鉄華団火星本部が「夜明けの地平線団」との戦いのため、モビルスーツを始めとする物資の支援を求めてきたことに、地球支部の現状が分かっていないと不満であり、まとめ役のチャド・ダーンに再考を求める。
するとチャドは、鉄華団は一つなのだ、自分たちはオルガにどこまでもついていくと言い、理解を求めるが、ラディーチェは全く納得できない。

これは、火星本部が求める支援は、地球支部の任務に支障をきたすほどのものであり、もしアーブラウが軍事的危機にさらされたら契約通りの対応が出来ないかもしれないのだが、チャドたちは「オルガについていく」ということを行動の絶対的根拠とし、戦力不足は「頑張って」補えば良いと思っており、これがラディーチェには納得できないということに思える。

チャドは、地球支部の戦力を引き抜いても海賊団と戦わざるをえない鉄華団の状況をラディーチェに具体的に説明し、ラディーチェも何が問題なのかをチャドに説明すれば、もう少し互いに理解しあうことが出来ると思うのだが、今後どうなるのか、注目したい。

【タカキとアストン】
地球支部の実戦部隊では、元ブルワーズの少年兵アストンがアーブラウ正規兵たちに「ここでは鉄華団のやり方に従ってもらう」とぶっきらぼうに言い、これにアーブラウ兵が腹を立て、タカキが間に入って何とか収めていた。

この後、タカキは妹フウカと暮らすアパートにアストンを招き、フウカの夕食を振る舞う。
怒られるかと思ったというアストンにタカキは、アーブラウ正規兵たちにもプライドがあるのだと言い、例え鉄華団が教える側であっても相手の自尊心を尊重して接するよう諭す。

ブルワーズでは奴隷として戦いに駆り出され、ろくな食事を与えられず、長らく優しくされたことのなかったアストンは、アストンの自尊心を尊重するタカキの優しさ、タカキとフウカの温かな関係に、何かを感じている様子である。

【ハッシュ、モビルスーツの搭乗を申し出る】
鉄華団の火星本部の食堂、アトラたちと夕食中の雪之丞に、新兵ハッシュはモビルスーツに乗せてほしい、必要ならば阿頼耶識の手術も受けると申し出た。

これに雪之丞は、17歳のハッシュは阿頼耶識の手術を受けることは出来ないと言う。
そしてアトラは、阿頼耶識の手術は下手をすれば死んでしまうと言い、ハッシュの前に立ち塞がり、強行に反対する。

ハッシュはアトラに苛立ち、払いのけようと腕を振り上げるが、その腕を三日月が掴んだ。
三日月は「これは、何?」と言いながら腕に力を入れていくと、ハッシュは激痛に苦しみ始める。そしてアトラにとりなされ、雪之丞にそのくらいにするようなだめられ、ようやく腕を離し、アトラがいじめらられているのかと思ったと言い、ハッシュにゴメンと一言詫びるのであった。

【ハッシュの過去】
鉄華団基地の外れに一人でいるハッシュに、巨体の整備兵デインが声をかけ、死ぬのは怖くないのかと尋ねた。するとハッシュは死ぬことは怖いが、それ以上に怖いことがあると言い、過去を語り始めた。

元々ハッシュはスラム街の孤児で、同じ孤児たちと肩を寄せ合って日銭を稼いで暮らしていた。そんなハッシュたちの兄貴分がビルス少年であり、ビルスはハッシュたちにもっと楽をさせたいとCGSに入隊した。
だが間もなく、腰から下が動かなくなったビルスが帰ってきた。
阿頼耶識の手術に失敗したのだという。

ハッシュは寝たきりのビルスの世話をし、明るく接し、ビルスはすげえんだ、特別なんだと言い、すぐによくなると元気づけた。
だがビルスは、自分より小さな少年は阿頼耶識の手術を三回受けても大丈夫だったが自分はだめだった、自分は特別などではなかったと言い、「こんなお荷物に、産廃になっちまってごめんな…」と詫び、自ら命を絶った。

そしてハッシュはデインに言う。
「だから俺が次のビルスにならなきゃなんねえんだ。俺は絶対にモビルスーツに乗ってみせる。そして三日月・オーガスを超えて見せる。」

【アリアンロッド艦隊、火星へ】
ラスタル・エリオン率いるギャラルホルンのアリアンロッド艦隊は、火星に向かって航行していた。マクギリスの申し出た火星の海賊退治に参加するためである。
艦船ブリッジのイオク・クジャンは、火星で海賊相手に戦うことになるとはとつぶやき、不満そうである。
すると脇に控えるパイロット、ジュリエッタ・ジュリスは、「ご安心下さい。イオク様は私が守ります」と言い、イオクには何の思い入れもないが、ラスタルの恩義に報いるため、必ず守ると言う。

一方、ラスタルはモビルスーツデッキで、仮面の男に情報提供の礼を言う。
すると仮面の男は、ラスタルに答えるかわりに、仮面の目のあたりがギラリと光るのであった。

【予告】
次回「夜明け前の戦い」

次回は、まずは圧倒的大兵力の海賊団と鉄華団との戦いに期待したい。

機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ 第26話「新しい血」

  • 2016/10/02(日) 21:57:14

【感想概略】
今回は半年ぶりに再開した「鉄血のオルフェンズ」の再開一話目である。
物語の時期は、鉄華団がクーデリアを地球のエドモントンに送り届けた戦いから数ヶ月は経っていると思われるが、三日月、オルガ、クーデリアなどなどおなじみのキャラクターは相変わらずなところと少し成長したところが描かれ、それぞれ見せ場があり、ククビータ・ウーグ、ラスタル・エリオン、ジュリエッタ・ジュリスなどなど新キャラクターたちそれぞれの人間性の一端が描かれ、そしてクーデリアと鉄華団によって厄祭戦以来300年間停滞していた世界が良くも悪くも変わりつつあるところが描かれ、面白かった。

物語はアトラのナレーションにより、エドモントンの戦いの後、世界がどのように変わったのか語られた。
鉄華団は名を挙げて急成長したが、ギャラルホルンの社会的信用が低下して武装集団による抗争が激化し治安は悪化した。
また鉄華団の活躍により少年兵の有用性が注目されて子供が戦場にいっそうかりたてられるようになり、モビルスーツの有用性も注目され、厄祭戦でスクラップになった機体の回収修理が進められてモビルスーツの稼働数が急速に増加、世界は不安定化し、子供が戦わされる状況は依然として続いている、と。

アトラは世界の現状と問題点を冷静に分析し、そしてクーデリアの活動の意義も認識しており、並の大人より社会意識はよほど高いように思える。
これは第一期で鉄華団とクーデリアと地球へ旅して世界の現状を目の当たりにし、日々クーデリアと接することでアトラも変わったということなのだと思う。すっかり聡明になったアトラの今後の活躍についても注目したい。

また、オープニングの仮面の男が気になるところである。

【オルガと三日月】
物語は火星の大地、広大な農場を見下ろす丘の上、三日月とオルガから始まる。
この丘には、これまでの戦いで散っていった鉄華団のメンバーたちの名前を刻んだ石碑が建てられており、ビスケットの名前も見える。この農場は、鉄華団とビスケットの祖母・桜子が共同で経営しているのだが、鉄華団の財政を支えるには程遠い。

オルガは、最終的にはまっとうな商売だけで仲間たちと行き場が無くて鉄華団にやってくる人々の生活が成り立つようにするという目標を語り、そして目標実現のため、どうせ犠牲が避けられないのであれば最短距離で突っ走ると、危険であっても利益の大きな仕事を集中的に行なうという決意を語る。

だがそうは言ってもオルガは完全に割り切ることなどできず、ビスケットならば止めただろうかとつぶやく。そんなオルガを三日月は受け止め、どこまでもオルガについていくという。相変わらず格別な絆で結ばれた三日月とオルガである。

【オルガ、社長業に奮闘】
鉄華団は、クーデリアをギャラルホルンの猛攻から守ってエドモントンに送り届ける大仕事を果たして名を挙げ、急成長し、テイワズの直系組織となり、アーブラウの軍事顧問も務め、地球に支部を置くまでになっていた。

オルガは大きくなった鉄華団の団長として経理についても目を通し、社長業を懸命にこなしている。そんなオルガをメリビットと経理担当デクスターは、以前は椅子に座っていることすらつらそうだったのにとオルガの頑張りを暖かく見守るのである。

【クーデリア、アドモス商会で奮闘】
クーデリアは、アーブラウとのハーフメタル利権の交渉を成功させるという偉業を成し遂げると火星に戻り、ハーフメタルの一次加工と流通を取りまとめるアドモス商会を起業し、未就労者の支援と火星の経済的独立のため、実際的行動に取り組んでいた。社名が亡きフミタンの姓であることに、フミタンをいかに大事に思っているかが伺える。

そんなクーデリアの事務所を、活動家アリウム・ギョウジャンが訪れた。
ギョウジャンは、クーデリアの思想は自分の影響を受けたものと主張し、クーデリアを活動家の集会に引っ張り出して、彼女の名声を利用して自分の名を高めようと画策する。
クーデリアはやんわりと断ろうとするが、ギョウジャンはしつこく食い下がり、クーデリアのハーフメタル採掘場の視察についても知っていると明かし、「お手伝いしましょう」などと恥知らずなことを言い出し、クーデリアに寄生して利用する気全開である。

そんなギョウジャンを牽制するのが、アドモス商会の秘書兼事務員、ククビータ・ウーグである。
ククビータは恰幅の良い、堂々とした女性であり、邪心丸出しのギョウジャンからクーデリアを守ろうとするが、ギョウジャンはククビータを露骨に見下し、引き下がらない。

これにクーデリアは、今の自分に特定の思想は必要ないと言い、ギョウジャンの依頼を明確に断り、退けた。
ククビータはクーデリアを気遣い、ギョウジャンの小物ぶりと品性下劣さを批判する。
が、クーデリアはギョウジャンに機密であるはずのハーフメタル採掘場視察のことが洩れていたことに危険性を感じ、鉄華団に警護を依頼するのである。

【シノとユージンと新兵】
鉄華団は新規募集によって兵員を増やし、テイワズの支援によってモビルスーツも増強していた。
シノは教官として新兵たちを厳しく鍛えるが、新兵たちは恨みがましい様子である。
ユージンはシノに、やりすぎるとかつての一軍の古参兵たちと同じになってしまうと冗談めかして言う。
するとシノは、十分訓練を積まずに実戦に出して死なれては寝覚めが悪いと言い、憎まれ役は自分だけで十分でありお前は新兵たちに優しくしてやれとユージンに笑う。

ユージンもまた、訓練の厳しさや阿頼耶識の手術を受けさせないことに不平を洩らす新兵たちに、そんな危険な手術に頼らなくて良い世の中をオルガは皆で作ろうとしているのだと言い、新兵たちを優しく諭す。
ユージンもシノも、オルガが団長として苦手なことにも頑張っている姿に、自分たちも役割を果たそうとモチベーションが高まっている様子である。

だが新兵たちは、阿頼耶識の手術の危険性を聞かされてもピンとこず、阿頼耶識があればモビルスーツもモビルワーカーも大した訓練なしに楽に操縦できるのにと納得できない表情である。

特に新兵のハッシュ・ミディは、格納庫でごろ寝している三日月がモビルスーツ戦で高く評価されていることが不可解であり、三日月を産廃呼ばわりするが、ヤマギには聞こえており、「俺に聞こえないところで言ってね」とやんわりと注意されるのである。

そんな三日月にオルガは、整備士・雪之丞と、テイワズで改修中のバルバトスの受け取りに行くことを依頼する。オルガとしては、クーデリアの警護に三日月のバルバトスも参加してほしいのだが、行き帰りにかかる時間を考えると厳しく、苦しそうである。
だが三日月は命令ならばと快諾するのである。

【マクギリスとラスタル・エリオン】
地球では、ギャラルホルンを支配する名家、セブンスターズの会議が開かれていた。
マクギリスはイズナリオ失脚後にファリド家を掌握、さらにカルタ・イシュー亡き後の地球外縁軌道統制統合艦隊の司令官に就任、この会議にファリド家代表として参加していた。

そしてマクギリスは、現在火星の治安が悪化しているのは、自分が監査局の任務でギャラルホルン火星支部の汚職を暴いたことで火星支部が弱体化したためであり、不正をただすためとはいえ責任を感じているといい、地球外縁軌道統制統合艦隊で火星の秩序回復を図ることを申し出る。

これにクジャン家の若き当主イオクは、火星は月外縁軌道統合艦隊の管轄であり、地球外縁軌道統制統合艦隊が火星で活動することは問題と異を唱える。
が、エリオン家当主であり月外縁軌道統合艦隊の司令であるラスタルは、世界の秩序を保つことこそギャラルホルンの本分であり、マクギリスの前向きさと行動力を称え、マクギリスの申し出に賛成、会議で了承されるのである。

会議が終わり、並んで歩くラスタルとクジャンだが、クジャンは不満げである。
そんな二人を待っていたのはパイロット、ジュリエッタ・ジュリスである。
ジュリエッタはクジャンの表情を見て会議の結果を推測し、おもしろそうである。
するとラスタルは、マクギリスが火星への勢力拡大を画策していることには気付いていることを明かして笑う。このラスタルの豪快さにクジャンも感服の様子である。

【海賊のモビルスーツ隊、採掘場を襲撃】
クーデリアは各植民地の人々とハーフメタル採掘場を訪れ、滞りなく案内と視察を行い、残る日程はあと一日である。
鉄華団の新兵たちはこれが初陣であるが、何もおこらない警護任務に退屈そうである。

その時、ハーフメタル採掘場にモビルワーカーの大群が突撃してきた。
宇宙海賊「夜明けの地平線団」の襲撃であり、クーデリアに断られた活動家ギョウジャンの手引である。
この「夜明けの地平線団」は、艦艇10隻、構成員2500人以上という大きな組織であり、テイワズも手を焼くほどだという。

鉄華団は直ちにモビルワーカー隊で敵を迎撃。
すると敵は重装甲のモビルスーツ「ガルム・ロディ」複数を投入してきた。

鉄華団の古参少年兵たちは、モビルワーカーで敵モビルスーツに応戦、新兵たちはモビルワーカーでモビルスーツと戦えるわけがないと動揺するが、まだ声変わりもしていない先輩少年兵はやるしかないと、自分より年上の新兵たちを叱咤する。
シノ、ダンテ、デルマはモビルスーツ「獅電」で応戦。
重装甲に苦戦しながらも敵機を撃破していくが、敵モビルスーツの別働隊が出現、採掘場へ急接近していく。

その時、成層圏からシャトルが飛来、大気圏突入して姿を表した。
バルバトスを搭載したテイワズのシャトルである。

そしてシャトルの格納庫が開くと三日月の駆るバルバトスが離脱し猛スピードで降下、着地、敵機にソードメイスを振り下ろし、撃破した。
これぞ、バルバトスをテイワズの技術で改修強化した「バルバトスルプス」である。

【予告】
次回「嫉心の渦中で」

風邪

  • 2016/04/03(日) 21:31:53

昨日夕方に身体がだるくなり、悪寒がしてきた。熱は当初は36.2度と平熱だったが短期間のうちに37.3度(自分としては高い方)になった。だるくてとても何かできる状態ではなく、昨日夕方から本日夕方まで市販の薬を飲んでほとんど寝ていた。幸いにして熱は36.5度まで下がり、だるさはまだ残っているが、悪寒は感じなくなった。
風邪で寝込むことは2009年10月以来のことであり、何が原因かよく分からないのだが、仕事の疲れがたまっていて抵抗力が低下していたというのはあると思う。
そんな訳なのでガンダムユニコーンは視聴出来ていないのだが、明日以降に録画を視聴するのが楽しみでやる。

機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ 第25話「鉄華団」

  • 2016/03/28(月) 04:33:25

【感想概略】
今回は、鉄華団及びクーデリアの戦いに一つの決着がつくお話である。見応えがあり、面白かった。
モビルスーツ戦では、バルバトスとグレイズアインが激戦を繰り広げ、戦闘の駆け引き、そして阿頼耶識ならでは凄みと危険さに迫力があり、まさに阿頼耶識搭載機どうしの頂上決戦を堪能させてもらった。
また前回大打撃を受けていたライド・マッス、シノ、そしてラフタとアジーが無事だったことにはほっとした。
その一方で、ガエリオがマクギリス本人の口から裏切りを明かされ、マクギリスの手で退場したことはショックだった。
そしてアインが、クランクを奪ったものへの復讐心と憎悪が暴走したまま引導を渡されたのは、もはや止むを得ないとは思うが、気の毒に思った。
三日月は、バルバトスとのフィードバックを高めたことで右目と右腕に後遺症が残ったが、表面的にはあまり気にしたそぶりをみせないのだが、これほどメンタルの強い主人公は珍しい気がする。この不屈ぶりには「青の騎士ベルゼルガ物語」のケイン・マクドガルを思い出した。

物語は一区切りであるが、300年間停滞していた世界は今回の鉄華団の初仕事とクーデリアの行動によって大きく動き出しつつあり、世界は変革はまさにこれからである。
クーデリアの革命の行方、マクギリスの野望の行方、マクマード・バリストンとノブリス・ゴルドンそれぞれの野望の行方、そして三日月とオルガ、鉄華団はどこにたどり着くのか、秋からの第二期が楽しみである。

【オルガたち、議事堂へ向かう】
前回、鉄華団は蒔苗をアーブラウ最高議会に送り届けるため、部隊の大半が囮となってギャラルホルン部隊を猛攻、敵部隊を引きつけ、この隙にオルガの指揮する少数の選抜隊が蒔苗とクーデリアを守ってエドモントン市内に突入した。

だがアインの駆るグレイズアインが市内に突入し、クーデリアたちの前に立ち塞がる。
グレイズアインの身長は通常のモビルスーツの1.5倍はあり、巨体に似合わぬ俊敏さでモビルワーカーの不意打ちをあっさり見破って返り討ちにした。
アインは、クランクを失った原因はクーデリアと決めつけ、クーデリアにグレイズアインで斧を振り下ろす。その時、三日月がバルバトスで駆けつけ、レンチメイスでグレイズアインの巨大な斧を受け止め、クーデリアたちを守った。

そして今回。
三日月のバルバトスはグレイズアインの斧を受け止め、クーデリアたちを守っているが、グレイズアインの強さは圧倒的であり、バルバトスに勝ち目があるか全く分からない。

が、オルガは三日月に後を任せ、モビルワーカーに蒔苗とクーデリア、アトラ、蒔苗の秘書を乗せ、タカキの操縦で議事堂へ向けて再び走り始めた。

【マクギリス、ガエリオに陰謀を明かす】
エドモントン郊外の荒野では、ガエリオの駆るキマリストルーパーが、前回乱入してきたグリムゲルデと睨み合っていた。

ガエリオは謎の敵に剣を向けて「貴様、何者だ!?」と誰何し、ギャラルホルンの前に立ち塞がる目的を問う。
するとグリムゲルデを駆るマクギリスは、「簡単なことだよ、ガエリオ」と言い、鉄華団には自分たちの理想を実現する手助けをしてもらっているからだと答えた。

ガエリオは、グリムゲルデを駆るのがマクギリスと知って困惑。
キマリストルーパーの剣をさげ、「理想?お前は何を…?」と問う。

するとマクギリスは、ギャラルホルンの権威を失墜させるための陰謀の数々を明かす。
ギャラルホルンは人体改造は悪という思想を広げながら、アインを改造してグレイズアインに組み込んだ。これは組織の混乱を示す生きた証拠である。
そして正気を失って戦うグレイズアインの姿は、多くの人々に恐怖と映るだろう。
その忌むべき機体と戦うのは、革命の乙女を守る英雄である鉄華団であり、乗り込むのは伝説のガンダムフレームである。
同時に、アーブラウの代表戦で蒔苗が再選されれば、政敵アンリ・フリュウとイズナリオの癒着が暴露される。そうなれば、世界を外側から監視するというギャラルホルンの建前も崩れ去り、ギャラルホルンの歪みは白日の下に晒されるだろう。

ガエリオは、マクギリスがギャラルホルンの権威を失墜させるためにアインを利用したことを知って激怒。
キマリストルーパーで剣を向け、グリムゲルデに突撃、次々と斬撃を繰り出す。

だがマクギリスはグリムゲルデでキマリストルーパーの攻撃を全てかわし、距離をとるとさらに非道の計画を明かす。
ボードウィン家はガエリオを失えば、娘婿であるマクギリスが継ぐことになる。またセブンスターズのイシュー家は一人娘カルタの死により弱体化している。ギャラルホルンの支配階層の勢力均衡は乱れ、そこからがマクギリスの出番だと。

ガエリオは、カルタの死すらマクギリスの謀略であったことに衝撃を受けた。
そして「嘘だ~!!」と叫ぶとキマリストルーパーで跳躍、上空からグリムゲルデに剣を振り下ろす。

【蒔苗たち、議事堂に到着】
アーブラウ最高議会では、蒔苗派の議員ラスカー・アレジが市内が騒然としていることを理由に、議会を延期することを訴えていた。
が、アンリ・フリュウ派の議員たちはアレジ議員を罵倒し、議会開催を主張。
もはやアレジ議員もこれ以上の時間稼ぎは困難である。

その時、議場に蒔苗が姿を見せ、騒然とする議員たちをたしなめた。
その後ろには真っ赤なドレスのクーデリア、蒔苗の秘書、そしてアトラがいる。

蒔苗の出現にアンリ・フリュウは動揺する。
議事堂の周囲はギャラルホルン部隊が警備しているのに、一体どうやって蒔苗はここに現れたのか。
実は議事堂には、市内の臨時代表公邸から繋がる秘密の抜け道があり、元代表の蒔苗はこれを利用したのである。

一方、議事堂の一室でイズナリオは蒔苗の出現に激怒。
そしてこの陰謀の背後にいるのはマクギリスであることに思い至った。
イズナリオとしてはマクギリスを信頼しており、よもやマクギリスが自分を裏切るとは今の今まで思わなかったようである。

【オルガ、三日月の元へ向かう】
臨時代表公邸のオルガとタカキに、蒔苗とクーデリアが議会に間に合ったとの連絡がアトラから入った。
タカキは安堵し、「これで仕事は終わりなんですよね?」とオルガに言う。
オルガは「ああ、終わる。終わらせる」と答えると、タカキに一仕事頼み、三日月がバルバトスで戦う戦場に向かった。

【ガエリオVSマクギリス】
ガエリオはキマリストルーパーで剣を振るい、マクギリスのグリムゲルデに次々と斬撃を繰り出す。
だがガエリオの心にあるのは、怒りより、むしろ悲しみのようである。
ガエリオはマクギリスに向かって叫ぶ。
「カルタはお前に恋い焦がれていたんだぞ!
いまわの際もお前の名前を呼んで、お前を想って死んでいった!
妹だって、お前にならば信頼して任せられると!」

ガエリオはキマリストルーパーで剣を振るいながら、カルタをおもい、妹アルミリアをおもい、ついにこらえきれずに涙を流す。

だがマクギリスは薄く笑みを浮かべて言う。
「アルミリアについては安心するといい。彼女の幸せは保証しよう。」

マクギリスはグリムゲルデで、ガエリオの駆るキマリストルーパーの剣をかわしながら言う。
「友情、愛情、信頼。
そんな生温い感情は、私には残念ながら届かない。
怒りの中で生きてきた私には。」

そしてグリムゲルデは剣をキマリストルーパーのコックピットに突き刺した。
キマリストルーパーは血しぶきのようにオイルを吹き上げると動作を停止、そのまま横倒しに倒れた。

もはや微動だにしないキマリストルーパーに視線を向け、マクギリスはつぶやく。
「お前は私の生涯ただ一人の、友人だったよ」

【バルバトスVSグレイズアイン】
エドモントン市内では、バルバトスとグレイズアインの死闘が続いていた。
グレイズアインは装甲防御は強靭であり、攻撃力は圧倒的であり、そして巨体でありながら反応速度は恐ろしく速い。
バルバトスの攻撃は効かず、それどころかグレイズアインの攻撃をかわすだけで手一杯である。
規格外の敵を相手にバルバトスの消耗は激しく、スラスターの燃料は残り僅か、ガトリング砲の残弾もわずかとなってきた。

そして三日月はバルバトスで、レンチメイスをグレイズアインに投げた。
グレイズアインは片手で渾身の一撃を受け止める。
が、これはフェイントであり、バルバトスは瞬時にグレイズアインの間合いに踏み込み、ゼロ距離で腕部ガトリング砲をグレイズアインに突き付ける。

だが発射する前に、グレイズアインは突き付けられたバルバトスの腕を掴んで攻撃を封じ、突き飛ばすと足裏からドリルを繰り出してバルバトスの胸に強烈な蹴りを浴びせる。これは前回、ラフタの駆るロウエイを撃破した技だが、バルバトスは胸部追加装甲に守られ、致命傷は逃れた。

とはいえ、三日月のバルバトスが、グレイズアインを撃破する決め手に欠けるという現状に変わりはない。それどころかバルバトスに残された武器は、もはや太刀一振りのみである。

グレイズアインは両手に斧を握るとバルバトスに振り下ろす。
バルバトスは太刀で敵機の斧を受け止めて押し合うが、グレイズアインの巨体怪力にじりじりと押されていく。

【バルバトス、反撃開始】
アインはグレイズアインで二刀の斧に力を込めながら結論する。
「もう貴様は救えない。あの女も、お前の仲間も決して!貴様の、貴様らの死をもって罪を祓う!」

この言葉に三日月は激怒。
「罪?救う?それを決めるのはお前じゃないんだよ」

そして三日月はバルバトスに呼びかける。
「おい、バルバトス。いいからよこせ、お前の全部」

次の瞬間、バルバトスの太刀が一閃、グレイズアインが右手に握る斧を弾き飛ばす。
バルバトスの電光石火の剣にアインは動揺。

そしてバルバトスのコックピットでは、三日月は右目と鼻から出血しながらバルバトスに呼びかける。
「もっと…もっと…もっとよこせ、バルバトス」

三日月は、バルバトスから阿頼耶識でフィードバックされる情報のリミッターを解除し、機体とのシンクロを高めたが、その負荷に肉体が耐えられないということのようである。
そしてバルバトスが三日月の要求に応じたのは、バルバトスには機体を制御する人工知能が搭載されており、バルバトスには意志があるということかもしれない。

【クーデリアの演説】
アーブラウ議会では、蒔苗は自分の所信表明の時間を、クーデリアに与えたいという。
思わぬことに驚くクーデリアだが、「クーデリアさんなら出来るよ、きっと」というアトラの言葉に決意し、壇上に登った。

クーデリアは名乗り、蒔苗と交渉のため来たと言い、語り始める。
火星と地球の歪んだ関係を少しでも正そうと始めたこの旅で、世界中に広がるより大きな歪みを知った。そしてこの地もその歪みに飲まれようとしている。
だがここにいる議員たちは、その歪みを正す力を持っているはず。
そしてクーデリアは議員たちに呼びかける。
「選んでください、誇れる選択を。希望となる未来を!」

【オルガ、鉄華団に命令】
オルガはモビルワーカーで三日月の元に急行しながら、通信で鉄華団に呼びかける。
エドモントンの空には、タカキが飛ばした通信用ドローンが多数飛んでおり、オルガの声は団員たちによく聞こえた。

オルガは、蒔苗とクーデリアは議事堂に送り届けた、仕事は成功したと告げ、そして団員たちに呼びかける。
「だから…こっから先は死ぬな!
こっから先に死んだ奴らは、団長命令違反で俺がもう一遍殺す!
這ってでも、それこそ死んでも生きやがれ!

オルガの言葉に団員たちはニヤリと笑う。
救助されたラフタとアジーもオルガの言葉に耳を傾ける。

そしてトレーラーで移動するメリビットは複雑な表情だが、隣でハンドルを握る雪之丞は言う。
「あいつは指揮官として、この命令を出したかったんだ。ず~っとな。
『死ぬな生きろ』なんて、言葉にしちまえばあっさりしたもんだ。
けどよ、あいつにゃ言えなかった」

メリビットは無言だが、オルガの本心を知り、何かが心に届いているようである。

【バルバトス、敵機を撃破】
三日月はバルバトスで太刀を握り、グレイズアインに次々と鋭い斬撃を繰り出す。
アインはグレイズアインでどうにかかわすと、右足でドリルキックをバルバトスの左頬に浴びせる。

グレイズアインの猛攻に、三日月はまるで自分の顔面に打撃を受けたようにのけぞるが、これは阿頼耶識でバルバトスとのフィードバックを高めたため、バルバトスの受けたダメージを三日月が自身の痛みとして感じているということだろうか。

そしてグレイズアインは斧を振り上げ、「ネズミの悪あがきもこれで終わりだ~!」と叫んで振り下ろす。
その時、オルガが三日月に叫んだ。
「何やってんだミカ~!!」

オルガの声に、三日月は目を見開き、バルバトスの装甲をパージ。
身を軽くするとグレイズアインの攻撃をかわして跳躍。
瞬時に敵機の間合いに踏み込み、敵機の左腕をフレームごと斬り飛ばす。

これにアインは「モビルスーツの装甲をフレームごと!?」と驚愕。
そして三日月は「こいつの使い方…やっと分かった」とつぶやく。

アインはグレイズアインで「この…化け物がぁ~!」と叫びながら渾身の右ストレートを繰り出す。
が、三日月はバルバトスの太刀で敵機の右腕も斬り飛ばし、「お前にだけは言われたくないよ」とつぶやく。

そしてクランクとガエリオに呼びかけるグレイズアインのコックピットに、三日月はバルバトスの太刀を突き刺した。
グレイズアインは動作を停止、そして三日月はつぶやく。
「うるさいな。オルガの声が聞こえないだろ。」

【戦闘終結】
間もなく、エドモントン郊外のギャラルホルン部隊は鉄華団と停戦、戦闘は終結した。
そしてアーブラウ議会では蒔苗が新代表に再選された。

クーデリアは廊下で、自分とフミタンのネックレスを手のひらに乗せ、「これで終わったのでしょうか」とつぶやく。
アトラはクーデリアの手を握ると「うん。きっと」と答え、「クーデリアさん、格好良かったよ」と言うと微笑んだ。

一方、バルバトスとグレイズアインが死闘を繰り広げ、廃墟と化した区画。
三日月はオルガに尋ねる。
「ねえオルガ。ここがそうなの?俺達の本当の居場所」

するとオルガは「ああ。ここもその一つだ」と笑う。
三日月は沈んでいく夕日を眺めながら言う。
「そっか。綺麗だね」

【四日後】
それから四日後。
クーデリアと蒔苗の交渉は順調に進み、彼女の理想は具体的な第一歩を踏み出そうとしていた。

一方、ギャラルホルンではイズナリオが、マクギリスに亡命を勧められていた。
イズナリオはマクギリスに怒りの目を向ける。
が、マクギリスはイズナリオが身を引かなければ監査局は黙っておらず、実刑だけでなくファリド家断絶もあり得ると丁寧な口調で脅す。
イズナリオは「絶望から救い上げてやった恩義を忘れ、お前の先にもまた絶望しか待っていないぞ」と言い残して去った。
これにマクギリスは冷笑を浮かべる。マクギリスとしては、恩義を受けたつもりなどない、むしろイズナリオには怒りしか無いというところだろうか。

圏外圏では、テイワズ代表のマクマード・バリストンの屋敷を、火星の大富豪ノブリス・ゴルドンが訪れていた。
マクマードは、アーブラウ政府から鉄華団を軍事顧問として雇いたいとの打診が来たことを明かす。
するとノブリスは、ギャラルホルンに対する不信感はアーブラウ以外の経済圏にも広がっており、これから各経済圏はギャラルホルンに頼らない独自の軍備拡張を進めるだろうという。
これにマクマードは、「あんたも商売のやりがいがあるだろう」と凄みのある笑みを浮かべると、ノブリスは「鉄華団を手元に置いたあんたほどじゃないさ」と悪人面で笑う。
この二人、今後の軍需景気とハーフメタル自由化でさらに新しい儲けを期待しているようだが、この二人も今後いつまで無事でいられるだろうか。

ボードウィン家の屋敷では、アルミリアは兄ガエリオの死を悲しみ、ガエリオのために涙を流す。
これまでアルミリアはガエリオに手厳しかったが、あれは兄に甘えていたのであり、ガエリオもまたアルミリアを子供扱いしてからかっていたが、あれはガエリオなりに妹を可愛がっていたのだろう。
そんなアルミリアをマクギリスは抱きしめ、「君の涙をガエリオは望んではいないはずだ」と慰める。
現在マクギリスはアルミリアからの信頼絶大だが、そうそう上手くいくだろうか。

【メリビットと雪之丞】
エドモントン郊外の廃駅では、鉄華団は火星に帰る準備に追われていた。
少年兵たちのいつもと変わらぬ姿に、メリビットは雪之丞に言う。
「あの子達、もう戻れないんじゃないかって思ってました」

「何にだ?」という雪之丞に、メリビットは「子供に…」とこたえる。
すると雪之丞は「あいつらは、まだまだガキんちょさ」と笑う。

そして名瀬とアミダ・アルカも廃駅を訪れ、ラフタたちと再会。
名瀬は抱きつくラフタとエーコを労い、それを眺めるアジーをアルカは「かわいいねぇ、あんたは」と言い頭を撫でた。

【オルガと名瀬】
オルガは廃駅の隅で名瀬に頭を下げ、「いろいろ迷惑をおかけしました」と詫びた。
名瀬は「お前らはきっちり仕事をしたんだ。胸を張れよ」と言い、オルガが謝る必要などないという。

だがオルガは、家族をたくさん亡くしてしまったと言い、頭を上げようとしない。
これに名瀬は言う。
「お前いつか、俺に言った言葉は嘘だったのか?
『訳の分からねぇ命令で、仲間が無駄死にさせられんのは御免だ。
あいつらの死に場所は鉄華団の団長として』」

「俺が…作る…」

名瀬は拳をオルガの胸に当てていう。
「あいつらは、お前の作った場所で散っていった。
張れよ、胸を。今、生きてる奴のために。
死んじまった奴らのためにも。
てめぇが口にしたことは、てめぇが信じ抜かなきゃならねぇ。
それが指揮官としての…団長としての覚悟ってもんだろ」

オルガは頭を上げ、涙をにじませた。

【三日月とアトラ、クーデリア】
廃駅でアトラは三日月に気付き、戦闘での負傷はもう大丈夫なのか尋ねた。
すると三日月は淡々と答える。
右目がよく見えず、右腕がうまく動かない「だけ」であり、バルバトスに阿頼耶識で繋がっている時は動くので、まだ働けると。

アトラは「そっか…」と言い、三日月の壮絶な現状を受け入れた。

少し離れた場所では、年少組の少年兵たちがクーデリアを見つけ、「あっクーデリア先生!」と駆け寄り、何かを渡されて喜ぶ。
そしてクーデリアは三日月にもタブレット端末を渡し、「宿題です。帰りの船で勉強できるように」と笑う。

だがクーデリアは三日月の右腕に気付いて尋ねると、三日月は「ちょっと動かなくなった」とあっさりと答える。
言葉を失うクーデリアに、三日月は「泣くなよ。この手じゃもう慰めたりできないから」と言うが、アトラは「もう~違うでしょ!」というと、クーデリアと一緒に三日月の頭を撫で始めた。

困惑する三日月に、アトラは「三日月が大変なときは、私たちが慰めてあげるんだからね」という。
これにクーデリアも同意し、「そうですね。私達は家族なのですから」と笑う。

【三日月とオルガ】
夕方、廃駅の広場で、オルガは少年兵たちに初仕事の完遂を労い、鉄華団はもっと大きくなると今後の抱負を語り、「成功祝のボーナスは期待しとけよ!」と笑って演説を締めくくった。

そして、バルバトスの足元でオルガは三日月に尋ねる。
「なあミカ。次は何をすればいい?」

すると三日月は「そんなの決まってるでしょ」と小さく笑う。
オルガは「ああ。そうだな」と笑い、右手を上げる。
三日月も左手を上げて拳をつくり、オルガの右拳と軽くたたきあった。


おわり

機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ 第24話「未来の報酬」

  • 2016/03/21(月) 05:09:26

【感想概略】
今回は、鉄華団は蒔苗をアーブラウ議会に送り届けようとモビルワーカー部隊で市内への突入を図るが、行く手を阻むギャラルホルンは大部隊であり、その守りは固く、3日戦い続けても市内に突入できない。会議開始まで残された時間は僅かであり、オルガはこの場の鉄華団全員の命を賭けて最後の奇策に打って出る。だがガエリオのキマリストルーパー、そしてアインが阿頼耶識で駆るグレイズアインが参戦。グレイズアインは鉄華団側のモビルスーツに甚大な被害を与え、市内へのモビルスーツ持込禁止というルールを無視して市内に突入、クーデリアに刃を向けるが…というお話である。

兵の命より作戦完遂を優先せざるを得ない軍事組織の非情さ、生きるためには命と金を引き換えにするより他に選択肢がなく、それでもオルガに賭けることを自らの意思で選び絶望的な戦いに身を投ずる少年兵たちの運命の苛酷さ、理想のため自分の戦いをたたかうクーデリア、キマリストルーパー及び規格外の強さを発揮するグレイズアインと鉄華団側モビルスーツとの激闘が描かれ、見応えがあり、面白かった。
またアーブラウ政界では、ラスカー・アレジ議員は蒔苗再選のため厳しい状況であっても決して動ぜず、粘り強く自分の戦いを続ける姿が地味に格好良かった。

【鉄華団、エドモントンへの突入を図る】
前回、鉄華団の特別列車はアーブラウ議会の開催地エドモントンの近郊に到着した。
カルタ・イシューのモビルスーツ部隊が行く手に立ち塞がることはあったが、鉄華団にさしたる損耗はなく、移動手段に鉄道を利用するクーデリアの作戦はここまでは成功といえるだろう。
あとは蒔苗をアーブラウ議会に送り届けることが出来れば、鉄華団の作戦は成功であり、ここから先は蒔苗の戦いとなる。

そして今回、鉄華団はエドモントン郊外の廃駅を拠点とし、モビルワーカー部隊でエドモントン市内への突入を図ってギャラルホルンのモビルワーカー部隊と交戦。街と郊外を隔てる川にかかる橋を巡って激戦を繰り広げ、既に三日戦い続けていた。
だが鉄華団は人数もモビルワーカーの性能も劣っており、激しく攻め続けるもののギャラルホルン部隊を突破出来ない。

そして激戦により死傷者が続出。
廃駅には血まみれの負傷者が次々と運び込まれ、メリビットは負傷者たちの治療に追われていたが、その姿は薄汚れており、この三日間ろくに休んでいないようである。
それは負傷者を介抱するアトラも同様であり、メリビットはアトラに少し休むよう声をかけるが、「私、徹夜得意なんです」と笑ってみせる気丈なアトラである。

【クーデリアと蒔苗】
アーブラウ議会の開催まであと6時間である。
蒔苗は「まだ突破できんのか?」と洩らすが、クーデリアは「彼らを疑うような言葉を、ここでは口にしないで下さい。彼らは私達のために、ギリギリのところで戦っているのです」と言い、鉄華団の名誉を傷つけ、士気を下げるような発言は慎むよう抗議する。
これに蒔苗は、自分は無論鉄華団を疑ってなどいない、ただそれまで流される血の量を心配していると言い、クーデリアの抗議は誤解によるものという態度をとる。批判を強引に言いくるめる蒔苗だが、このくらい図太くないとアーブラウ代表は務まらないというところだろうか。

【三日月たち、敵モビルスーツ部隊を迎撃】
廃駅から少し離れた荒地では、三日月のバルバトス、昭弘のグシオン・リベイク、シノの流星後、そしてラフタとアジーのロウエイが廃駅を守り、ギャラルホルンのモビルスーツ部隊を迎え撃っていた。
三日月たちは圧倒的多数の敵モビルスーツを相手に善戦、敵を乱戦に引きずり込み、敵機を確実に討ち取っていく。

だがギャラルホルン部隊の隊長コーリス・ステンジャも乱戦に持ち込まれたら不利ということを学習、陣形を崩されると部下たちに退却を命じ、敵部隊は一時撤退した。

ラフタは敵が逃げたことを悔しがり、アジーは敵が戦いの中で学習していることを評価する。
これにラフタは「敵をほめんな!」とふくれるが、アジーは「私達もよくやってるよ。もう3日もここで耐えてるんだ」と言い、ラフタと自分たちの力戦奮闘を称える。

敵部隊の退却により、三日月たちも整備と弾薬の補給のため、廃駅に移動した。

【鉄華団のモビルワーカー隊、苦戦】
オルガの指揮する鉄華団のモビルワーカー部隊は、橋を挟んだ対岸に陣取る敵モビルワーカー部隊と激しく撃ちあうが、未だ戦況は膠着したままである。
その時、タカキがオルガに部隊の弾薬が残り少ないことを報告してきた。
オルガは歯ぎしりするが、補給のため廃駅に一時撤退した。

一方、別の橋を守るギャラルホルン部隊からは、友軍が鉄華団の猛攻を受けている様子がよく見えていた。
部隊の副官は部隊長に、自分たちは援護しなくてよいのだろうかと質問した。
すると部隊長は言う。
この戦いは元々はアーブラウの政治問題であり、ギャラルホルンが内政干渉するなど本来あってはならないのだと。

おそらくギャラルホルンの各モビルワーカー部隊が受けた命令は、持ち場を守って不審者を通さないという警護任務であり、鉄華団の殲滅という軍事作戦は命じられていないのだろう。

ギャラルホルンの部隊長としては、ギャラルホルンの役割はあくまで地球圏の防衛であり、各経済圏の政府にギャラルホルンが指図するなど許されないことである。そして蒔苗の議会出席の可否は、アーブラウ政府が法に基づいて判断すべきことであり、本来であればギャラルホルンが武力で阻止するようなことではない。
部隊長は今回の任務に納得しておらず、橋を守るという命令以上のことをするつもりはないというところだろうか。

【ライド・マッスの報告】
廃駅に戻ったオルガは部隊の現状を確認するが、元々多くはなかった戦闘員は死傷により更に減少、弾薬は残り少なく、議会開催まであまり時間がない。
また都市への突入にモビルスーツは使用できない。
もしモビルスーツの突入を強行すればその動力であるエイハブ・リアクターの影響で都市機能は麻痺して大混乱となり、蒔苗は世論を敵に回し、議会での支持も得られなくなってしまう。

その時ライド・マッスが偵察から戻り、都市と郊外を隔てる川の水量は大分減っており、モビルワーカーでも渡ることが可能とオルガに報告した。
そしてライドは「俺も一緒に行かせてください」と言い、モビルワーカーで戦うことをオルガに申し出た。
オルガはライドに念を押すが、ライドの決意は変わらない。オルガはライドの作戦参加を認めた。

【オルガと三日月】
ライドの報告を受け、オルガの作戦は決まった。
囮部隊が敵を引きつけ、その隙に選抜隊が蒔苗を守って渡河して都市に突入、蒔苗を議事堂に送り届ける陽動作戦である。

オルガは廃駅でバルバトスの整備と補給を受ける三日月に通信し、今から最後の攻撃を開始することを伝えた。
そしてオルガは三日月にしか言えない本音を洩らす。
「かなり危険な賭けになる。どうしたって、それなりの被害は避けられねぇ。あいつらに、そいつを押しつけなきゃならねぇんだ…」

オルガとしては、仲間に生還率の極端に低い任務を与えることを、作戦のためには仕方のないこととはどうしても割り切れない。
オルガは意識していないだろうが、三日月に聞いてもらわなければ、仲間を死地に送ることにとても耐えられないのだろう。

すると三日月は言う。
「俺はもうオルガに賭けてるよ。最初のあの日から。
俺だけじゃないよ。みんなだってそうだ。みんなオルガに賭けてる。
だからオルガも賭けてみなよ、俺達に。
鉄華団のみんなに。」

三日月も、鉄華団の仲間たちも、自分の意思でオルガを信じ、オルガに賭け、自分の全力を尽くそうとしている。
決して一方的に命令されている訳ではない。
だからオルガも鉄華団の仲間たちを信じ、彼らの力を頼ってみればよい、というところだろうか。

オルガは、三日月の言葉に力を与えられ、決意の笑みを浮かべてつぶやく。
「鉄華団のみんなに…か」

【オルガの演説】
廃駅の広場にオルガは鉄華団の仲間たちを集め、次が最後の作戦と伝えた。
続いてメリビットに、負傷者を連れて離脱するよう依頼した。
そして仲間たちに、囮としてギャラルホルン部隊を引き付けてもらうこと、作戦に乗れないなら退いてもらって構わないと言い、「けど乗ってくれるなら…お前らの命って名前のチップをこの作戦に賭けてくれ!」と訴えた。

これにメリビットは激怒。
少年兵たちを背に庇い、「ふざけないで!囮になる?命を賭ける?この子達を死なせたいの!?」と叫び、真っ向からオルガに反論する。

するとオルガは少年兵たちに語りかける。
「俺達一人一人の命は、自分が死んじまった時点で終わる消耗品じゃねぇんだ!鉄華団がある限りな。
ここまでの道で死んでった奴らがいる。
あいつらの命は、無駄になんてなってねぇ。
あいつらの命もチップとして、この戦いに賭ける。
いくつもの命を賭けるごとに、俺達が手に入れられる報酬…未来がでかくなってく。
俺ら一人一人の命が、残った他の奴らの未来のために使われるんだ!」

オルガの主張は、一般市民の感性を持つメリビットには到底受け入れられるものではない。
だが少年兵たちは、自分たちの誰かが死んでも残った者が笑えれば、それは意味のあることなのだとオルガの言葉に納得する。

少年兵たちの言葉を受けて、オルガは言う。
「そうだ。誰が死んで誰が生き残るかは関係ねぇ。
俺達は一つだ。俺達は家族なんだ。
鉄華団の未来のために、お前らの命を賭けてくれ!」

オルガと少年兵たちの心は今や一つである。
だがメリビットに納得できるものではなく、鉄華団のためなら死を受け入れる少年兵たちのために涙を流してつぶやく。
「違う…そうじゃない。家族っていうのは…
こんなの間違ってる!
ビスケット君だって、フミタンさんだって、こんなの望んでない。絶対に間違ってる!」

雪之丞は、両手で顔を覆って泣くメリビットの頭をなでて言う。
「ああ。間違ってるさ」

一方クーデリアはもはや覚悟が決まっているのか、決然とした表情を崩さない。

【クーデリアたち、乗車】
間もなくクーデリアと蒔苗は装甲車に乗り込んだ。
そして運転手は何とアトラである。

驚くクーデリアに、アトラは戦闘員の人手が足りないので自分が運転すると言う。
そして「三日月の代わりに、私がクーデリアさんを守ります。それが私の革命なんです。」と笑う。

クーデリアはアトラの意思と覚悟を知り、アトラに命を委ねた。

【バルバトスVSキマリストルーパー】
鉄華団は最後の攻撃を開始。
三日月たちはモビルスーツを駆り、敵モビルスーツ部隊の駐屯地を奇襲、駐機中のモビルスーツを撃破していく。
ギャラルホルン側は、鉄華団から攻撃してくることは想定しておらず、敵部隊は大混乱である。

その時、何者かが三日月のバルバトスに機銃掃射を浴びせた。
ガエリオの駆るキマリストルーパーの攻撃である。

キマリストルーパーは高速でバルバトスに接近、長槍を繰り出す。
バルバトスはレンチでキマリストルーパーの槍を受け止めるが、衝撃に弾き飛ばされ、膝をついてしまう。
ガエリオはキマリストルーパーでバルバトスに銃撃を浴びせながらカルタに誓う。
「カルタ、任せてくれ。お前の無念は、俺が晴らしてみせる。
そしてギャラルホルンの未来を俺達の手に!」

【ユージンたちの参戦】
街にかかる橋を守るギャラルホルンのモビルワーカー部隊は、鉄華団の猛攻を受けていた。
鉄華団のモビルワーカーは守りを捨てて突撃、次々と撃破されるが、その戦意は全く衰えない。
その死を恐れぬ戦いぶりにギャラルホルン部隊は動揺、押され気味である。

これを見た、別の橋を守るギャラルホルン部隊の部隊長は「さすがに味方を見殺しにはできん」と言うと、鉄華団と戦う部隊の援護に向かう。

オルガの作戦どおり、敵部隊は橋に集中してきた。
だがタカキは「火力が違い過ぎて、川を渡るまでみんなが保ちませんよ!」と叫ぶ。
オルガは「あいつらの賭けた命…無駄にするわけにはいかねぇんだ!」と言い、敵陣突破の覚悟を決める。
その時、橋のギャラルホルン部隊に次々とミサイルが命中、爆発四散した。

ユージンがモビルワーカーで参戦である。
チャド、ダンテ、そしてかつてブルワーズにいた少年兵たちも一緒である。
敵部隊を撹乱しながらユージンは「敵はこっちで引き受ける。行けよオルガ!」と叫ぶ。

オルガはこの機を逃さず、クーデリアと蒔苗の乗る装甲車を守って川を渡り、市内に突入した。

【グレイズアイン参戦】
キマリストルーパーのガエリオは、モビルスーツ部隊を率いるコーリス・ステンジャに、モビルワーカー部隊の援護に向かうよう命じた。
コーリスは、5対1ではキマリストルーパーに圧倒的不利であることを案じて躊躇するが、ガエリオに強く命じられ、配下を率いて転進、モビルワーカー部隊の救援に向かう。

すると昭弘はグシオン・リベイクでコーリス隊を追撃。
ラフタは昭弘一人では無謀と制止するが、その時、空から巨大なモビルスーツが出現、地響きを立てて着地した。

この機体こそ、アインが阿頼耶識システムで駆るグレイズアインであり、右手に巨大な斧を握った。
ラフタとアジーは、データに無い機体を警戒しながら攻撃を敢行。
バズーカ砲でロケット弾を発射してグレイズアインを牽制し、この隙にブースターを吹かして高速で接近する。

グレイズアインはロケット弾を平然と撃墜するが、ラフタ機はこの隙に敵機の背後から斬撃を振り下ろす。
が、グレイズアインは巨体に似合わぬ素早さでラフタ機の攻撃をかわし、斧の柄で殴り、蹴りを入れる。
アジーは敵機が阿頼耶識システムで操作されていることに気づくが、敵機は瞬時にアジー機の背後に回り、巨大な斧を振り下ろし、頭部を叩き潰す。
衝撃はコックピットに達し、アジーは血まみれになり、ぴくりとも動かない。

【グレイズアインVSラフタ機】
ラフタはロウエイを駆り、アジーに呼びかけながらグレイズアインを牽制射撃するが、アジーから反応は無い。
そしてグレイズアインはブースターを吹かして地上を不規則な動きで高速移動し、ラフタ機の砲撃をことごとくかわす。
グレイズアインの機械らしくない生物的な俊敏さに、ラフタは「動きが読めない。気持ち悪い。これ…三日月以上」とつぶやく。

その時、空から撃破されたギャラルホルン機が降ってきた。
グレイズアインが投げたもののようである。

一瞬ラフタの注意が降ってきた機体に向いた隙に、グレイズアインがラフタ機に急接近し、左足の裏から高速回転するドリルを繰り出し、ラフタ機の胸に蹴りを入れた。
ラフタ機は胸部装甲をドリルキックに破壊され、コックピットに血しぶきが舞い、ラフタ機から通信が途絶えた。

バルバトスの三日月は、これには動揺。
ラフタを助けに向かおうとするが、ガエリオがキマリストルーパーで高速突撃して槍の一撃を浴びせ、バルバトスのレンチを弾き飛ばす。

バルバトスはキマリストルーパーの繰り出す槍を両手で受け止めるが、これではバルバトスに反撃の術が無い。
ガエリオは槍をボディに固定して両手が使えるようにすると、剣を抜いて構えて叫ぶ。
「お前達はここで終わりだ!
あれこそが阿頼耶識の本来の姿!
モビルスーツとの一体化を果たしたアインの覚悟は、まがい物のお前達を凌駕する!」

が、三日月はバルバトスでキマリストルーパーの槍から手を離し、そのまま急接近し、敵機の頭部を拳で殴った。

【グレイズアインVS流星号】
グレイズアインは、シノの流星号を次の獲物と定めて襲いかかり、斧を振り下ろして右肩に斬撃を浴びせた。
続けてグレイズアインは右腕を流星号に繰り出し、前腕に装着されている巨大な杭を射出、流星号の頭部を串刺しにした。
衝撃で流星号の右腕が千切れ飛び、コックピットは大破、シノは血まみれで目を閉じて動かない。

グレイズアインは、動かなくなった流星号の頭部を片腕で掴み、宙吊りにして叫ぶ。
「クランク二尉やりましたよ!あなたの機体を取り戻しました!」

さらにグレイズアインは空を見上げて語りかける。
「きっと見ていてくれますね、クランク二尉。俺はあなたの遺志を継ぐ」

その時、流星号に雪之丞から通信が入り、オルガとクーデリアが市街地に入ったことを伝えた。
これをグレイズアインは接触通信で聞くのだが、クーデリアの名に激しく反応する。

【グレイズアイン、エドモントン市内に突入】
オルガとタカキの駆るモビルワーカー、護衛のモビルワーカー、そしてクーデリアと蒔苗の乗る装甲車はひと気の無い道路を走り、ギャラルホルンの検問を砲撃で突破し、議事堂に確実に近づいていた。
が、突然信号が消え、タカキは「LCSを除く全ての通信が切断、レーダーも消えました」と現状を報告する。

そして、空から巨大なモビルスーツが出現、降下してくる。
グレイズアインである。
これにオルガは「正気か?奴らこんな街中に…モビルスーツだと!?」と驚愕するが、アインは正気では無さそうである。

次の瞬間、グレイズアインは轟音を響かせて着地。
土煙がもうもうと立ち昇り、道路はすり鉢状に陥没、ビルは傾き、アトラの運転する装甲車は衝撃でひっくり返った。自動車が頑丈なことと、シートベルトを着用していたおかげで、アトラたちに怪我のないことが不幸中の幸いである。

グレイズアインはつぶやく。
「そうだ…思い出しました。俺はあなたの命令に従い、クーデリア・藍那・バーンスタインを捕獲しなければならなかった!」

するとクーデリアはグレイズアインの前に姿を見せて名乗り、「私に御用がおありですか!」と問う。

護衛のモビルワーカーはクーデリアの逃げる隙を作ろうとグレイズアインに砲口を向ける。
が、グレイズアインはこれを察知して砲撃、モビルワーカーを撃破した。

【グレイズアインVSバルバトス】
アインの発言は支離滅裂であり、まるで言葉遣いだけは礼儀正しい酔っぱらいである。
これは、阿頼耶識システムでグレイズアインの巨体を動かし、人体に本来は存在しない固定武装を縦横無尽に操作するには脳にかかる負荷が尋常ではないためアインは正気を保てず、もはやアインの心には彼がもっと強く抱く想いが残るのみとなっているということだろうか。

そしてアインは、クーデリア捕獲任務が原因でクランク二尉が命を落としたことを思い出し、「あなたのせいでクランク二尉は…」と言い、クランクの死は、ギャラルホルンに投降しなかったクーデリアの責任という結論に達した。

クーデリアはアインの言葉を真正面から受け止めて言う。
「私の行動のせいで、多くの犠牲が生まれました!しかし、だからこそ、私はもう立ち止まれない!」

これにアインは激怒。
「その思い上がり…この私が正す」と言うとグレイズアインで斧を振り下ろす。

その瞬間、アトラが飛び出してクーデリアを抱きしめて庇い、オルガがクーデリアに駆け寄る。
その時、バルバトスがレンチで巨大な斧を受け止め、クーデリア、アトラ、オルガを救う。

絶対絶命の危機に現れた三日月のバルバトスにオルガは笑っていう。
「そうだよな。お前が俺達をこんな所で終わらせてくれるはずがねぇ。なあ?ミカ」

一方、キマリストルーパーの前には、仮面の男モンタークの駆るグリムゲルデが立ちふさがっていた。
どうやらグリムゲルデがキマリストルーパーに一撃を与え、その隙にバルバトスが離脱、グレイズアインを追ったということのようである。

キマリストルーパーを駆るガエリオは、グリムゲルデの姿に「貴様か…俺の邪魔をしたのは!」とつぶやき、新たな敵の出現に闘志を燃やす。
一方、グリムゲルデを駆る仮面の男は、「君の相手は…私がしよう」と言うとかつらと仮面をとり、正体であるマクギリスの素顔を晒した。

そして、三日月はバルバトスのレンチで、グレイズアインの斧と押し合いながら、愛機に呼びかけた。
「行くぞ。バルバトス」

【予告】
次回「鉄華団」

三日月のバルバトスとグレイズアインとの戦いの行方、ガエリオのキマリストルーパーとマクギリスのグリムゲルデとの戦いの行方、アーブラウ議会での蒔苗とアンリ・フリュウとの政略闘争の行方がまずは気がかりであり注目したい。
そして、ラフタ、アジー、シノの生存を願いたい。

機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ 第23話「最後の嘘」

  • 2016/03/14(月) 01:44:58

【感想概略】
今回は、鉄華団はクーデリアと蒔苗を守り鉄道で密かにエドモントンへ向かうが、その前にカルタ・イシューが出現して決闘を申し込む、だが三日月は…というお話である。
カルタの騎士道と三日月の血も涙も無い合理主義のぶつかり合いと戦いの非情さ、自ら戦いを選ぶ少年兵たちと、少年兵たちを案じ何とか子供たちが戦いに身を投じることを思いとどまらせようとするメリビットの苦悩、実はビスケットの死を乗り越えてなどいないがそれでも前に進むしかないオルガの苦悩が描かれ、見応えがあり、面白かった。

マクギリスは、ガエリオ、カルタとの友情を犠牲にしてでも目的を実現したいということのようである。
ギャラルホルン社会で出自を理由に差別されていたマクギリスを、ガエリオとカルタは友として受け入れたが、そんな二人を切り捨ててでも優先したいこととは何か。マクギリスの育ての親、実の母の名誉のためだろうか。引き続き注目したい。

【カルタ、イズナリオに復命】
前々回、カルタ・イシューは配下を率いて鉄華団に戦いを挑むが敗退、多くの兵を失い、僅かに生き残った部下たちに救われて生き延びた。
そして今回、カルタはギャラルホルン地球本部で長官イズナリオに敗戦を詫び、鉄華団との再戦を願い出た。
イズナリオはカルタの行動はイシュー家の家名に泥を塗ったと叱責する。
だがイズナリオは、本来なら敗戦したばかりのカルタには荷が重いと思うが、マクギリスの強い要望により、カルタに名誉挽回の機会を与え、鉄華団との再戦を許可するという。

【カルタとマクギリス】
イズナリオの執務室を退出したカルタは、廊下でマクギリスと出くわした。
カルタはマクギリスに「惨めな私に手を差し伸べてくれるなんてね。感謝するわ、マクギリス」と礼を言うが、自分はマクギリスに情けをかけられたのだと思い、ありがたく思うと同時に屈辱を強く感じているようである。

だがマクギリスは「惨めだなどと…」と上から目線で情けをかけたのではないと言い、そしてマクギリスにとってカルタは、出会った時から手の届かない憧れのような存在だったという。
これにカルタは頬を赤らめる。

二人は子供の頃のことを思い出す。
当時、マクギリスはファリド家の養子に迎えられたが、妾腹の子ということで蔑視されていた。
だがカルタとガエリオはマクギリスを好ましく思い、他人の目など気にせずマクギリスと接し、一緒にいようとする。
マクギリスは二人に心を開かず、「僕と一緒にいない方がいいですよ」と言い残して立ち去ろうとする。
が、カルタは走ってマクギリスを追い抜くと腰に手を当てて立ち塞がり、マクギリスの優れたところを次々と指摘し、優れているのに卑下される方が屈辱であり、堂々とするように言う。
少なくともこの頃は、マクギリスはカルタとガエリオの裏表のなさに心を動かされていたと思う。

【メリビットとオルガ】
鉄華団はクーデリアと蒔苗を護衛し、特別列車で北米の雪原をエドモントンに向かっていた。
車内のテレビには、政界では蒔苗の再出馬の噂が飛び交っていると報ずるニュース番組が映り、蒔苗派の有力議員ラスカー・アレジのロビー活動は順調なようである。

前回のオルガの「弔い合戦」演説により、鉄華団の少年兵たちの士気は高い。
が、メリビットは少年兵たちが戦いに身を投じ、命を失いかねないことに納得できない。

メリビットはオルガに声をかけ、「鉄華団はみんないい子たちだわ。なのに…このままじゃ戻れなくなる」と言い、せめて年少組の少年兵たちはオルガの戦いに巻き込まないよう訴える。
だがオルガは、「戻る?どこに?」と開き直ったような笑みを浮かべて逆に聞き返す。

そこにライドとタカキが現れ、「余計なこと言うなよ」「俺たち別に巻き込まれているわけじゃないです」と言い、メリビットの訴えに反論する。

メリビットは二人の意思を尊重しながらも、「分かるわ。でも…でもね…あなた達には、本当はもっと多くの選択肢があるはずなの」と言い、命を落としかねない道に進むことを思いとどまらせようとする。

が、ライドは「やり返せずに生きてたら、ずっと苦しいまんまじゃん」と言い、メリビットの言葉を受け入れない。
ライド、タカキとしては、メリビットが自分たちを大事に思ってくれることはありがたく思うが、ビスケットの死に何もしないことは泣き寝入りするように思え、例え命の危険があってもそちらの方が耐え難いというところだろうか。

【アインとガエリオ】
ギャラルホルン本部の奥深く、巨大な研究施設をガエリオが訪れた。
すると何者かが拡声器でガエリオに呼びかけた。
ガエリオは声の主がアインと気付き、「良かった、本当に」とアインが回復したと喜ぶ。
アインもまた明るい声で「これでクランク二尉の無念を晴らすこともできる!本当にありがとうございます。」とガエリオに感謝する。

だがガエリオは、技師から見せられたアインの現状に口を絶句する。
アインは腰から下を失って上半身のみとなっており、背中、首、胸、腰でモビルスーツと接続されているのである。

【ガエリオとマクギリス】
ガエリオは別室で、アインを助けるためとはいえ、あんな姿にしてしまったことに苦悩していた。
するとマクギリスはガエリオに語りかける。
堕落したギャラルホルンに変革をもたらすのはガエリオやカルタの良心だろう。そして、例えどのような姿になっても、この戦いによってアインは英雄となれると。
マクギリスの言葉に、ガエリオは無理やり自分を納得させようとしているようである。

だがマクギリスは一人になると心中でつぶやく。
「ガエリオ、カルタ…。君たちは良き友だった。その言葉に嘘はない。君たちこそが、ギャラルホルンを変える。」

マクギリスはガエリオ、カルタに友情を抱いているが、それでもこの二人を犠牲にして自分の目的を実現しようとしているようである。マクギリスはギャラルホルンを滅ぼすこと、その中枢であるセブンスターズの壊滅を考えており、そのためにカルタをはじめとするセブンスターズの人間を抹殺しようとしているのだろうか。引き続きマクギリスの動向に注目したい。

【オルガと三日月】
吹雪の中を走る列車で、オルガは三日月にぽつりぽつりと話す。
弔い合戦などと言ってしまったが、ビスケットはこういうのが嫌で鉄華団を降りるとまで言っていたのにと。
実はオルガはビスケットの死を乗り越えてなどおらず、ビスケットの死に責任を感じ、ビスケットが反対していた戦う路線を推し進めていることに苦悩しているようである。

すると三日月は「あの日、ビスケットが言ってたよ」といい、ビスケットから聞いた言葉をオルガに伝える。
「三日月、俺は降りないよ。
僕は怖くなったんだ。
オルガの強い力に引っ張られて、こんな所まで来て。
でもそれは、僕が、みんなが望んだことだ。
だから僕は降りないよ。降りるときは…帰るときは、みんなで一緒に帰るんだ」

三日月が見張りのために立ち去ると、オルガはビスケットに語りかける。
「みんなで一緒に帰る…か。それだったらもう、どうやったって帰れねぇじゃねぇか…ビスケット」

【カルタ、決闘を申し込む】
鉄華団の列車は、前方にエイハブ・リアクターの反応を検知した。
カルタの搭乗するグレイズリッター指揮官機、そして二機のグレイズリッターである。

オルガは、モンターク商会が裏切った可能性を考えるが、まずは列車を停車させた。
一方、カルタは機体の外に姿を晒すと名乗り、モビルスーツ三機同士による決闘を申し込んだ。

これにシノは「面白ぇ!やってやろうじゃねぇか。なあ昭弘!」と言い、昭弘も決闘に闘志を燃やす。
するとアジーは「決闘なんて無駄だ」とシノと昭弘を制止し、ラフタは「数はこっちが上なんだしさ、みんなでボコ殴りにしちゃえばいいだけじゃん」と明るい声で言う。
ここらへん、合理主義に徹しきれず、売られたケンカは正々堂々と買おうとするシノと昭弘が好きである。

その間もカルタは口上を述べ、「セッティングにかかる時間を考慮し、我々は30分待とう」という。
その時、バルバトスがレンチを手に突撃。
一瞬で敵機の間合いに踏み込み、まずカルタ機の左側にいた一機をレンチで殴って撃破。
続いてカルタ機の右側の一機にレンチを繰り出して撃破、コックピットを踏み潰して止めを刺した。

三日月の容赦のない戦いぶりは正に悪鬼羅刹。
これには昭弘、シノも顔を引きつらせ、ラフタも「うわっ…グ口っ」と思わずつぶやく。

【カルタVS三日月】
カルタは「なんと…なんと卑劣な!誇り高き私の親衛隊を!」と怒り、グレイズリッター指揮官機で剣を構え、果敢にバルバトスに挑む。

だが阿頼耶識とバルバトスの機能を使いこなす三日月はカルタを圧倒。
カルタ機の斬撃をかわし、レンチを地面に突き立て、これを支柱にポールダンスのように身体を回転させて強烈な蹴りを入れる。
そしてバルバトスはレンチでカルタ機の左肩を掴むとチェーンソーを駆動、カルタ機の左腕を斬り落とす。

メリビットは少年兵たちが車外に出てバルバトスとカルタ機の戦いに見入っていることに気づいた。メリビットにしてみれば、三日月の残虐ファイトはどう考えても子供の教育に良くない。
メリビットは少年兵たちに、危ないから車内に戻るよう呼びかける。

が、少年兵たちはメリビットの言葉を拒絶し、三日月の戦いから目をそらさない。
「俺達は見なくちゃいけないんだ」
「俺達の敵を」
「三日月さんの戦いを」
「ビスケットさんの…みんなの敵討ちなんだから」

【ガエリオ、カルタを救出】
グレイズリッター指揮官機はコックピットを損傷。
カルタは負傷しながらも剣を繰り出すが、バルバトスはことごとくかわし、ついにレンチで強烈な一撃を浴びせた。
カルタ機は凍結した湖に倒れた。
氷が割れ、カルタ機の破損したコックピットはたちまち浸水し、瀕死のカルタは首まで冷水につかってしまう。

カルタはもはや戦うことなど出来ない状態だが、マクギリスの憧れた自分であり続けようとし、死を目前にしても毅然とし続けようとする。
だが、止めを刺そうと三日月がバルバトスで刃を向けた時、カルタは思わずつぶやく。
「助…けて…マクギリス…」

その時ラフタは、急接近するエイハブ・ウェーブに気付いた。
ガエリオの駆るキマリストルーパーである。

キマリストルーパーはスラスターを吹かして地上を高速で移動、瞬時にカルタ機を回収し、高速で離脱していく。
三日月は追撃しようとするが、オルガは三日月を制止していう。
「わざわざ深追いする必要はねぇ。
今のうちにとっとと進むぞ。
俺達にはもう戻る場所はねぇ。
けどな、たどりつく場所ならある。
たどりつくぞ、俺達みんなで」

【ガエリオとカルタ】
キマリストルーパーはカルタ機を連れて戦場を離脱できたが、カルタは重傷である。
ガエリオは通信機で呼びかけるが、カルタにはもはやガエリオの声と分からない。
カルタは、マクギリスが助けに来てくれたと思い、「マクギリス…助けに来て…くれた…のね…」と礼を言う。

ガエリオはマクギリスのふりをして「ああ。そうだ」と答えた。
カルタは「私は…不様だった…わね…」とマクギリスの期待に応えられなかった自分を自嘲する。

だがガエリオは言う。
「そんなことはない。お前は立派に戦ったよ、カルタ」

するとカルタは、マクギリスが認めてくれたことに礼を言う。
そしてカルタは何も言わなくなった。

【エドモントンへ】
翌朝。
鉄華団の列車でクーデリアは、針葉樹林の彼方に霞むビル群に気付いた。
そしてオルガは三日月と、ビル群に視線を送りながらつぶやく。
「とうとう来たぜ。いよいよ敵陣だ」

【予告】
次回「未来の報酬」

次回から決戦と思われる。
クーデリアの理想の行方、そして戦いに身を投ずる少年兵たちの安否、ラフタとアジーの安否が気になる。次回も注目したい。

機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ 第22話「まだ還れない」

  • 2016/03/07(月) 03:33:45

【感想概略】
今回は、ビスケットを失ったオルガは茫然自失、鉄華団を率いることなど出来なくなってしまう。誰もオルガを立ち直らせることは出来ないが、三日月はオルガの部屋を訪れ…。一方、クーデリア、イズナリオ、そしてマクギリスは知略を巡らし、それぞれの目的を実現するための布陣を着々と進めていく、というお話であり、見応えがあり、面白かった。

三日月とオルガの関係は、男の友情にしてもかなり特殊である。
二人の過去に何があったのか、引き続き注目したい。

【鉄華団、船に乗る】
前回、南洋の孤島で、鉄華団はカルタ・イシュー率いるギャラルホルン部隊を迎撃して壊滅させ、蒔苗とクーデリアを守り切った。だがこの戦いでビスケットがオルガを守って重傷を負い、そのまま命を失ってしまった。

そして今回、カルタ・イシューは生き残った二機のモビルスーツに助けられ、島を離脱した。
多くの部下を失い、茫然自失のカルタである。
だが部下たちは、カルタを回収出来ただけでも僥倖、カルタさえいればいくらでも再起出来ると言い、望みを失わない。

一方、鉄華団は戦闘に勝利し、クーデリアと蒔苗を連れて無事モンターク商会の貨物船に乗船、ひとまず危機を乗り切ることが出来た。。
だがメンバーたちに勝利の喜びなどなく、みなビスケットの死に大きな衝撃を受けていた。
普段は生意気なライドも涙を抑えられず、小さな妹を学校へ通わせたいとビスケットと語り合ったタカキは泣き崩れ、アトラはビスケットのために泣いた。
シノはビスケットの亡骸に「一緒に帰ろうな、火星へよ」と語りかけるが、三日月は「まだ帰れない。仕事が終わるまでは還れないよ」と言う。この辺りが三日月のこだわるところであり、例えビスケットを失っても、例えシノは仕事を放棄して帰ろうと言っているつもりなどなくとも、訂正せずにはいられないようである。
そしてオルガは茫然自失となり、船室から一歩も出てこない。

【アンリ・フリュウとイズナリオの密談】
アーブラウ議員のアンリ・フリュウは、ギャラルホルン地球本部司令官イズナリオ・ファリドに抗議していた。蒔苗は島から一歩も出ることなく選挙は終わるはずだったの話が違うと。

これにイズナリオは動じず、まずカルタ・イシューの不手際を批判する。
これまでセブンスターズ内でのイシュー家の地位を守るため、カルタの後見人となって引き立ててやったというのに、余計な真似をしてくれたと。
そして、蒔苗の行き先は選挙の行われるエドモントンと分かっているのであり、網さえ張っていれば討ち洩らす心配は無いと断言し、あくまで強気である。

だがイズナリオは一人になると内心でつぶやく。
これまでマクギリスとボードウィン家を縁組させ、イシュー家の後見人となってセブンスターズ内での地位を固めてきた。そしてアンリ・フリュウを通じてアーブラウの実権さえ握れば自分の立場は盤石になる。ここでつまづいてなるものかと。

イズナリオはギャラルホルンの名門貴族の枠を超える権力を握ろうと画策しているのだが、彼は権力を得て何をするつもりなのだろうか。

【カルタ、艦隊と合流】
カルタは、コーリス・ステンジャ艦長率いる水上艦隊と合流、危機を脱した。
だが多くの部下を失ったカルタの怒りは収まらず、コーリス艦長に鉄華団の追撃を命じ、統制局からの即時帰還命令を無視しろと言う。

困ったコーリス艦長は、帰還命令はイズナリオ直々のものと訴えた。
さすがのカルタも、後見人であるイズナリオの意向はないがしろに出来ず、断腸の思いで鉄華団追撃を断念した。
が、「ドブネズミども…次は必ず引き裂いてやるわ!」と拳を握って再戦を誓うカルタである。

一方、ギャラルホルン本部でマクギリスはモンターク商会に通信し、鉄華団が無事船に乗ったとの連絡を受け、彼らの要望には出来る限り応えるよう指示を出した。
通信後、マクギリスは鉄華団の手並みに感嘆する。
その一方、カルタが生き残ったことを「ここらで死んでいれば、これ以上生き恥をさらさずに済んだものを」と嘲笑、カルタの生死など何とも思っていないようである。

そして「義父上の苦りきった顔が目に浮かぶようだ」と悪そうな笑みを浮かべるのだが、マクギリスのイズナリオへの憎悪の深さを伺わせる。

【マクギリスとガエリオ】
ギャラルホルンの基地の医療区画では、ガエリオを庇って瀕死の重傷を負ったアインが、生命維持装置に接続され、昏睡状態で辛うじて生きていた。だがこのままではアインに回復の見込みはない。

アインを見舞うガエリオの元をマクギリスが訪れると、ガエリオは言う。
このままではアインを救えないことは分かっている、アインの悲願である上官の仇も討たせてやりたい、だがそのために身体を機械化し、人間を捨てることをアインに求めることは、どうしても踏み切れないと。

この時代の地球では、身体に機械を埋め込むことは倫理に反することである。
ガエリオは、この倫理がギャラルホルンの支配のために意図的に広められたことを知ってはいる。
だがそれでもガエリオは、長年正しいと信じてきた倫理に反することをアインに行なうことにはどうしても強い抵抗を感じずにはいられない。

するとマクギリスは言う。
「人間であることを捨てる…か。今の世は、まさにその選択の上に築かれたと言ってもいいだろうな」

そしてマクギリスはアインに説き始める。
阿頼耶識システムとは、元々は厄祭戦により滅亡に瀕した人類を救うため、戦争を武力で終わらせるために志を同じくする人々が国や経済圏を超えて編成した組織で開発されたものであり、その組織が後にギャラルホルンになったのだと。

マクギリスは言外に、阿頼耶識も、人体に機械を埋め込むことも、元々は否定的なものではなかったと説く。
これにガエリオは、阿頼耶識への抵抗が若干少なくなった様子である。

続けてマクギリスは、かつて人類を救ったギャラルホルンも、300年の間に腐敗、弱体化し、権力闘争の温床と成り果てたと批判。
さらにカルタ・イシューが鉄華団の追撃に失敗し、鉄華団は太平洋上で消息を絶ったことを明かす。
衛星監視網で補足できないのはギャラルホルン内部に情報提供者がいるのだろうと言い、「腐敗ここに極まれりさ」としれっと言う。
これにガエリオは、まさか目の前にその情報提供者がいるとは思わず「下劣な!アインの忠誠心を少しは見習うがいい」とアインと組織のために憤るのである。

マクギリスはガエリオを連れて基地の奥深くに進んでいく。
そこは、近年まで阿頼耶識の研究が行われていた巨大な研究施設であり、無人のモビルスーツが立ち並んでいる。

そしてマクギリスはガエリオに畳み掛ける。
「示すんだ。身を捨てて地球を守ったギャラルホルンの原点を。
お前と阿頼耶識を纏ったアインとで、あの宇宙ネズミどもを駆逐し、我々こそが組織を正しく導けるのだと分からせてやれ。」

ガエリオはマクギリスの言葉に、かなり心を動かされているようである。
一方マクギリスはガエリオを煽って何を企んでいるのだろうか。

【鉄華団、立ち直れず】
鉄華団とクーデリア、そして蒔苗を乗せた貨物船は夜の太平洋を航行する。
が、少年兵たちは誰もビスケットの死を受け止めきれず、船内は依然として悲痛な空気に包まれている。

船内の食堂では、タカキは目の前でビスケットを失ったオルガの苦しみを思い、ライドはギャラルホルンを恨まなければ耐えられず、二人は些細なことからケンカになりかける。

そんな二人を、雪之丞は「もめ事ならよそでやんな。飯に埃が掛かっからよ」とやんわりと止め、落ち着かせた。
そして打ちひしがれたアトラに、「こいつはイケるなぁ」とスープの味を褒め、気を紛らわせる。
これに「よかった。へへっ」と空元気を出すアトラもいい子だと思う。

メリビットはオルガを案じ、食事をオルガの部屋に運ぶが、オルガの返事は無く、虚しく食堂に戻ってきた。
メリビットは雪之丞に「こういう時、どうしてあげたらいいんでしょう…」と相談する。

すると雪之丞はいう。
「ほっとくしかねぇさ。
何を言ったところで慰めにもならねぇ。
まあ今回は、だいぶ思い詰めちまってるみてぇだがな。
こんな時こそ、オルガがビシッと引き締めてやるのが一番なんだがよ」

【クーデリアと蒔苗】
船内の蒔苗の部屋をクーデリアが訪れた。
蒔苗は「年端もいかぬ子供には、仲間の死はさぞかし辛かろう」と同情し、「鉄華団はこのまま、すっかり戦意を喪失してしまうやもしれんのう」と言う。そうなったら蒔苗も困ると思うのだが、なぜか蒔苗は余裕である。

するとクーデリアは、仮に鉄華団が今回の仕事を降りるとしても自分に止めることは出来ない、そうなっても自分一人で蒔苗をアーブラウの会議場のあるエドモントンに送り届けると言う。
そして具体的な作戦を提案しはじめた。

そもそもギャラルホルンは蒔苗の行き先がエドモントンと分かっており、そこまでに二重三重の罠を張っていると考えられる。
そこで、まず船の行き先をアラスカのアンカレッジに変更する。
そしてアンカレッジの港で下船し、テイワズの現地法人の持つ鉄道に乗り換える。
この鉄道は、週に一度の定期貨物便であり、定期便なのでギャラルホルンに怪しまれる可能性は低い。
また都市部を外れた路線なので、エイハブ・リアクターによる電波障害を引き起こす心配もなく、堂々とモビルスーツを運搬できる。
この件、すでにテイワズ、モンターク商会と話しはついていると微笑むクーデリアである。

蒔苗はクーデリアの作戦に感嘆、了承した。
クーデリアは礼を言うと、「つきましては蒔苗さんにも、いくつかお願いしたいことがあります」と言い、二点要望した。

まずアンカレッジにいる、蒔苗派の有力議員ラスカー・アレジの力を借り、鉄道への乗り換えが目立たず速やかに行われるよう手配すること。
そして、代表選挙で蒔苗が再選されるよう、議会でのロビー活動を行なうこと。

蒔苗はこちらについても快諾した。

すっかりたくましくなったクーデリアであり、仮に鉄華団が降りたとしても、別の民間軍事会社を雇うなどして目的実現に最善を尽くすのだろう。

蒔苗は愉快そうにクーデリアを評する。
「火星の独立をうたい民衆の心を動かすロマンチストの面を持ちながら、ハーフメタルの自由化という具体的な成果を手にしようとするリアリストでもある。お前さんは、良いリーダーになるだろうなあ」

これにクーデリアは言う。
「いいえ。私はリーダーになど…
私がなりたいのは…希望。
たとえこの手を血に染めても、そこにたった一つ人々の希望が残れば…」

【メリビットとラフタ、アジー】
メリビットは、ラフタとアジーに、少年兵たちに何か出来ないかと相談する。
だがラフタは「どうしようもないんじゃない」と冷静である。

これにメリビットは「冷たいんですね。あの子たち、ああ見えてもまだ子供なんですよ」と言い、すっかり少年兵たちに肩入れして腹を立てる。

するとラフタは自分たちも少年兵たちと同じなのだと言い、タービンズについて明かす。
「タービンズって他に行き場所がない女たちの避難場所だったりするんだよね。
うちに拾ってもらえなかったらどうなってたか分かんない子いっぱいいる。
ダーリンは「全員俺の女だ~」とか言っちゃってるけどね。」

そしてアジーは言うのである。
「あの子たちなら、きっと自分たちで結論を出すよ。
私たちは名瀬の代わりに、それを全力でフォローするだけ」

【三日月とオルガ】
三日月はオルガの部屋に行く途中、メリビットと出くわした。
「今はなるべく、そっとしておいてあげて」というメリビットに、三日月は苛立ったような目を向ける。

一方オルガは、ビスケットとの日々を思い出し、ビスケットの最後の言葉を思い出し、苦痛と後悔と自責の念に苛まれていた。
その時、三日月がオルガの部屋のドアを開けた。

オルガは三日月を見ると、ぽつりぽつりと話しだす
「ビスケットがよ、言ったんだ。鉄華団を降りるって。
俺は自分から危険な道ばかり進もうとするんだってよ。
だとしたらあいつは、俺に殺されたってことだよな」

オルガは意識していないだろうが、これは三日月以外の誰にも言えない言葉だろう。
そしてオルガとしては、心の底では、三日月に慰めて欲しい、優しい言葉をかけてほしいという気持ちがあったのではないか。

また三日月は、仲間に対しての心配りは細やかであり、優しい言葉の一つも言えない訳ではないだろう。
だが三日月は、オルガの言葉に答えずに問う。
「オルガ。次は俺、どうすればいい?」

さすがのオルガも「勘弁してくれよミカ。俺は…」と少し苛立ったように言う。
が、三日月は「ダメだよオルガ。俺はまだ止まれない」と全く容赦しない。

「待ってろよ」というオルガの胸ぐらを掴み、オルガの目を真っ直ぐ見て言う。
「教えてくれオルガ。
ここが俺たちの場所なの?
そこに着くまで俺は止まらない。止まれない。
決めたんだ。あの日に決まったんだ。
ねえ、何人殺せばいい?あと何人殺せばそこへ着ける?
教えてくれオルガ。オルガ・イツカ。
連れていってくれるんだろ?
俺は次、どうすればいいんだ?」

オルガも三日月も、三日月が初めて人を殺した日のこと、オルガが三日月に約束した日のことを思い出す。
そしてオルガは、胸ぐらを掴む三日月と突き飛ばし、立ち上がって叫ぶ。
「ああ分かったよ!連れてってやるよ!
どうせ後戻りはできねぇんだ。
連れてきゃいいんだろ!
途中にどんな地獄が待っていようとお前を…お前らを俺が連れてってやるよ!」

これに三日月は満足したのか、薄く笑って言う。
「ああそうだよ。連れてってくれ。
次は誰を殺せばいい?何を壊せばいい?
オルガが目指す場所へ行けるんだったら、なんだってやってやるよ」

オルガは三日月の目を見て、狂気じみた笑みを浮かべる。
その心中にあるのは、ビスケットの死を狂気で乗り越える力を与えてくれたことへの喜びか、彼の内心は測りようがない。

【オルガの演説】
翌日。
オルガは甲板で仲間たちを前に演説する。
まずビスケットの死を悼み、そして彼は誰よりも責任感が強かった、だから彼が安心できるようこの仕事は最後まできっちり終わらせると言い、仕事継続の士気を高めた。
続けて、地球には鉄華団を潰したがっている奴らがいる、ビスケットもその犠牲になったと言い、ギャラルホルンへの敵意を高めた。

そしてオルガは言うのである。
「けど奴らは分かってねぇ。
鉄華団はただのガキの集まりじゃねぇってことをな。
今までは攻撃を受ける度、降りかかる火の粉だと思って払ってきた。
こっから先はそうじゃねぇ!
今から俺たちの前に立ち塞がる奴は、誰であろうとぶっ潰す。
そうだろ?ミカ」

三日月が「ああ。邪魔する奴は全部敵だ」と敵への殺気を放ちながら答えると、オルガは「こいつはビスケットの…いやビスケットだけじゃねぇ。今まで死んでいった仲間たち全員の弔い合戦だ」と叫び、演説を締めくくった。

このオルガの言葉にメリビットは驚き、「待って!目的は蒔苗さんを送り届けることで、仇討ちではないでしょう?!」というが、三日月は「同じだよ。ギャラルホルンを潰さなきゃ俺たちが潰される。」という。

メリビットは弔い合戦という路線を何とか思いとどまらせようとするが、雪之丞はそれを止めて「あんたの言ってることは正しいが、今こいつらの耳には入りゃしねぇよ」という。
雪之丞としては、少年兵たちがビスケットの死を受け止めるには、仇を討つとでも思うしかないのであり、自分はせめて機体の整備で少年兵たちを支えるしかないというところだろうか。

ラフタ、アジー、エーコは少し悲しそうな笑みを浮かべ、少年兵たちの弔い合戦を受け入れた。
そしてアジーは言う。
「この子たちが死なないように、できるだけ手伝うしかないね」

間もなく、船はアーブラウ領アンカレッジに到着。
クーデリアと蒔苗、そして鉄華団は無事列車に乗り込み、エドモントンに向けて出発した。


【予告】
次回「最後の嘘」

次回は、ファリド家の養子となった頃のマクギリス、カルタの過去がまず描かれるようである。なぜマクギリスがカルタにあれほど冷たいのか、その理由の一端が描かれるだろうか。
そしてモビルスーツ戦にも期待したい。

機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ 第21話「還るべき場所へ」

  • 2016/02/29(月) 02:21:50

【感想概略】
今回は、鉄華団と蒔苗の滞在する島をカルタ・イシューの軍勢が襲撃、オルガ、ビスケットの知略と鉄華団及びラフタたちの奮戦により敵軍の戦力を確実に撃破していくが、最前線で指揮をとるオルガとビスケットのモビルワーカーにカルタがモビルスーツで襲いかかり…というお話であり、見応えがあった。

鉄華団は民間軍事会社であり、誰が戦闘犠牲者になっても不思議はないが、それでもショックであった。
ただ、ビスケットはやり残したことが多々あるとはいえ、オルガが助かったことは見届けることができた。それがビスケットにとってせめてもの救いになっていると思いたい。

【ビスケットと三日月】
前回、鉄華団はクーデリアと地球に降下、前アーブラウ代表・蒔苗の隠居する南海の孤島に上陸し、島の基地に仮住まいする。だが鉄華団の団長オルガと参謀役のビスケットは今後の方針を巡って対立、ビスケットは鉄華団を降りると言い残し、立ち去ってしまう。
一方、カルタ・イシュー率いるギャラルホルン地球外縁軌道統制統合艦隊は、島を管理するオセアニア連邦に鉄華団とクーデリアの引き渡しを要求してきた。

そして今回。ビスケットは整備士・雪之丞に話しを聞いてもらい、だいぶ落ち着いていた。
ビスケットは砂浜で夜の空を見上げ、火星の妹たちと祖母を思い、そして鉄華団を降りるといった時のオルガの顔を思い出していた。オルガのあれほど傷ついた表情を見たのは初めてだったかもしれない。

その時、三日月がオルガに言われてビスケットを呼びに来た。
三日月はビスケットの様子がいつもと少し違うことに気付き、どうしたのかと尋ねるが、ビスケットがオルガとぶつかり合ったことを知ると複雑な表情を浮かべる。

【蒔苗の屋敷】
蒔苗の屋敷を、クーデリア、オルガとビスケットが訪れた。
ギャラルホルンの戦闘部隊に狙われて危険な状況だというのに蒔苗は楽しそうであり、どうするのかとオルガたちに問う。

するとオルガとビスケットは無言で視線を合わせ、眼と眼で会話をし、互いの意思を確認した。
そしてオルガは、蒔苗とクーデリアを連れて島を脱出すると言い、「この仕事、高くつくぜ」と蒔苗に釘をさす。

するとクーデリアは、船を自分が手配するという。
何とモンターク商会に用意させるつもりなのである。
これにオルガはクーデリアに、「こっからは仕事のパートナーってことになりそうだな」と笑う。

【ヤマギとシノ】
島の鉄華団は、ギャラルホルンの襲撃に備えて慌ただしく戦闘準備を進め、アトラは格納庫の前にスープの大鍋を据え、団員たちによそう。
スープは大体行き渡るが、ヤマギが食事を取ろうとしない。
シノはこれに気付くと、スープをよそってもらってヤマギに差し出し、「おめえも食っとけ。保たねえぞ」と笑う。ガサツなようで、いつもヤマギを気遣うシノである。

ヤマギは礼を言ってスープを受け取るが、心は晴れず、不安を口にする。
「俺たち火星に帰れるのかな?島を出てもギャラルホルンは、俺たちを追いかけて来るんだよね?」

これにシノは、そんときゃ宇宙に逃げればいいと笑う。
が、ヤマギは宇宙に出ても火星に帰っても逃げなければならないことに変わりはないのでは言い、不安を隠せない。
するとシノは「心配すんなって!ギャラルホルンだろうが何だろうが、俺らがぶっ飛ばしてやっから!」と力強くいい、「なっ三日月」と同意を求めた。
これに三日月は「うん。邪魔な連中は全部潰す」と同意して淡々と言うのである。

ヤマギの不安はもっともであり、鉄華団とギャラルホルンが正式に和解するか、ギャラルホルンを滅ぼさない限り解消しない問題である。

【オルガとビスケット】
基地の一室、ビスケットはオルガを訪ね、改めて本心を言おうとした。
するとオルガは、自分もゆっくりビスケットと話したいと思っているが、こんな状況なので島を出てからにして欲しいと頼んだ。
ビスケットはこれを承諾する。

二人とも本題を話すことは出来ていないが、少しすっきりとした顔をしている。
ビスケットもオルガもそれぞれに、相手を怒らせ、失望させ、傷つけたのではないか、そして嫌われてしまったのではないかと思い、まずそのことが気がかりだったと思う。
なのでビスケットもオルガも二人で話して相手の態度から、自分は嫌われていないこと、相手が友達でいてくれることを確認でき、まずそのことに安心したのではとおもう。

【ビスケットと雪之丞】
格納庫で機体整備に励む雪之丞の前にビスケットが姿を見せた。
雪之丞はビスケットを心配して声をかけるが、ビスケットはすっきりした表情で「もう平気です」とこたえる。
そして「これからは、少し先のことまで考えていかないといけないんです。俺達は」という。
『俺たち』という言葉に、雪之丞は「そいつを聞けりゃあ安心だ。オルガにゃあ、おめぇみてぇなのが必要だからな」と笑う。
雪之丞は少年兵たちの様子をよく見ていて気遣い、時に声をかけ、話しを聞き、時に助言を与えるが押し付けがましくなく、一歩引いて少年兵たちを見守っており立派だと思う。

【オルガとメリビット】
基地の食堂に一人のこるオルガの前にメリビットが姿を見せた。
オルガはメリビットに、「結局、ビスケットに言えなかったよ。鉄華団に残ってくれって」という。
実はオルガは、ビスケットに鉄華団残留を断られることが怖くて、話しを先延ばししたということのようである。
するとメリビットは「まだ言う機会ならいくらでもあるわ」と言い、オルガの手に自分の手を重ねる。

メリビットの真意は不明である。
純粋に好意からオルガを支えようとしているのか。
それともテイワズのスパイとして、あるいは個人の野望のため、心の弱っているオルガを籠絡しようとしているのか。
たまにメリビットが見せる、オルガを観察するような目が不気味である。
今後に注目したい。

【ギャラルホルン艦隊、作戦開始】
翌朝、ギャラルホルン艦隊が島の沖に姿を見せた。
指揮を取るのは、一話でバルバトスに討たれたオーリス・ステンジャの兄である。

投降勧告の刻限を過ぎても鉄華団からの回答は無い。
ステンジャ艦長は「そうでなくてはな」と笑い、これで弟の仇が討てると喜ぶ。
そして掃討作戦の開始を発令、全艦で島への艦砲射撃を開始した。

もっとも、通常弾が命中してもモビルスーツにダメージを与えることは出来ないのであり、ロウエイに搭乗するラフタは「モビルスーツには意味ないってのに」とギャラルホルンの硬直した戦い方に苦笑いである。

そして昭弘は丘の上からグシオン・リベイクでギャラルホルン艦を砲撃するが、なかなか当たらない。
これにラフタは「そんなんじゃ、姐さんにどやされるよ!」と怒鳴り、アジーは「地上では大気の影響を強く受ける」と叱りつけ、これには昭弘も縮み上がる。

が、三日月が「さっきの感覚、体に残ってるだろ?それに合わせて撃てばいいんだよ」と的確に助言。
すると昭弘は「なるほどな!」と納得して再び砲撃、敵艦に命中弾を浴びせた。
ラフタとアジーは、感覚だけで照準を補正する阿頼耶識システムに舌を巻く。

【カルタ部隊、来襲】
敵艦からモビルスーツ部隊が出撃、海面上をホバリングして島に殺到するが、ラフタとアジーはモビルスーツで砂浜から砲撃、次々と敵機を撃墜する。
二人の腕前に、流星号のシノは「こりゃ、俺達の出番はねぇかもな」と笑う。

その時、流星号が被弾。
上空からの攻撃であり、見上げるとギャラルホルンのモビルスーツ部隊が空から降下してくる。

オルガは海からの敵の迎撃をラフタとアジーに頼み、空からの敵の迎撃を三日月、昭弘、シノに指示する。
昭弘のグシオン・リベイク、シノの流星号は空に向けて砲撃。
何機かを撃墜するが、カルタの乗機をはじめとする7機のグレイズリッターが着地した。

そしてカルタ機を中心に居並び、「我ら!地球外縁軌道統制統合艦隊!」と名乗りを上げる。
決めポーズを取るカルタ部隊だが隙だらけである。
昭弘はグシオン・リベイクでカルタ部隊を砲撃、一機を撃破するのだが、罪悪感を感じたようで「撃っていいんだよな…?」とつぶやく。

一方、カルタは名乗りを邪魔されて「なんと…不作法な!」と激怒。
全機に突撃を命じ、バルバトス、流星号に襲いかかった。

三日月はバルバトスで巨大なレンチを振り回して応戦、敵機を掴み、殴り倒す。
シノは流星号で斧で斬撃を浴びせて敵機を圧倒。
さらにシノ機と鍔迫り合いする敵機を昭弘がグシオン・リベイクで砲撃して撃破する。

三日月とシノは敵部隊を、阿頼耶識システム装備の機体が得意とする乱戦に引きずり込み、敵機を次々と各個撃破していく。
ラフタとアジーは海上から襲い来る敵機を次々と撃墜するが、二機の敵機がラフタとアジーの防衛網を突破、グシオン・リベイクに襲いかかる。

敵モビルスーツは剣を振るってグシオン・リベイクのライフルを破壊。
昭弘はグシオン・リベイクで敵機と組み合い、パワーで押し合いながら、バックパックのサブアームを展開した。
そしてグシオン・リベイクはサブアームで斧を握って斬撃、敵機の右腕を斬り飛ばす。

【ビスケットの奇策】
島の裏手を見張っていたタカキとライド・マッスは、敵の揚陸艇多数が接岸し、モビルワーカーと歩兵からなる部隊を上陸させたこと、そして敵部隊の戦力を確認し、オルガに連絡した。

間もなくギャラルホルン部隊は蒔苗の屋敷前に到着、屋敷を守る鉄華団のモビルワーカー部隊と交戦、激しく撃ちあう。
そして激戦の末、ついに鉄華団のモビルワーカー隊は退却。
ギャラルホルン部隊は屋敷を占拠、クーデリアと蒔苗の捜索を開始した。
その時、蒔苗の屋敷は大爆発を起こし、ギャラルホルン部隊を壊滅させた。

これこそ、ギャラルホルンがクーデリアと蒔苗を狙うことを逆手にとり、島の裏手をわざと手薄にして敵を屋敷におびき寄せ、一網打尽にするビスケットの知略である。

そして鉄華団はギャラルホルンの揚陸艇を守る少数の歩兵を排除し、船を奪った。
この揚陸艇で沖に出て、クーデリアの手配したモンターク商会の船と合流する作戦である。

【三日月VSカルタ】
残る敵モビルスーツは滑走路側で三日月たちと戦う5機、そして海岸でラフタたちと戦う3機である。

オルガは双眼鏡で戦況を確認、シノが戦う場所に気付き、「足元!」と叫んだ。
シノはオルガの言わんとすることに気付くと慌ててブースターを吹かして跳躍、敵機から距離を取る。
すると敵機はシノ機が怖気づいて後退したと思い、足を踏み出す。
その時、地面が爆発、敵機は落とし穴に落ちた。
狭い穴にはまり動けない敵機に、シノは流星号で容赦なく斧を振り下ろしてとどめを刺す。

バルバトスと組み合うカルタは部下がまた討たれたことに激怒。
思わず「おのれ…おのれ…。また私のかわいい部下が!」とつぶやく。
その声は接触通信でバルバトスのコックピットに聞こえるが、三日月は敵の悲しみなど理解するつもりはなく、「うるさいなぁ」と鬱陶しそうである。

その時、オルガがバルバトスに通信、「ミカ。船は押さえた。あとはそいつらだけだ」と戦況を伝える。
その声は接触通信でカルタにも聞こえた。
そしてカルタは周囲を索敵し、オルガとビスケットの搭乗するモビルワーカーを発見、彼らが鉄華団の指揮官と理解した。

【ビスケットとオルガ】
カルタは「よくも私のかわいい部下を!」と叫び、オルガとビスケットのモビルワーカーに突撃。
ビスケットはモビルワーカーで加速するが、これでは敵モビルスーツのスピードから逃れらない。
ビスケットは「オルガ!手を放して!」と叫び、オルガは指示に従って手を離し、疾走するモビルワーカーから振り落とされた。

次の瞬間、カルタ機はビスケットのモビルワーカーを斬り上げる。
弾き飛ばされたモビルワーカーはバラバラになり、地面に転がった。

三日月は激怒。
バルバトスと剣で押し合う敵二機をレンチで殴り倒して撃破。
そしてカルタ機の頭部をレンチで挟んで地面に引きずり倒す。

一方、振り落とされたオルガは地面に叩きつけられ、短時間気を失っていたが、全身の痛みで目を覚ました。
そして、モビルワーカーの残骸が転がっていること、ビスケットがその下敷きになり、重傷を負っていることに気付いた。
オルガは痛みに顔をしかめながら立ち上がり、ビスケットの名を呼びながら近づく。

だがビスケットにはもうオルガの声が聞こえない。
ビスケットは、火星の小さな妹・クッキーとクラッカのことを、祖母・桜子のことを、鉄華団の仲間たちのことを、そしてオルガのことを思う。
(まだこんなところで俺は…死ねない。
全部終わったら火星に帰って、
クッキーとクラッカを…学校に入れて…
またみんな一緒に…

だから死ねない!
死にたく…ない!
俺にはまだ…オルガとの…約束が…)

ビスケットはオルガに左手を差し出す。
「オルガ…俺達で…鉄華団を…」

オルガはビスケットの名を呼び、ビスケットの差し出した手を掴んだ。
ビスケットが動かなくなってもオルガは手を離さず、その場に崩れ落ちた。

【予告】
次回「まだ還れない」

ビスケットが大変なことになってしまい、非常にショックである。
オルガにとってビスケットは、三日月とはまた違った、別格の親友と思うのだが、今回の件をどうやって乗り越えていくのだろうか。

次回も注目したい。

機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ 第20話「相棒」

  • 2016/02/22(月) 02:49:05

【感想概略】
今回は、地球に降下したクーデリアがアーブラウの前代表・蒔苗と会談、そしてオルガは蒔苗をアーブラウに送り届けるため新たな戦いを決意するが、兄の死を知ったビスケットはオルガに強く反対し…というお話であり、見応えがあり、面白かった。
今回のタイトル「相棒」とは、オルガとビスケットのことのようだが、二人はこれが初めてのケンカなのかもしれない。これを機会に二人とも一歩成長した姿を次回以降に見せてほしいと思った。
また、雪之丞はビスケットの様子がおかしいことに気付いて声をかけ、落ち着かせて話を聞いていたが、雪之丞の頼れる大人としての一面が描かれたところも良かったとおもう。

アインが生きていたことに一安心したが、マクギリスが何か企んでいるようであり、引き続き注目したい。

【蒔苗が来た】
前回、鉄華団は地球の衛星軌道を守るギャラルホルンの地球外縁軌道統制統合艦隊を突破、降下船で夜の地球に降下した。
そして今回。
南洋の遠浅の海に着水した降下船の周囲をシノの流星号、昭弘のグシオン・リベイクが警戒する中、降下船に搭乗していたメンバーたち総出で荷物の陸揚げを行なっていた。
皆と一緒に荷物を運ぶオルガに、海岸を警戒するタカキが一人の老人を連れて来て「この人が話があるって…」と言う。
この老人こそ、クーデリアの交渉相手、アーブラウの前代表・蒔苗東護ノ介であり、クーデリア及び鉄華団と会いに自ら出向いてきたのである。

【アイン助かる】
ボードウィン家の宇宙船。
自らを盾としてバルバトスの攻撃からガエリオを守ったアインは、間一髪で即死は免れ、宇宙船の治療用カプセルに収容されていたが、重体である。
宇宙船の医師はガエリオに、臓器を一部機械化しなければ危険であることを説明する。
が、ガエリオはアインの身体に機械を埋め込むことに強く反対し、「何としてもあいつを元に戻せ!」と医師に詰め寄るが、医師としても出来ないことを出来るとは言えない。

【鉄華団、魚を初めて見る】
鉄華団は、南の島の飛行場のような施設を臨時の拠点とするのだが、たぶん蒔苗が手配したのだろう。
この施設は飛行場と大きな格納庫、管制塔に宿舎があり、電気ガス水道も使用可能である。

臨時の引っ越しとモビルスーツの整備が一段落した鉄華団を、蒔苗の部下たちが訪れた。
蒔苗の土産として、カレイをはじめとする海の魚を持ってきたのである。

鉄華団のメンバーたちは火星の貧困層出身であり、魚を見るのは初めてなのだが、グロテスクに見えるようで顔を引きつらせている。
一方、ラフタたちタービンズの助っ人たちは魚に目を輝かせ、ラフタは魚の尻尾を掴んで持ち上げ、その活きの良さに笑顔である。

蒔苗の部下たちは役目を終えて立ち去るのだが、三日月たちの背中の阿頼耶識に気付くと複雑な表情を浮かべる。
これに気付いた雪之丞は、地球人にとって身体に機械を埋め込むことは気持ちの悪く、生理的に受け付けないことであり、雪之丞の足が義足であることも嫌悪の対象であり、厄祭戦の記憶が残る限りはこうなのだろうという。

【ガエリオとマクギリス】
ボードウィン家の宇宙船のブリッジ。
ガエリオはマクギリスと通信するが、マクギリスが瀕死のアインについて思わぬことを提案してきた。
アインに阿頼耶識を埋め込んではと言うのである。

ガエリオは身体に機械を埋め込むことを倫理に反すると思っており、マクギリスの提案に猛反対する。
だがマクギリスは、人類は自然であらねばならぬという価値観はギャラルホルンが意図的に広めたもの、厄祭戦で進化した技術がギャラルホルンに反旗を翻す道具に使われることを恐れてのものだと笑う。

ガエリオはマクギリスの言葉に納得できないが、マクギリスは「アインを救いたいのだろう?」と問う。
これにガエリオは、アインを救うだけでなく、上官の仇を討ちたいというアインの思いに応えたいのだと言う。
するとマクギリスは、だからこそ阿頼耶識という手段が最良と言うのである。

「なぜ…なぜ阿頼耶識なんだ?」というガエリオに、マクギリスは言う。
「お前に教えてやろう。阿頼耶識の、本当の力を」

【鉄華団の夕食】
鉄華団が拠点としている基地の食堂では、一同が夕食をとっていた。
メインディッシュは蒔苗が差し入れた魚をアトラが調理したものであり、ラフタ、エーコ、アジーは魚料理を笑顔で頬張る。

一方、鉄華団のメンバーたちは初めて見る魚に恐れを抱き、昭弘は魚のお頭を見て「こっち…睨んでやがる…」とつぶやき、全く食が進まない。
それは三日月も同様であり、魚料理には手をつけず、懐から火星ヤシを出して食べ始めた。

アトラは、三日月の料理を作った人へ無神経さに激怒。
タービンズのみんなにも手伝ってもらったが大変だったのであり、一口くらいつけたらどうなのかと抗議するが、三日月は「へえ~」と生返事である。

アトラは「もういい!」と言うと三日月から魚料理を奪って一口食べるが、その美味なことにたちまち機嫌を直し、「火星に帰ったら自慢しよ。『こんなの食べた』って」と笑顔である。
だがアトラは、火星に帰った後のことを考え、「火星に戻ったらクーデリアさんすごいことになっちゃうんだろうな。なんか手の届かない人になっちゃいそう」とつぶやき、少し寂しそうに笑う。

【クーデリアと蒔苗の会談】
クーデリアたちは蒔苗の屋敷を訪れ、蒔苗と対面していた。
同席するのは、オルガとビスケット、そしてメリビットである。

蒔苗はクーデリアたちを笑顔で歓迎し、「腹は減っとらんか?」と笑う。
これにオルガは、自分たちにはあまりゆっくり出来る時間は無いと言い、早くクーデリアと交渉を始めるよう促す。
が、蒔苗はギャラルホルンはここには現れないと笑い、のらりくらりと謎をかけ、なかなか本題に入ろうとしないのだが、談笑しながら現状が明らかになっていく。

この島はオセアニア連邦の管理区域にあり、連邦の許可が無ければギャラルホルンも入ることは出来ない。
そしてオセアニア連邦はクーデリアと鉄華団に感謝している。
なぜなら、ドルトコロニー群の改革が成功し、労働者たちは地球と同等の労働条件を実現、ドルトコロニー群の生産力は一時的に低下するだろうが、それはアフリカユニオン以外の経済圏にとっては利益である。
その呼び水となったクーデリアと鉄華団はオセアニア連邦にとって恩人であり、「恩人をギャラルホルンに売り渡すような真似をオセアニア連邦はせんよ」と蒔苗は笑う。

ドルトコロニー群の改革が成功したと聞き、クーデリアはほっとした様子である。
一方蒔苗は、「で、何だったかな?お前さんたちが来た理由は?」とクーデリアに話を促す。

クーデリアは「アーブラウとの火星ハーフメタル資源の規制解放の件で…」と話し始めると、蒔苗はそれは実現したいと常々考えていたが今は無理だと言い、自分は失脚して亡命中であり、何の権限も無いと明かした。

これにオルガは「俺たちは、何の力もない爺さんに会うために、こんなとこまでわざわざ来たってことなのか?!」と詰め寄り、クーデリアは「では、私たちがやってきたことは無意味だったと!?」と叫ぶ。

が、蒔苗は不敵に笑っていう。
「そうは言うとらん。まだまだ残っておるよ。逆転の目はな」

【オルガ、蒔苗との交渉内容を報告】
オルガたちは基地に戻ると、年長組と雪之丞たちに、蒔苗との交渉について報告した。

蒔苗の要求は、アーブラウの全体会議で代表指名選挙が行われるので、その時までに会議の場に自分を連れて行くことである。
会議に出席できればまた代表に選ばれる勝算があるとのことだが、蒔苗は公的な権限を失っても、これまで政財界に築いた人脈や影響力は健在ということだろうか。

シノは「んじゃ、連れてきゃいいじゃねぇか」と言う。
これにビスケットは、蒔苗はアーブラウから亡命したのであり歓迎されるはずがない、そして対抗馬のアンリ・フリュウはギャラルホルンを後ろ盾としていると言い、ギャラルホルンと戦うことになる危険性を指摘する。
そしてオルガは「厄介なのはそれだけじゃねえ」と言い、蒔苗の言動を思い出す。

会談の席でオルガは、この話は一度持ち帰ると蒔苗に言い、席を立とうした。
すると蒔苗は「持ち帰る?ぬるい…ぬるいな。お前さんら、少し勘違いしとらんか?」と凄む。
そしてどうやって火星に帰るつもりかといい、オセアニア連邦は鉄華団とクーデリアをギャラルホルンに引き渡さないよう動いているが、それは自分の一存でどうとでもなると言い放つ。

オルガは「脅す気か?」と問い、蒔苗の気迫に引き下がらない。
蒔苗は「賢い選択が出来るまで、せいぜいゆっくり考えることだな」と言い、この会談は終了となった。

やはり蒔苗も、一癖も二癖もある人物であり、うっかりすると一方的に利用されるだけになりそうである。そのような人物の要求に応じて良いのものか、苦悩するオルガである。

クーデリアは、考えこむオルガたちに言う。
「蒔苗氏の言葉に振り回される必要はありません。
私は皆さんに助けられてここまで来ることができました。
そのことに対してどれほど感謝の言葉を重ねても重ね足りないほどです。
そして私が頼んだ仕事もここまでだったはずです。
ですから、ここから先は私の仕事です。
皆さんは皆さんがなすべきことを…自分たちの道を進んでください」

【オルガと名瀬】
島の基地に、ユージンから通信が入った。
ユージンたちは現在、オセアニア連邦の宇宙施設に匿われており、タービンズも一緒である。
ギャラルホルンに一泡吹かせた鉄華団は、ここでは英雄扱いだと明るい声のユージンである。

オルガたちはユージンたちの無事を喜ぶ。
一方ユージンは、話しづらそうにビスケットに声をかけた。

続いてオルガは名瀬と通信で話し、現状と蒔苗の要求を伝えた。
名瀬は蒔苗が油断ならぬ相手であることを理解し、「で、どうする気だ?」とオルガに尋ねた。

オルガは、テイワズ代表マクマードは、蒔苗との交渉成立を期待しているだろうと言う。

すると名瀬は言う。
マクマードへの義理立てなら考える必要はない、オルガたちは十分に筋を通した、それに今回の件はマクマードにとっていつもの博打の一つであり、オルガたちが気を遣うまでもないと。
そして「俺が聞きたいのは、そういうしがらみ抜きでの話だ。本音のところで、お前らがどの道を選ぶか」と尋ねた。

これにオルガは、蒔苗の話に乗ろうと思うとこたえた。
そして、いま火星に帰れば、少しは名が売れているのでしばらくは仕事に困らないかもしれないが、それは一時的なものと現状を分析し、今後の抱負を語る。
「兄貴。俺たちはまだ何者でもねぇ。俺はもっと…もっとでかくなりてぇんだ」

これに名瀬は笑って言う。
「好きにしな兄弟。どんな道を選ぼうと、俺は兄貴として兄弟の力になってやるよ」

【ビスケット、オルガとぶつかり合う】
夜の砂浜で、オルガはビスケットに、蒔苗の話しに乗る決意を伝えた。
「どっちを選んだってリスクがあるってんなら、上がりはでかい方がいい。そう思わねぇか?」とビスケットに同意を求める。

だがビスケットは反対し、目的は達したのだから火星に帰ろうと主張する。
オルガは、火星で細々とやっているだけでは自分たちは多少目端の利いた子供に過ぎず、いずれまた利用されるだけと現状を分析し、今後の方針を説く。
「のし上がってみせるんだ。テイワズからも、蒔苗のジジイからも、奪えるものは全部奪って…」

ところがビスケットはオルガの言葉に納得しない。
今のままでも十分じゃないか、ここで無理してまた誰か死んだりしたらどうなる、危険なことを続けていたら将来も何もないと訴える。

これにオルガは「決めたことだ!前に進むためにな」と強く言う。いつもなら、これでビスケットはオルガに同意したのだろう。
だがビスケットは「だったら!だったら僕は…僕は、鉄華団を降りる」と言い残し、背中を向けて立ち去った。

【オルガ、ビスケットの事情を知る】
オルガは不機嫌全開、基地の食堂のドアを蹴り開けて八つ当たりであり、そこにいたメリビットを驚かせた。
そしてオルガはメリビットに、蒔苗の話しに乗ることを決めたと伝え、「あんたもその方がいいだろ。テイワズのお目付け役としちゃあよ」と嫌味を言うが、これも八つ当たりだろう。

そして「ビスケットにあんなに反対されるとは思っちゃいなかったけどな」と思わず洩らす。
普段のオルガならメリビットとは一線を引いて弱音など漏らさないが、今回ばかりはそれだけショックが大きかったということだろうか。

するとメリビットは先程ユージンから聞いた話しとして、ビスケットの兄サヴァランが自ら命を絶ったこと、そしてサヴァランが遺書をビスケットに残したことを伝えた。

サヴァランは遺書でビスケットに言い残す。
「自分がやっていることは、必ず仲間のためみんなのためになる。
そう信じて俺は動いていた。
だが事は思いどおりに運ばず、結果は無残なものとなった。

俺はこんな生き方しかできなかったが、お前は他人に振り回されることなく、自分の人生を自分でしっかりと見つけて歩んでいってほしい。
家族や仲間を大切に、堅実で幸せな人生を送るよう、心から願っている。」

事情を知り、オルガは奥歯を噛みしめる。

【ビスケットと雪之丞】
ふらふらと歩くビスケットは、格納庫の前で雪之丞に声をかけられた。
タービンズのエーコに言われ、バルバトスの地上戦用のサスペンションをいじっているという雪之丞だが、先ほどからビスケットの様子がおかしいことが気になり、「どうかしたか?」と声をかけ、ビスケットがオルガと衝突したことを知った。

雪之丞は、四角いパーツを椅子とテーブル代わりにした休憩スペースにビスケットを座らせてコーヒーを勧めた。
少し落ち着いたビスケットは、ぽつりぽつりと本音を口にする。
「いつまでもそんなにうまくいくかどうか…もっと穏やかな道を選んでいくことだってできるはずなのに…」

黙ってビスケットの言葉に耳を傾けていた雪之丞は言う。
「そうかもしれねぇ。けどそうじゃねぇかもしれねぇ。
先のことなんか、誰にも分からねぇよ。
オルガだって、ビクビクしながら前に進んでんだ。

勘違いするんじゃねぇぞ。
鉄華団はただのラッキーだけで、ここまでやってこれたんじゃねぇ。
オルガがいて、みんながいて、そしておめぇがいたからだ。

ちゃんとオルガと話してみろよ。
いつもそうやってきたじゃねぇか、なあ」

【オルガとメリビット】
一方オルガはメリビットに、本音を話していた。
「CGSに入った時から、あいつは俺がどんな無茶なことをやろうが、結局は認めてついてきてくれた。
だからショックだったよ。
あいつに断られるなんて思ってなかったからな。
俺やっぱ、焦ってんのかな?」

オルガの話を聞くメリビットは観察するような目をしており、何か企んでいるようにも見える。
が、「団長さんの決断を支えてくれてたのは、いつもビスケットさんだった。そうじゃない?」と笑い、オルガも「かもな…」と同意する。

その時、タカキが食堂に飛び込んできて、蒔苗から緊急連絡が入ったとオルガに伝えた。
そしてオルガは蒔苗から、ギャラルホルンが鉄華団とクーデリアの身柄を渡すよう勧告してきたと言われる。
「話が違うじゃねぇか!」というオルガに蒔苗は、ギャラルホルンにも独特の指揮権を持つ者がおり、オセアニア連邦でも抑えられないという。

その指揮官こそ、カルタ・イシューであった。
「逃がしはしない、今度こそ」と闘志を燃やすカルタである。


【予告】
次回「還るべき場所へ」

次回は、ビスケットもモビルワーカーで戦闘に参加するようだが、まずは彼の無事を願っている。
そして久々の地上戦に期待したい。